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- 2021年06月16日 09:21
なぜ日本のテレワークは効率が悪いのか? - 濱野ゆか(研修講師)
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総務省は6月11日、東京五輪・パラリンピックの49日間、人流の減少を目的としてテレワークの集中的な実施を求める方針を発表しました。
感染防止に加え業務効率を上げることもテレワークの目的の1つですが、様々な事情から仕事がやりにくい、部下の管理がしにくい、業務がスムーズにいかないといった声も多く聞かれます。ただ、諸外国では生産性が高まったデータが多数あります。
コロナの流行から1年以上経過した今、日本企業のテレワークと生産性について考えたいと思います。
テレワークは一見コロナの感染予防として導入が進んでいる様に見えますが、実はテレワークを推進する動きは、労働人口減少の課題や働き方の多様性、ITインフラの充実などを背景にコロナ禍以前から始まっています。
例えば、2016年に総務省・厚生労働省が「テレワーク推進企業ネットワーク」を、2017年には東京都が「テレワーク推進センター」を立ち上げるなど、テレワーク導入企業に情報提供やアドバイスを行う体制は官民連携で動き出しています。
コロナ終息後のテレワーク定着率に関する見解は様々ですが、働き方の選択肢が増えたり、オンライン会議が当たり前になるなど一定の定着があるのは明らかです。
オフィスに出社する意義は、災害時に顕著に問われます。
2019年9月、台風15号が関東地方を直撃しましたが、台風の影響で運休していた鉄道各社が運転を再開したとたん、多くの人が出社しようと詰めかけ、駅に長蛇の列ができた様子が報道されました。
当時、なぜそこまでしてオフィスに行く?という声とともに、人がごった返した駅の写真はSNS上でも広く拡散されました。
この時の状況を東京大学と県立広島大学が共同で行った調査※1があります。9月9日、首都圏の通勤・通学者で出勤や登校の予定があった人のうち、会社や学校を休んだのは約15%、遅刻を含め約80%の人が出勤しました。
ここで問われるべきは、「働く=出社」なのか?ということです。コロナ禍は、この価値観に一石を投じました。
出社せずに仕事をすることも当たり前になった今、出社とテレワークでは生産性に違いはあるのでしょうか?
人材派遣大手のパーソル総合研究所が2020年3月から定期的に実施しているテレワーク調査の第四回※2を見ますと、テレワークを行うことにより「生産性が下がった」と答えた割合は64.7%、「変わらないor上がった」と答えた割合は35.2%となっています。
オラクルと米Workplace Intelligenceが共同で調査した「コロナ禍の日本における働き方とAI(人工知能)の利用実態に関する調査結果」※3によると、日本企業でテレワークにより生産性が下がったと答えた割合は46%、生産性が上がったと答えた割合は15%と、テレワークで生産性が下がったと感じている人の割合が3倍も高いことが分かります。
この調査は日本を含めた11ヵ国で行われています。アンケートの平均数値は「生産性が下がった」が36%、「生産性が上がった」が41%です。平均値を見るとある程度拮抗していますが、生産性の向上が下落を上回った国は11ヵ国中8ヵ国となっています。
そして「生産性が上がった」と回答した人の割合は、日本が11ヵ国中最下位という結果で、日本の低さが際立っています。このアンケート調査から分かることは、テレワークの効率が悪いことではなく、「日本におけるテレワークの効率が悪いこと」です。
感染防止に加え業務効率を上げることもテレワークの目的の1つですが、様々な事情から仕事がやりにくい、部下の管理がしにくい、業務がスムーズにいかないといった声も多く聞かれます。ただ、諸外国では生産性が高まったデータが多数あります。
コロナの流行から1年以上経過した今、日本企業のテレワークと生産性について考えたいと思います。
■近年導入が進むテレワーク コロナ禍で一気に拍車がかかる
テレワークは一見コロナの感染予防として導入が進んでいる様に見えますが、実はテレワークを推進する動きは、労働人口減少の課題や働き方の多様性、ITインフラの充実などを背景にコロナ禍以前から始まっています。
例えば、2016年に総務省・厚生労働省が「テレワーク推進企業ネットワーク」を、2017年には東京都が「テレワーク推進センター」を立ち上げるなど、テレワーク導入企業に情報提供やアドバイスを行う体制は官民連携で動き出しています。
コロナ終息後のテレワーク定着率に関する見解は様々ですが、働き方の選択肢が増えたり、オンライン会議が当たり前になるなど一定の定着があるのは明らかです。
■問われる出社の意義
オフィスに出社する意義は、災害時に顕著に問われます。
2019年9月、台風15号が関東地方を直撃しましたが、台風の影響で運休していた鉄道各社が運転を再開したとたん、多くの人が出社しようと詰めかけ、駅に長蛇の列ができた様子が報道されました。
当時、なぜそこまでしてオフィスに行く?という声とともに、人がごった返した駅の写真はSNS上でも広く拡散されました。
この時の状況を東京大学と県立広島大学が共同で行った調査※1があります。9月9日、首都圏の通勤・通学者で出勤や登校の予定があった人のうち、会社や学校を休んだのは約15%、遅刻を含め約80%の人が出勤しました。
ここで問われるべきは、「働く=出社」なのか?ということです。コロナ禍は、この価値観に一石を投じました。
■テレワークの生産性は低いのか?
出社せずに仕事をすることも当たり前になった今、出社とテレワークでは生産性に違いはあるのでしょうか?
人材派遣大手のパーソル総合研究所が2020年3月から定期的に実施しているテレワーク調査の第四回※2を見ますと、テレワークを行うことにより「生産性が下がった」と答えた割合は64.7%、「変わらないor上がった」と答えた割合は35.2%となっています。
オラクルと米Workplace Intelligenceが共同で調査した「コロナ禍の日本における働き方とAI(人工知能)の利用実態に関する調査結果」※3によると、日本企業でテレワークにより生産性が下がったと答えた割合は46%、生産性が上がったと答えた割合は15%と、テレワークで生産性が下がったと感じている人の割合が3倍も高いことが分かります。
この調査は日本を含めた11ヵ国で行われています。アンケートの平均数値は「生産性が下がった」が36%、「生産性が上がった」が41%です。平均値を見るとある程度拮抗していますが、生産性の向上が下落を上回った国は11ヵ国中8ヵ国となっています。
そして「生産性が上がった」と回答した人の割合は、日本が11ヵ国中最下位という結果で、日本の低さが際立っています。このアンケート調査から分かることは、テレワークの効率が悪いことではなく、「日本におけるテレワークの効率が悪いこと」です。
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