- 2021年07月14日 12:54
親子のスキンシップをどう増やす? 美大生の発想にプロも驚き
1/2親子がスキンシップする時間を「絵本」によって増やすにはどうしたらいいか。
アーティストの卵として芸術を学ぶ武蔵野美術大学の学生たちが現在、クラウドファンディングを通して0〜2歳の赤ちゃんとその親を対象とした絵本を制作・販売するプロジェクトに挑戦している。

学生たちにビジネスを学んでほしいという大学の意図から始まったプロジェクトは、プロの絵本編集者の指導のもと、共働き時代に失われつつある「親子の時間」を取り戻すことが目標に。
企画・編集面でサポートを行う、子ども向け絵本の出版社「エンブックス」 代表の西川俊充さんが「新しい」と驚きを口にするアイデアが学生たちから飛び出した。
プロジェクトに参加している武蔵野美術大2年の古屋圭さん(油絵学科)と浅沼しずかさん(クリエイティブイノベーション学科)、そして西川さんにプロジェクトのこれまでを聞いた。

絵本×ビジネスでアーティストの卵たちが学ぶ
「絵本の制作・販売というビジネスを通して学生たちのキャリア教育を行いたい」
2020年冬、西川さんのもとに武蔵野美術大学のキャリア設計基礎特別講師である菊本奈々氏から連絡が入った。意見交換を経て、「親子の時間をつくる」というエンブックスが掲げるビジョンに沿った絵本作りに挑戦することが決まった。
年明けに大学は参加者を募集。「絵本が好きで、制作に携わりたかった」(古屋さん)、「実際のビジネスに関わるプロジェクトに参加してみたかった」(浅沼さん)と志望理由も学部もバラバラの約20人が手を挙げた。
赤ちゃん向けの絵本と普通の本作りはどう違う?からスタート

集まったメンバーはやる気はあるものの、絵本作りに関しては初心者。まずは、「絵本とは何か」、「絵本作りには何が必要か」といった基礎を西川さんから学んだ。
西川さんは「通常の書籍と絵本の最大の違いは、『大人が子どもに読んであげること』が前提となるか否か。絵本=コミュニケーションツールと認識し、その絵本で何を実現したいかを明確にする必要があります」と話す。
メンバーは西川さんのアドバイスのもと、「親子でスキンシップしたくなる」絵本という具体的なコンセプトを定めた。
絵本を通じて何をする?
絵本の基礎を教わったメンバーは、オンライン会議を繰り返し「赤ちゃんとどのようにコミュニケーションを取るのか」を考え抜いた。
「とにかく調べました」と話す古屋さんは、自分が幼い頃のことを親に聞いたり、周囲に赤ちゃんの特徴や情報を尋ねたりした。
幼稚園や小学校で働いている家族にアドバイスを求めたという浅沼さんは「意識すると赤ちゃんでもちょっとずるいところを持っていたり、面白がるポイントがあったり、いろんな気づきがありました」と話す。
未完成の絵本というアイデアにプロも太鼓判
芸術として「自分の表現」を高める美大での勉強や創作と、今回の絵本作りで大きく異なるのは、作品の向こう側にいる「相手」の存在だ。古屋さんは「絵本を手に取ってくれる人のことをより強く意識した」と口にする。
メンバーは絵本を具体的にどのような形にするか、それぞれ企画案を提示。西川さんは「普段とは全く異なる考え方での創作活動だったでしょうが、みんなスポンジのように知識を吸収し、とてもいい案ばかり出してくれました」と振り返る。
選ばれたのは、欠けているイラストの上に赤ちゃんや親が手を置くことで初めて絵が完成する「未完成」の手遊び絵本だった。


「スキンシップの機会を作るために、あえて未完成とする作品は聞いたことがありませんでした」
絵本のプロである西川さんも「非常に面白いアイデアです」と太鼓判を押す。



