- 2021年07月02日 14:46 (配信日時 07月02日 08:15)
「金ピカのメジャーと激安麺」に隠されたワークマン、業スー絶好調の秘密
1/2今や一般消費者から支持を得るワークマンと業務スーパー。消費者のインサイトに詳しいマーケターの桶谷功さんは「両社とも恐るべきマーケティングセンスをもっています。ワークマンプラスの店頭で金ピカのメジャーを見つけたときはジーンときましたね……」と言います。その理由とは――。
業務スーパーとワークマンの共通点
こんにちは、桶谷功です。今回はスーパーマーケットの「業務スーパー」と、作業服の「ワークマン」について、マーケティングの観点から解説します。
「業務スーパー」と「ワークマン」。どちらも今、大人気ですね。

業務スーパーの店舗 - 写真提供=神戸物産
業務スーパーを運営する神戸物産は、2021年10月期の業績予想を発表。連結純利益は前期比33%増の200億円。最高益を更新する見込みです。
ワークマンも2021年3月期の営業総収入は、前年比14.6%増の1051億円、純利益は27.5%増の170億円と、いずれも過去最高を記録しています。
このようにいま絶好調の2社ですが、ここにはある共通点があります。それが何か、わかりますか?
そう。どちらも、プロ向けであるところです。
業務スーパーは「プロの品質とプロの価格」と謳っている通り、個人で飲食店を営んでいる人たちも仕入れに来るところ。だから普通のスーパーで売っている食材よりも、1パックの量が多い。でも、そのぶん割安です。
ワークマンは、建設現場や工事現場で働く人たちの作業服や安全靴のお店です。しかし近年はそれだけにとどまらず、「ワークマンプラス」「#ワークマン女子」など、一般向けにも進出し、成功を収めている。
「中身重視」をブランドにまで高めた
マーケティングの観点からいうと、両者の共通点は、「中身重視」の姿勢をブランドにまで高めたところにあります。たとえば「業務スーパー」は一般名称のように聞こえますが、店名を聞いただけで「プロの料理人が仕入れに来るんだから、いいものが安く売られているんだろうな」という連想がすぐにはたらく。そのブランドネーム自体に、バリューが内包されているといえます。
ワークマンもそうですね。「肉体労働に従事する人たちが愛用するものだから、丈夫で長持ちする衣類が安く売られているに違いない」という連想がはたらく。そのあたり、中身重視と言いながら、うまくブランド名を使って価値を高めています。
オリジナル商品がおもしろい
もうひとつ共通しているのが、両者とも、製造から販売までを一貫して行っていることです。いわゆるSPA(製造小売業)ですね。
「食」の分野でSPAをしているところは珍しいのですが、業務スーパーは自社グループ工場が25もあって、そこでPB(プライベートブランド)をつくっている。これが普通の商品に慣れた消費者からすると、斬新でおもしろいのです。
たとえば1リットルの紙パック入りのプリンやゼリー、杏仁豆腐のデザートなど、安さや量の多さに度肝を抜かれるような商品が多い。いまはコンビニやスーパーでもPBをつくっていますが、業務スーパーのような「おもしろい」商品は、ほとんどありません。
PBではありませんが、有名な「19円麺」(※1)シリーズの価格には驚かされます。
※1:税込みでは20.52円。店舗により取扱いや価格が異なる
また業務スーパーの店内にはダンボール箱がそのまま陳列されていて、そんな中で見たこともない輸入食材を見つけるのは、宝探しのような楽しさがある。店内の装飾にまったくお金をかけていないにもかかわらず、「ショッピングとはエンタメだ」ということを思い出させてくれるのです。
なぜワークマンプラスに「金ピカのメジャー」が?
いっぽうワークマンもSPA売上比率が59.7%と高いので、ここにしかないユニークな商品がたくさんあります。たとえば炎天下で肉体労働をする人のためのファンつき作業服や、作業服を裏返すとスーツになるウェア。「あのワークマンが、スーツ?」という驚きもさることながら、ふだん作業服を着ている人が、急にスーツを着なければいけなくなったときでも、いま着ている服を脱いで裏返すだけでいいというのは画期的です。

ワークマンプラスの店頭。 - 写真提供=ワークマン
また私が「さすが」と思ったのが、一般向けの「ワークマンプラス」の店頭に、建設現場などで働く職人さん向けの「メジャー」が置いてあって、しかもそれが金ピカだったこと。職人さんたちの中には、金の太いネックレスをしている人たちがいますが、この金のメジャーはそれとコーディネート的に響き合う。
「やっぱり、もともとのターゲットである職人さんたちのことを忘れていないんだな」と、ちょっとジーンとしてしまいました。
ワークマンはいま一般向けのカジュアルウェアが好調ですが、あまりにもそちらのほうに走ってしまうと、もともとのターゲットだった職人さんたちが離れていく。いちばん大事にしなければいけない、根幹の部分がずれてしまいます。そこはちゃんと、消費者の気持ちをわかっているのです。
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