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日本中が目撃した奇跡の金メダル 原田雅彦さんが振り返る長野五輪・ジャンプ団体戦の舞台裏

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共同通信社

1998年の長野オリンピック、日本中を沸かせたスキージャンプ団体の金メダル。その陰で活躍した西方仁也さんをはじめとする25人のテストジャンパーにフォーカスした映画『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』が18日に公開された。

同作で田中圭演じる西方さんは、94年のリレハンメルオリンピックには日本代表として参加するも、ケガの影響もあり長野オリンピックには落選。テストジャンパーとして日本代表選手を支えた。西方さんの同級生であり、ライバルとして子ども時代から切磋琢磨し、長野では金メダルの立役者となった原田雅彦さんに当時の舞台裏を聞いた。

オリンピックが日本で開催されるのは「奇跡的」

ー原田さんご自身も登場する、今作を見た感想を教えてください

感動しましたよ。やっぱり、あの長野五輪は日本で行われてたんだな、と改めて思います。僕らからしてもオリンピックって外国で行われるイメージが強いんですけど、日本で行われて、20年前になりますが、今でも多くの人が知っていて。

オリンピック=外国で開催される4年に1回ってイメージなのに、たくさんの人が目の前で応援してくれている、というのが映画を見て印象的でしたね。

ー長野開催が決まった時はどんなことを考えましたか?

意外にも今みたいに、メディアで取り上げられて「長野だ!」「決まった!」って感じではなかったと覚えています。

やっぱり自分の競技的なピークと、何十年に一回のオリンピックが日本で開催されるってのは奇跡的なことだなと。一生に何回かしか日本で開催されない。その時に現役選手として、出場できたのは奇跡的なことが起きたな、っていう。

ーなるほど。そんな奇跡的な長野オリンピックの裏のドラマを描いた『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』で、何か思い出した当時のことはありますか?

映画の主人公の西方は僕の同級生で、子どもの頃からずっと「ライバル」と呼ばれながら競い合ってきた仲です。映画に、彼の長野の実家の温泉宿が出てくるんですけど、そこが印象的でしたね。ああ、何度も行ったあそこだなー!と(笑)。

ー田中圭さん演じる西方仁也さんは、原田さんにとってどんな存在ですか?

子どもの頃からずっと一緒で、合宿も海外遠征もいつも一緒でした。自分の家族より長く一緒にいた相手で、友だちを超えた関係ですが、と言ってもなんでも話すわけではないんです。

性格的にはすごく真面目で、本当にストレートな人。一つ決めたらそれしか見えなくなるくらい。僕はそこがダメだって言ってきたんですけどね(笑)。とにかく目標に向かっていく人です。

©2021映画「ヒノマルソウル」製作委員会

自然、運も味方にしないとメダルには手が届かない

ーリレハンメル五輪では2人一緒に個人・団体に出場しましたが、この作品で描かれている長野五輪では西方さんがテストジャンパー、原田さんが日本選手の中心として参加しました。

ケガで長野に出場できなかった西方さんに対しては、どんな感情を持っていましたか?

なんでも言い合う仲ではないですが、お互いに気は使わない間柄ではあります。あいつは人一倍、長野オリンピックへの想いは強かったと思うんです。地元だったし、西方は子どもの頃から長野を代表するジャンパーとして長野県で強化されて、日本の代表になって世界で活躍して、地元でとても期待される存在だった。

彼もそれをわかってただろうし、ケガで外れた時は悔しいとかってレベルを超えて、落ち込んだんじゃないかなって思いますね。

ースキージャンプの難しさを感じます。原田さんと西方さんの選手としてのタイプの違いはどんなところにありますか?

選手によって違うんですよね。僕なんかはほけーっとしてますから、今日はダメだったな、明日頑張ろうぜ、って切り替えるタイプですが、西方は「ああ、あの時こうしておけばよかった」って考えるタイプでしたね。

スキージャンプの難しさって、自然に左右されるところだと思います。長野も、世界で戦える、上位に入れる選手を揃えて、誰が飛ぶんでもメダルが、っていうところまで作り上げて長野に乗り込んだわけですよ。なのに、戦う相手は自然だったんです。何も起こらなければ日本のメダルは固いと言われていたのに、こう来るかと。ケガもそうですけど、自然、運も味方にしないとメダルに手が届かない競技ですよね。

©2021映画「ヒノマルソウル」製作委員会

ー映画のメインになるストーリーでもありますが、五輪出場経験のある西方さんがテストジャンパーとして参加したことには、どんな風に感じましたか?

でも彼らしい決断ですよね。自分だけじゃなく、日本のチームに何ができるんだって考えた末に、そう決めたんでしょう。

飛べない人より、飛べる人がテストジャンパーをやってくれた方がいい、っていうのは当然あります。オリンピックですから、テストジャンパーも一流の人を揃えようという考えは協会にもあったでしょう。西方たちテストジャンパーたちが日本のために、自分たちがやるんだって思ってくれてたのは本当によかったと思います。

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