- 2021年06月25日 15:08 (配信日時 06月25日 11:15)
「99点は0点と同じ」大坂なおみ、深田恭子…頑張る人ほど自分を潰す"危うい思考癖"
1/2うつ症状に悩む人が増えている。精神科医の和田秀樹さんは「テニス選手の大坂なおみさんが苦しむうつ病や、女優の深田恭子さんのように適応障害を訴える人には『かくあるべし』『完全主義』の思考の持ち主が多い。『まあ、いいか』という気持ちを持てる人のほうがストレスに強い」と指摘する――。
(写真左)大坂なおみオフィシャルサイトより/(写真右)2021年4月26日、スマホRPGゲーム『放置少女』の新CM発表会に出席した女優深田恭子 - 写真左=naomiosaka.com、写真右=Kodansha/アフロ
テニスの大坂なおみ選手と女優の深田恭子さんが苦しむ「心の不調」
プロテニスプレーヤーの大坂なおみさん(23)が東京オリンピックのテニス日本代表に決まった。
彼女は5月30日に開幕した全仏オープンで精神的負担を理由に1回戦勝利後の会見を拒否して罰金を課せられ、2回戦を前に、長らくうつ病に苦しんでいたことを告白して大会を棄権している。
このうつ病が、彼女の思い込みではなく、本当にその症状があるとすれば、オリンピックに間に合わない公算が大きい。もちろん、全仏1回戦で勝てたように、うつ病でもある程度の活躍はできるかもしれないが、五輪でもメディア取材の殺到は必至であり、精神的な負担も高まる。金メダルとなるとこれが治っていないとかなり困難だろう。
大坂さんとちょうど同じような時期に、女優の深田恭子さん(38)が適応障害という診断を受け、当面の間活動休止することを発表した。
うつ病と適応障害は似た症状もあるが、分類的には異なる病気である。
うつ病は、2週間以上抑うつ気分や不眠、食欲不振などの症状が続く。一方、適応障害は、ある種のストレス状況下でうつ病に似たような症状が出るが、特定の状況でない場面(たとえば家に帰った後)では、おおむね気分よく過ごすことができる。
この2人に関しては、ストレス状況やプレッシャーに起因する心の不調をきたしたのだろう、と私は考えている。
同じ悪条件でも、心が不調になる人と全然平気という人がいる
今、プレッシャーに起因する(=ストレス因子)という言葉を使ったが、「ストレス因子」と「ストレス」は同じものではない。
ストレス因子は心理学の世界では、ストレッサーと呼ばれるもので、人間にストレスを生み出すものであり、ストレスというのは、それによって生じた心のゆがみのことである。
たとえば、ブラック企業のような長時間労働や、口うるさい上司などはストレスではなくストレッサーということになる。
それによって、心が不調になったらストレスということになる。というのは、同じストレッサーのもとでも、心が不調になる人もいれば、全然平気という人もいるからだ。
ただ、ここで誤解されてはいけないのは、同じストレッサーのもとでストレスが生じない人は心が強く、生じる人が弱いというわけではないことだ。
大坂さんの会見拒否についても、当初はプロだから会見するのが当たり前とか、ほかの選手はそれほどのストレスを感じずにやっているではないか、といった意見も少なくなかった。実際、主催者側は罰金を課し、4大大会を通じて追放する可能性にまで言及した。
「かくあるべし思考」「完全主義」はうつ症状を引き起こしやすい
現在の精神医学では、同じストレッサーを受けた際、強い心の変調をきたしたり、逆にそれほどひどい心の変調をもたらさなかったりするのは、ものの見方、受け止め方の違いによるとされている。
現在、うつ病のカウンセリングの主流となっている認知療法は、うつになりやすい認知パターン・思考パターンを、なりにくいものに変えていくことを基本コンセプトにしている。
心に悪い思考パターンの一つに、「かくあるべし思考」とか「完全主義」というものがある。もちろん、こうした自分に厳しい姿勢があるから大坂さんも世界のトッププレーヤーになり、深田さんも長年トップスターでいることができたという側面はある。
しかし、自分は常に勝たないといけないとか、誰からも称賛される演技をしなければならないとかいった「かくあるべし」があると、プレッシャーのほうもどうしても強くなる。
そこで、たとえば治療場面では「あなたは一流選手で身体能力も高いから多くの試合に勝てるけど、たまに負けるのは自然なことだと思うよ」とか「人間、一人ひとり受け止め方が違うから、誰もが認めるなんてことは不可能だと思うよ」のような形で、完全主義やかくあるべし思考を緩和していく。
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