- 2021年06月22日 09:33 (配信日時 06月22日 08:15)
「児童手当無し、高校無償化も対象外」高所得者への"子育て罰ゲーム"が少子化を加速する
1/2高額の税金を払い、高い保育料を払った揚げ句、児童手当無し、奨学金、高校の授業料無償化は対象外……。「高所得者ほど子育ての負担が大きい日本は、本当に少子化を改善する気があるのか甚だ疑問」と話すのは、米国公認会計士の午堂登紀雄さん。少子化対策が効いて子どもが増えている国は制度設計の発想が違うと指摘します――。

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Khongtham
児童手当の不公平さ
すでにご存じの人も多いと思いますが、世帯主の年収が1200万円以上の世帯の児童手当を廃止する、改正児童手当関連法が2020年5月21日の参院本会議で賛成多数で可決、成立しました。
その不公平さ、制度のいびつさについては以前もこちらのコラムで書いた通りですが、国会議員ですら「賛成多数」というのに驚きました。
反対した議員より賛成した議員の方が多いというのはマジですか。優秀なはずの官僚は、議員に進言しなかったのでしょうか。
保育料も毎月数万円の差
高所得世帯は子育てうんぬんの前に、すでに「所得税+住民税+社会保険料」を所得に応じて普通の人よりも多く払っています(所得税は累進税率、住民税は一律10.21%、社会保険料は標準報酬月額、つまり月収に連動)。
子育て世帯に重要な保育園料も住民税額に連動しており、0~2歳児の場合、たとえば私が住んでいる自治体では幼児一人あたり最低8500円/月ですが(生活保護・非課税世帯を除く)、高所得世帯では最高7万円/月です。
それだけのものをすでに支払っているわけです。
高校の授業料無償化にも所得制限
なのに子育て関連の補助・助成のほとんどに所得制限がかかっています。
たとえば高校の授業料無償化も所得制限があり、世帯で約910万円の収入がある場合は除外です(なお、世帯収入目安は子の数によって変わり、私立の場合は収入に応じて段階的に支給が減額・停止されます)。
・公立高校の場合
・私立高校の場合
また、子の大学の学費を奨学金で賄おうにも、日本学生支援機構の奨学金受給要件にもやはり所得制限があり、こちらも子の数によって変わるものの、世帯年収750万円以上でほぼ対象外となります。
つまり高所得世帯は奨学金が借りられないわけで、親が期日までに学費全額を用意しなければなりません。もし同時期に進学する子が複数いれば、その経済的負担は相当のものになります。

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Milatas
将来の財源を失うことになる
たとえば低所得で「子どもが1人」の世帯に比べ、高所得だけれども「子どもが3人」の世帯とを比べた場合、後者の方が余裕があるはずだ、などとは言えないでしょう。
一般的には高所得者ほど子の教育には熱心ですが、経済問題で高等教育を断念せざるを得ないとしたら、将来の高所得者候補(つまり財源)を失うことになりかねません。
世帯における「子の数」を考慮しないのは、日本の政府に少子化対策は眼中にないのでしょう。
ちなみに筆者の長男は発達障害なので、療育(児童発達支援施設での通所支援)を受けていましたが、一般世帯の月額負担上限は4600円/月なのに対し、わが家では上限が月3万7200円に跳ね上がります。
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