- 2021年07月02日 12:00
私が2030年の温室効果ガス46%減は絶対に無理だと思う理由
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小泉進次郎環境大臣の「おぼろげながら浮かんできた」という妄想発言以外には全く根拠がない状況で浮上した「2030年度までに2013年度比で温室効果ガスを46%削減する」という我が国の温室効果ガス削減目標は、まことに残念ながら2021年4月に行われた気候変動サミットで国際公約化してしまった。
環境省に情報開示請求したという人物がTwitter上で明らかにした情報によると、この46%削減目標には算定根拠がないとされている。環境省曰く「2050年カーボンニュートラルに整合させるよう、野心的な目標として菅内閣総理大臣が決断した」だそうである。
2018年度のエネルギー基本計画で掲げられた目標は「2030年度に2013年度比で26.0%削減」というものだったので、そこから政治決断で20%も一気に積み増したわけだが、その算定根拠が全くないというのはいくら何でもやりすぎだろう。とは言え、国際公約にしてしまった以上は日本としては46%減を目指さなければいけないのだが、ではそれが本当に可能なのか本稿では簡単に考えていきたい。
狭義の省エネ、非化石化、電化という3つのアプローチ

さて温室効果ガスの削減を進めるに当たっては大きく、①(狭義の)省エネ、②非化石化、③電化、という3つのアプローチがある。
説明のためちょっと細かい話をするがエネルギーというのは、一次エネルギーと二次エネルギーに分かれる。一次エネルギーは石油や石炭などのそのままでは利用できない状態のエネルギー源で、2018年ベースの日本の利用状況は全部で19724Peta(=1015)J、内訳は
・原子力(553:2.80%)
・水力/再エネ等(2305:11.69%)
・天然ガス/都市ガス(4510:22.86%)
・石油(7409:37.56%)
・石炭(4948:25.09%)
<単位PJ>
という具合である。ざっくり言えば非化石エネルギー源が15%弱、化石エネルギー源が85%となっている。なお基準年となる2013年度では化石エネルギー源比率91.2%だった。現代社会ではこうした一次エネルギー源を電気やガソリンといった形で加工して使いやすくした二次エネルギーに変換するのだが、これをざっと集計すると全体12942ペタ(1015)J(2019年度)で
・電力(3276:25.31%)
・都市ガス/天然ガス(1127:8.70%)
・ガソリン(1241:9.59%)
・石油製品(3229:24.94%)
・軽油/重油(1108:8.56%)
・石炭/石炭製品(1311:10.12%)
・その他(1650:12.75%)
<単位PJ>
という内訳になっている。
こういう構造の中で(狭義の)省エネルギーというのは、製造プロセスでのエネルギー効率を高めて必要な一次エネルギー源の投入量を小さくしようという運動と位置付けられる。また、非化石化というのも一次エネルギーに関することで、再エネや原子力の比率を増やせばそれだけ炭素の排出量が減るということは自明だろう。もちろんエネルギー効率の向上抜きで一次エネルギーの投入量を下げようとしたらその分経済が縮小することになるのでそれは省エネとは呼ばない。
他方で「電化」というのはどう位置付けられるかというと、二次エネルギーの利用効率向上に向けた取り組みである。一般にボイラーよりヒートポンプ、内燃機関よりもモーターの方がエネルギー効率が高いように、電化を進めていくことは二次エネルギーの利用効率の向上につながるというわけだ。
全体のつながりとしては、省エネで必要とする一次エネルギー源の量を減らし、非化石化を進めて一次エネルギーの炭素排出割合を減らし、電化を進めて二次エネルギーの利用効率を高めよう、というような関係と言える。



