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2012年の貿易赤字6.9兆円をどう考えるか?

昨年の今頃、我が国の貿易収支が31年ぶりに赤字になったことが注目されました。2011年の貿易収支は、2.5兆円の赤字になった、と。

 さて、本日、2012年の貿易収支が発表になりました。ご存知でしょうか?

 まさか黒字に復帰したなんてことはないですよね。

 そんなことはありません。単月ベースでも概ね赤字が続いていたからです。そうなれば、当然年間の数字も赤字になる筈です。確か、11月までの累計で赤字が6兆円を超えていのです

 では、2012年の貿易収支は

 なんと6.9兆円の赤字だ、と。赤字の規模が、一気に昨年の3倍弱ほどになったのです。

      輸出      輸入      貿易収支
2001年   48.9兆円   42.4兆円     6.5兆円
2002年   52.1兆円   42.2兆円     9.8兆円
2003年   54.5兆円   44.3兆円     10.1兆円
2004年   61.1兆円   49.2兆円     11.9兆円
2005年   65.6兆円   56.9兆円     8.7兆円
2006年   75.2兆円   67.3兆円     7.9兆円
2007年   83.9兆円   73.1兆円     10.7兆円
2008年   81.0兆円   78.9兆円     2.0兆円
2009年   54.1兆円   51.4兆円     2.6兆円
2010年   67.3兆円   60.7兆円     6.6兆円
2011年   65.5兆円   68.0兆円     -2.5兆円
2012年   63.7兆円   70.7兆円     -6.9兆円  
(資料:貿易統計)


 これだけ貿易赤字が巨額になっているのにも拘わらず、円安の原因アベノミクスにしか求めない人の何と多いことか!

 もちろん、アベノミクス投資家心理に与えた影響は顕著なものがあったと思うのです。だから、もちろんアベノミクスが一つの大きな原因であることは否定できないのですが、そうであってもこの数か月間に急速に円が安くなっていることの背景には、そうして貿易収支の赤字が定着していることと、ユーロ危機が落ち着いてきていることがあるのです。
 
 いずれにしても、幾ら予想していたこととはいえ、なんと寂しいことか!

 しかし、ものは考えようなのです。

 というのも、これだけ巨額の貿易赤字を計上している事実を諸外国に示せば、最近の円安を彼らも受け入れざるを得ないと思うのです。

 そうでしょ?

 それに、そもそもこの1~2か月間に急速に円安に振れたの事実であるとしても、その間、我が国は為替介入など一切行っていないのです。

 もちろんアベノミクスの効能が利いているのはそのとおりでしょう。しかし、そうやって効能があるというのは、内外の市場関係者が勝手に円は安くなるであろうと予想した結果に過ぎないのですから、謂わば市場メカニズムによって決まったこと。従って、諸外国が日本政府を責めるのはおかしいのです。

 つまり、自国通貨の価値を直接コントロールしている中国や韓国、或いはスイスなどとは話が違うのです。

 だから、日本の政治家は、為替レートの話になったとき、変に力む必要はない。為替介入なんてしていないのだから。

 ただ、その一方で、日本と米国の貿易関係はどうなっているのかと言えば、相変わらず日本の黒字、米国の赤字という関係が変わっていないのです。だから、そうしたことから言えば、米国としては、円の価値が対ドルで余りにも急速に低下するという現象は理解できないかもしれません。

 かし、その一方で、日本は主にどこの国々との関係で輸入超過になっているかと言えば、原油や天然ガスを輸入する中東地域との関係で、なのです。

 そして、その中東の湾岸諸国は、彼らの通貨の価値をドルに固定させる政策を取っているので結果として、彼らの通貨の価値が最近円に対して強くなっているのです。

 でも、それって自然なことでしょ?

 つまり、湾岸諸国が彼らの通貨の価値を米ドルに固定させることを米国が認める一方で、日本の円の価値が急に低下していることに仮にクレームを付けようとしたら、それはおかしいことになるのです。

 本日は、結果的にアベノミクスの円安政策を支持した形になりましたが、海外から円安に関して、クレームがついても決して力む必要はないのです。

 涼しい顔をしていることが肝要。繰り返しになりますが、日本は為替介入は行っていないのですから。

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