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東京都議会議員選挙告示など

 石破 茂 です。

 今日から東京都議会議員選挙が始まり、大田区大森、蒲田、墨田区錦糸町で街頭演説をして参りました。

 8年前、政権奪還の翌年、幹事長として手掛けた都議選は自民党公認候補全員が当選というパーフェクトゲームでしたが、4年前は一転して小池都知事率いる「都民ファースト」の旋風が吹き荒れて歴史的惨敗、そして今回の選挙を迎えています。

 4年前、森友・加計問題が報じられた直後に地方創生担当大臣として街頭演説に立った時の有権者の政権に対する怒りは凄まじいもので、12年前、麻生政権下で惨敗し、その後の政権交代に繋がった時以上の強烈な逆風を肌で実感したものでした。

 あれがあのまま続いていれば今の日本は相当に変わっていたことと思いますが、その後に行なわれた総選挙の際に小池都知事が発した「希望する人を全員『希望の党』に受け入れるようなことはさらさらない。排除致します」といういわゆる「排除発言」によって、「都民ファースト」を国政政党に発展させることを企図した「希望の党」は急失速して惨敗、「野党の自滅による自公政権の安定化」が今日まで続いています。

 今回の都議選には、有権者の政治に対する怒りでも共感でも絶望でもない、やり場のない恐ろしく冷めた雰囲気をひしひしと感じます。その本質は民主主義自体に対する虚無的な諦めであるように思われてなりません。

 それは有権者の責任だ、場当たり的な報道しかしないメディアが悪いのだ、と言ってみてもどうにもなりません。

 理非曲直を明らかにし、世論から批判を浴びようと、多くの支持を得られなかろうと、正論を唱え続ける勇気を、政治に携わる者が持たない限り、この風潮は加速し、やがては民主主義に名を借りた専制政治の登場を招きかねず、中国による香港の人権弾圧や言論封殺も対岸の火事ではすまされなくなってしまいます。

 激減する(と予想されている)「都民ファースト」の議席をどう各党で分け合うか、などということではなく、自民党が主体となって信頼できる誠実な政治を取り戻すべく、7月3日の最終日まで可能な限りの訴えをしたいと思っています。

「地方創生」は「東京の富を全国で分け合う」などという二項対立的なものでは決してありません。むしろ東京の抱える負荷をどのように全国で分担するかという問題でもあります。

 さらに言えば、人口の多くを占める中間層に限ると、「経済的豊かさ」(可処分所得から基礎支出と通勤時間を費用換算したものを差し引いた指標)は東京が全国最下位である、ということもまた認識されねばならない事実です(ちなみに1位は三重県の24万円。東京は13.5万円。国土交通省ホームページご参照)。

 23区・三多摩地域・島嶼部と、東京には62もの市区町村があり、それぞれの特色と課題があるのですから、事前によく下調べをしておかなくては応援演説の意味がありません。この準備作業は意外と膨大で時間のかかるものですが、自分にとっても、とても勉強になります。

 最高裁大法廷は23日の家事審判において、夫婦同姓を定めた民法などの規定は憲法第24条の「婚姻の自由」に違反しない、との決定を下しました。私自身は宮崎裕子裁判官をはじめとする4名の裁判官の違憲見解に賛同するところがありますが、間近に迫った総選挙の際に併せて行われる最高裁判所裁判官国民審査において、国民がこの問題についてよく考えて判断することが必要だと思っています。

 この国民審査の形骸化をどのようにして是正するかの議論も重要で、憲法改正は何も第9条に限ったものではありません。

 学校では三権分立の中で、司法に対する抑制的な機能として、国会による弾劾裁判と、主権者である国民自身が最高裁裁判官の適否審査を行う国民審査がある、と習ったのですが、どの裁判官がどのような裁判でどんな意見を表明したのか、審査を行う国民のほとんどが知らないというのは、形骸化の最たるものというべきではないでしょうか。

 自民党平成24年憲法改正草案ではこの点について、憲法によるのではなく、別途「最高裁判所裁判官国民審査法」を制定する必要性を指摘していますが、党内外でこれを議論しようという機運が全く高まらないのはとても残念なことです。

 森友事案にかかる、いわゆる「赤木ファイル」の内容が明らかになりましたが、今後ご遺族が求めておられる損害賠償が認められるのか、未だ予断を許しません。事象を知悉していないので断定的なことは言えませんが、真面目に国民のために尽くした方こそがきちんと報われるような世の中であるべきですし、司法は世の中に正義や道義が存在することを示すものであってほしいと願います。

 立花隆氏逝去の報に、また昭和が一つ終わったとの感を深くしました。昭和49年に文藝春秋11月号に発表された「田中角栄研究」が田中内閣退陣のきっかけを作った、とよく言われますが、きっかけとなったのはむしろ同誌に併せて掲載された、児玉隆也氏の「淋しき越山会の女王」ではなかったかと記憶しています。

 不勉強で立花氏の脳死に関する著作を私はほとんど読んでいないのですが、今回改めて読んでみたいと思いました。

 今週は何かと慌ただしい一週間で、落ち着いて本を読む暇がなく、一冊もご紹介することが出来ないことをお詫び申し上げます。

 皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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