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  • 2021年06月15日 17:40 (配信日時 06月15日 17:00)

財政破綻または財政健全化の負担を試算する 孫から見た日本財政 - 島澤 諭 (中部圏社会経済研究所研究部長)

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「逃げ切れる」確率は50%

『「10年後の破綻確率50%!」ギャンブルを続ける日本財政』では、新型コロナ禍により悪化した財政状況を受けて10年後までの財政破綻確率は50%であること、そして財政破綻確率を、他のG7諸国並みにまで引き下げようとすれば、消費税率に換算すると10~20%規模の追加的な財政健全化策が必要であることを示した。

国民的合意が得られない財政健全化

現実には、毎年150兆円超もの国債が安定的に消化され、その発行金利も低下を続けている。その結果、利払い費やインフレ率も低位で推移するなど、政府債務を取り巻く環境は安定している。一部専門家の懸念をよそに、現在までのところ、財政が破綻する兆候はみられない。こうしたこともあってか、消費税の引き上げや歳出削減など更なる財政健全化への国民的な合意は得られていない。

しかし、今世紀中も65歳以上の高齢者全体に占める後期高齢者のウェイトが上昇を続ける「高齢者の高齢化」は進む。これは、社会保障給付を増加させ、他の事情が一定であるならば、大きな歳出圧力になる。将来の歳出圧力や、今般の新型コロナ禍のような「緊急事態」に備え、政府が財政制約を気にせず大胆に機動的に対処できる余力を残しておくためにも、これ以上の政府債務の積み上がりを避け、可能であるならば削減しておくことは、喫緊の課題である。


(laymul/gettyimages)

世代会計を用いたシミュレーション分析

財政破綻するにしても、財政健全化を実行するにしても、その時存在する国民は相応の負担を負うことになる。しかし、その時がいつであるのかは事前には確定していないし、その負担も国民全体に等しく降りかかるものでもない。

本稿では、2020年現在生きている世代(以下、現在世代)や未出生世代(以下、将来世代)のうちの誰がどの程度のコストを負担するのか、世代会計という手法により明らかにする。

シミュレーションケースについては、表1のように設定した。


1)2018年度現在の社会保障財源の内訳をみると、総額121.5兆円のうち公費負担(税・赤字国債による負担)は50.4兆円である。そのうち、社会保障目的税である消費税収は17.7兆円であり、残りの32.7兆円が赤字国債による負担分とみなすことができ、全体の27%を占めている。そこで、財政破綻とともに社会保障への赤字国債負担による公費投入を廃止し、保険料と消費税収の範囲内で財源を調達することにするものと想定した。 写真を拡大 写真を拡大

この表1のケースを用いて行ったシミュレーションケースは次の1と2(①~③)の4つだ。

1.不健全財政ケース

「財政破綻する状態」が高い確率で発生するにもかかわらず、現状維持を続ける状況を「不健全財政ケース」と呼び、現状維持ケースと財政破綻ケースを各々の発生確率でリンクし、生涯純税負担率の期待値を取った。

2.健全財政ケース

歳出削減は行わず、消費税増税によって財政を健全化するシミュレーションを「健全財政ケース」と呼び、以下の3つに分けてシミュレーションした。

健全財政ケース①は財政健全化ケース1(消費税率20%)と財政破綻ケースを各々の発生確率でリンクし、生涯純税負担率の期待値を取る。

健全財政ケース②は財政健全化ケース2(消費税率25%)と財政破綻ケースを各々の発生確率でリンクし、生涯純税負担率の期待値を取る。

健全財政ケース③は財政健全化ケース3(消費税率30%)と財政破綻ケースを各々の発生確率でリンクし期待値を求めた。

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