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マスコミの言うことには何でもダメ出しする人も多いですが

軽減税率を求める声明(日本新聞協会)

日本新聞協会は、新聞、書籍、雑誌には消費税の軽減税率を適用するよう求める。

知識への課税強化は国の力を衰退させかねないほか、欧州では民主主義を支える公共財として新聞などの活字媒体には課税しないという共通認識がある。民主主義社会の健全な発展と国民生活に寄与する新聞を、全国どこでも容易に購読できる環境を維持することが重要である。

付加価値税の標準税率が二桁を超える欧州でも、新聞に対する税率は、英国、ベルギー、デンマーク、ノルウェーはゼロ税率となっているほか、フランス2.1%、スペイン・イタリア4%、ドイツ7%など、主要国では一桁に抑えられている。新聞協会が昨年11月に実施した調査でも、8割を超える国民が軽減税率の導入を求め、そのうち4分の3が新聞や書籍にも軽減税率を適用するよう望んでいる。

また、国民に知識、教養を普及する役割を果たしている書籍、雑誌、電子媒体にも同様の措置をとることが望ましい。


さて、新聞協会は軽減税率の適用を求めるとのことです。以前から各新聞社が個別に新聞を軽減税率の対象とするよう社説などを載せる動きは多々あり、そして今度は協会として見解が出されました。曰く「8割を超える国民が軽減税率の導入を求め、そのうち4分の3が新聞や書籍にも軽減税率を適用するよう望んでいる」とのこと。もっともネット上の論者からは反発を買っているところも多いようです。先の衆院選を例に出すまでもなく、ネット世論よりも新聞の世論調査の方が格段に信頼できるわけですが、まぁ敢えて反対論に思いを馳せてみましょう。

軽減税率の適用を求める新聞社の動きに噛みついている人の中には消費税増税そのものに否定的な論者も多くて、どうにも軽減税率を語りながら消費税増税そのものには諸手を挙げて賛成する姿勢の新聞社が多いことへの怒りが見え隠れしていたりします。消費税増税への世論誘導に励みながら、その一方で自社商品には軽減税率を適用せよと説くのはケシカラン、と。何だか子供の喧嘩みたいな理屈です。そもそも消費税増税と軽減税率適用は矛盾する話ではないので、賛成反対はさておき決して無理筋の話ではないような気がしますけれど。

消費税増税に限らず、日頃の新聞報道全般への不平不満から業界に噛みついている感じの人もいるでしょうか。マスゴミ云々とメディア批判に走るのは、どこでもウケが良いもので、既存メディア批判にかこつけて軽減税率適用にまで一緒にダメ出しをする人が目立ちます。確かに東京新聞を筆頭にメディアとしての基本倫理が欠落した酷い代物も多いですが、そうは言っても「他」の何かが新聞の代替たり得るのかどうか、ネット世論と選挙結果の乖離とは裏腹に新聞調査と選挙結果は概ね狂いのないものでした。相対的にではあれ、国民に情報を伝達するインフラとして新聞へのアクセスはまだまだ必要に思われるところです。

新聞(+書籍、雑誌、電子媒体)ばかりが特別なのか、それ「以外」にも国民にとって欠かせないものはあるだろうと語る人もいます。そうですね、新聞だけが必須でもない、新聞「以外」にも軽減税率の適用は求められるところで、そこは新聞社が役割を果たさなければならない、これまでの消費税増税路線を読者に陳謝し、主張を改めることは求められても良いでしょう。ただ、軽減税率が必要なのは新聞だけではないからといって、新聞ばかりの軽減税率には反対⇒軽減税率を求めるのは筋違いみたいな方向に議論が進むのは乱暴ではないかとも。この辺、経済成長「だけ」では問題が片付かないからと、経済成長そのものを否定にかかってしまうようなお馬鹿さんを彷彿とさせます。

それはさておき、新聞への軽減税率適用は誰のためなのでしょうか?新聞業界からの要望に批判的な人は専ら、軽減税率が「新聞社」のためであるかのごとくに語っているケースが目立つように思います。確かに、手続きとして消費税を納めるのは事業者たる新聞社で、そこに軽減税率が適用されれば新聞社が納めるべき税金の額も少なくなるわけです。新聞社側が、自らの「利」のために軽減税率を求めているのだと、暗にそう印象づけたがっている人も少なくなさそうです。しかし――

例えば産経新聞の購読料は月額2,950円です。ここに課される消費税って、実際には誰が負担しているのでしょうね。商品やサービスの値段が、105円であったり1,260円であったり、そういうキリのいい金額だと本体価格に消費税が転嫁されている、消費者が消費税を負担している印象を受けると思います。しかし販売価格が980円であったり700円であったり、あるいは2,950円であったりした場合はどうでしょうか。吉野家の牛丼並盛り380円には約18円の消費税が課せられますが、これを負担しているのは客なのか店なのか、それは実際のところ藪の中としか言い様がありません。

消費税とは商品なりサービスなりを購入する側が払うものであるのなら、軽減税率適用を訴える新聞業界は自社の利益のためではなく、あくまで顧客の利益のために主張しているのだと言えます。逆に消費税=販売する事業者が支払うものと捉えるなら、軽減税率適用は自社の利益を守るための行動と言えそうです。まぁ誰にでも自分の利益を守る権利はあると思いますが、それはさておき消費税を負担しているのは「実際には」誰(どちら側)なのやら。この実態としての負担者が曖昧なところもまた消費税の致命的な欠陥ですね。

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