- 2021年06月24日 10:15
新版 超ヒマ社会をつくる5 超ポップ戦略
1/2近著「新版 超ヒマ社会をつくる アフターコロナはネコの時代」。その一部を、しみ出します。
第3章「超ポップ戦略」から。
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○クールジャパンは外来語
漫才の頂上決戦、M1グランプリ2020はマヂカルラブリーが制した。しゃべらずに暴れ倒すボケにツッコミまくる芸は、漫才か否か論争を巻き起こした。20年の歴史をもつこの大会が中川家からミルクボーイまで育んだかけあいしゃべくり表現を覆すパンク。
とはいえ漫才には、音曲、踊り、どつき、ぼやき、古くからさまざまなスタイルがあった。かけあいしゃべくりに固定するのは、ポップを捨てて伝統芸能へ逃げ込む道となる。様式をひっくり返し、多様化するのがポップカルチャーの要件だ。コロナで逼塞する中、ポップな漫才はあえてパンクな表現を覇者とした。
芸人もアーティストもクリエイターも巣ごもらざるを得ない。泰平とうらはらの難儀な時代に生まれる表現がある。ジャズもパンクも抑圧から生まれた。[グッド・タイムズ・バッド・タイムズ](レッド・ツェッペリン)
吉本芸人たちは自宅劇場と称して、次々とスマホでネタを繰り出した。新種の笑いが生まれた。星野源がインスタに投稿した「うちで踊ろう」がアーティストや政治家などを巻き込んで動画、ダンスなど数珠つなぎに表現を生んだ。アバターでの音楽ライブも作られた。
巣ごもり需要で世界的に活況となったeスポーツでは、F1、テニス、NBAのトップ選手が参加して、リアルスポーツとの融合が図られた。室内マシンで自転車をこいでタイムを競うバーチャル・ツール・ド・フランスが開催され、五輪をバーチャル開催する可能性を見せた。
コロナは新しい表現、新しいエンタメを生んでいる。いまも沸々と見えない芽吹き、聞こえない胎動があるはずだ。ネオ・ルネサンスが現れてくることを望む。
超ヒマ社会は、めくるめくエンタメ社会である。ポップでクールなエンタテイメント人生となる。テクノロジーでエンタメは、ポップカルチャーはどう拡張するのか。超ヒマ社会では、エンタメは、ポップカルチャーはどう活きるのか。
大阪出身の女性バンド「少年ナイフ」。80年代にぼくがディレクターを務めた。90年代、マイクロソフトのCMでローリング・ストーンズの後釜に座り、ニルヴァーナの世界ツアーのパートナーも引き受けた。世界で最も有名な日本のバンドだった。
その人気を上回るアーティストが登場した。初音ミクだ。2012年ロンドン五輪の開会式で歌ってほしい歌手の国際投票で一位を獲得した。本番ではポール・マッカートニーがヘイ・ジュードを歌い、実現はしなかった。だがこれは、日本のデジタル・ポップが世界的な定着をみたことを示している。
ロンドン開会式ではジェームスボンドが女王陛下を空中からエスコートした。Mr.ビーンがシンセサイザーを演奏した。デヴィッド・ベッカムがアシストして、ポールが登場。クール・ブリタニア。よかったね。そこでぼくはロンドンの学生1000人に聞いてみた。2020トーキョーは誰が開会式の壇上にふさわしい?
残念ながら政治家の名は挙がらない。残念ながらアーティストもスポーツ選手も挙がらない。挙がったのは、ガンダム、孫悟空、ピカチュウ。彼らが日本人かどうかは知らん。けど、日本を代表することはできる。日本はキャラクターの国だから。ハラキリ、カミカゼの闘う国というイメージはもうない。トヨタ、ホンダ、ソニーの闘う企業のイメージもない。ナルト、デスノート、ワンピース、ブリーチ、ユーギオー、セーラームーン、コナン、グレンダイザー、カウボーイビバップ、ランマ。日本はポップカルチャーの国なのだ。
2016年リオ五輪の閉会式。キャプテン翼、ドラえもん、パックマン、キティちゃんに次いで、土管から安倍マリオが登場した。かつてマンガ・アニメ・ゲームは国の規制対象でしかなかったが、今や国宝であることを地球の裏側で示した。



