- 2021年06月29日 09:35 (配信日時 06月29日 06:00)
尾身氏とファウチ氏、2人の日米専門家が政治家から警戒される共通の理由 - 海野素央 (明治大学教授 心理学博士)
1/2今回のテーマは、「尾身氏とファウチ氏、2人の日米専門家が政治家から警戒される共通の理由」です。科学的根拠に基づいた提言やアドバイスを行う際、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長と、米国の感染症対策トップアンソニー・ファウチ博士は、政治的影響力を回避できないという問題に直面しています。
科学に対する政治介入が顕著になってきました。そこで本稿では、なぜ尾身氏とファウチ氏が政治家から警戒されるのかについて述べます。
(OsakaWayne Studios/gettyimages)
G7サミットにおける東京大会の位置づけ
イギリスの南西部コーンウォールで開催した主要国7カ国首脳会議(G7サミット)は6月13日、共同宣言を発表しました。25頁にわたる共同宣言には1~70までの番号が各段落の冒頭に付いています。その構成は、1~5が「はしがき」で、6~69が「討議内容」、70が「まとめ」になっています。6~18までが新型コロナウイルス対策と世界保健機構(WHO)の改革で、もっともボリュームがあり、各国首脳が意見交換に時間を割いたことがはっきり読み取れます。
49段落目で中国の市場原理を無視した経済政策を批判し、新疆ウイルグ自治区における人権侵害を取り上げ、同国に対して人権尊重を求めています。また、G7は共同宣言の中で「中国」を3回名指しで非難しました。「台湾海峡の平和と安定の重要性」の文言は60段落目に明記されています。
では東京五輪・パラリンピック支持は、一体何段落目に記されているのでしょうか。
70番目の最後に一言触れられているのみです。G7サミットにおいて東京大会は主要議題でなかったことは明らかです。
バイデンの思い
なぜジョー・バイデン米大統領は、東京五輪・パラリンピックに支持を表明したのでしょうか。バイデン氏は東京大会に関して「日本政府の決定を邪魔しない」と語り、新型コロナウイルスについては「政治が科学に介入してはいけない」と警告を発してきました。ドナルド・トランプ前大統領が、ファウチ博士に対して横やりの発言を入れて、新型コロナウイルスの危険性を過少評価したからです。
対中国政策に集中したいバイデン氏には、東京五輪・パラリンピックを巡って日米関係をギクシャクさせたくないという思いもあるからです。これは看過できない点です。
仮にですが、G7サミットで菅義偉首相が東京大会「開催中止」の説明をしたとしても、バイデン氏はその決断を尊重した訳です。つまり、「積極的支持ではない」という意味です。
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