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AでもなくBでもなく…… - 鈴木耕

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 最近よく「プランA」とか「プランB」などという言い方を耳にする。物事の進め方はひとつではなく、「A」がうまく行かなければ「B」を考えるべき、ということなのだろうと思う。

 でも、今回の東京都議会議員選挙の結果を見てみると、「AでもなくBでもなく……」という、何とも中途半端な、隔靴掻痒の感を覚えるのだ。どうにもスッキリしない。

 まず、投票率が低すぎる。42.39%だって?

 都議会議員選挙としては、戦後2番目の低さだという。半分以上の人が、投票をパスしてしまったのだ。いくらコロナ禍の真っ最中だからといって、これではもう選挙の体をなしていない。

 どうしてだろう?

 理由は「入れたい人がいない」「入れたい党がない」が多いらしい。つまり、「AはないけれどBもない」ということ。次に多いのは「投票したってどうせ何も変わりゃしない」という諦め。これなんかは、最初から「A」も「B」も放棄している。

 このためか、自民党も公明党も、都民ファーストも、そして共産党も立憲民主党も、どの党も「ウチが勝った!」とはしゃげないという、不思議な結果に終わってしまった。「A」は最初からなかったし、それに代わる「B」も出てこなかった。

 有権者の半分以上は、「AでもなくBでもなく」、もしくは「そんなことはどうでもいい」という選択をしたのである。それを「選択」と言うならば……だけれど。だから「勝者」なんかいるはずもない。

 自民党は今回、大苦戦した。「歴史的惨敗」とは言わないけれど、「惨敗」であることは間違いない。なにしろ33人という、党としては都議選史上2番目に少ない当選者数なのだ。これでは、来るべき総選挙に勝てそうもないと、自民党幹部連中は頭を抱えているし、うんざりするほどたくさんいる「安倍チルドレン」の“おバカ議員”たちは、色を失って慌てふためいているらしい。

「安倍チルドレン」とは、“安倍色”でなんとか勝ち上がってきた「魔の3回生」といわれる議員たちだ。それが、頼りの安倍という後ろ盾を失ってしまって、どう選挙に取り組んでいいのか分からない。選挙用のポスターにしたって、暗~い目つきの菅首相とのツーショット・ポスターを掲げるのは、逆にイメージダウン。

 そうだよねえ、菅首相の目つき、どんよりしすぎていて光がない。いまさら安倍氏とのツーショットにするわけにもいかず、困り切っているのだ。それはよく分かる。

 するとどうなるか?

 安倍晋三流の“ネット右翼頼み”に走るしかない。多分、衆院選ではヘイトまがいの歴史修正主義的言動に走って票を得ようとする「安倍チルドレン」が続出するだろう。やたらと共産党の悪口を言い、とにかく弱者叩きや人種差別を連発する。そんな議員の顔はすぐに浮かぶよね。

 この予想は当たるよ、きっと。

 公明党にしたって、一応、候補者全員(23人)の当選は果たしたものの、とても喜べた結果じゃなかった。

 コロナ禍で、お得意の「全国から創価学会員を動員しての人海戦術が取れなかった」からと言い訳するが、最近のあまりの自民党との癒着ぶりや、オリンピックに関する姿勢の曖昧さに、支持母体である創価学会員の不満が爆発寸前なのだという。

 かつては、開票が始まるや、すぐに続々と「当確」が打たれていた公明党候補者が、今回はズルズルと時間ばかりが過ぎ、最後の当確が出たのは深夜1時を回ってからだった。それも、目黒区では共産党候補との票差はたった6票という大接戦。「勝利」というには、ほど遠い結果だったのだ。

 都民ファーストという「風」の代表のような地域政党が、今回は激減するだろうという予測をよそに、なんとか面目を保ったけれど(31名当選)、これも前回から14も議席を減らしたのだから、やはり敗北である。

 ある程度の「小池マジック」が最終盤にきて小爆発したが、それでも前回の大ブームには遠く及ばなかった。

 共産党は19名(1議席増)、立憲民主党は15名(7議席増)と、勝つには勝ったが大勝利とはとても言えない。

 しかしそれでも「共闘」すれば、少なくとも議席増にはつながるという図式は作れた。あくまで「共闘」を邪魔していた連合の面目は丸潰れだ。というより、連合にはもう集票マシーンとしての力量はないのではないかと、多くの立憲の議員たちは思い知ったようだ。衆院選では、少なくない数の立憲候補者たちの「連合離れ」が起きる可能性が出てきたということだ。

 いわゆる「無党派層」は、もはや連合などなんの頼りにもならないということを、身に染みて知っているのだし。

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