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- 2013年01月18日 13:35
『MEDIA MAKERS』を読んで考えたこと
画像を見るMEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体 (宣伝会議)
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『R25』など数々のメディアの仕掛け人で現在はNHN Japanの執行役員である田端信太郎氏の単著。書籍が1680円のところkindle版だと900円だったので、こちらを購入してみた。
ここで触れている「メディア」とは、出版やネットにおけるコンテンツ・ビジネスといった分野についても書かれているがそれだけに留まらない。「伝達」という手段、という意味において、例えばTシャツに書かれたメッセージは、それを作った人と着る人、そして観る人が揃うと立派にメディアとして機能しうる。
そのような前提のもと、影響力を最大化していくのが田端氏のいうところの「メディア野郎」ということになるだろう。メディアという観察者なしには世界は立ち上がらないし成長しないというくだりに、彼の矜持が見え隠れしていて、いち書き手として共感する。
「個人がメディア化する」というとピンとこないひとが多いかもしれないから、これを「ブランド化する」と言い換えてもいいだろう。テキストや写真・動画などのコンテンツを発信していくことはもちろんのこと、情報をピックアップすることで、自分が好きなものや考え方を発信する。それを公開の場で行うことにより、第三者の注目を集めてキャラ化されることにより、ブログやtwitterやFacebookのタイムラインが、あたかもその人が編集した雑誌やテレビ番組のように機能していく。コンテンツのクオリティーが高く、それが多くのひとに支持されるようになると、ブランドとなって支持されるという循環構造になるわけだ。
本書でも有料メルマガなどの個人型メディアについて一章を設けて解説しているが、現状のマネタイズの手法に関係なく、何らかの影響を社会に与えようとするならば個人のメディア化=ブランド化は避けて通ることは出来ないだろう。
また、新聞・雑誌などのオールドメディアが退潮に向かっているのは、書き手や編集者の「キャラ化」が充分でないのが一因であるということもやんわりと指摘されている。逆にいえば、出版を含めたメディアビジネスに関わっているひとで、個人としての色を打ち出せないと退場を余儀なくされるということにも繋がるように思える。
ブロガーやライター、あるいは編集者やディレクター・プロデューサーとしても、「そのひとが関わっているから読む」というファンを増やしていくことが、関わるメディアにも相乗効果を与えていくというのが望ましい形。そのためには、常に質の高い記事やデザインを提供し続けなければいけないことはいうまでもない。
一方で、田端氏は再三に渡って「受け手こそが王様」と強調する。ユーザー・読者へ、いかに有益な情報を提供できるのかという姿勢は、どんな立場になったとしても忘れてちゃだめだよね、と私も思う。また、これはメディア関係者だけでなくビジネス全般に通底する鉄則だし、それを失っているからオールドメディアは衰退傾向なんだろうなぁ、という感想をもった。
他にも、実際に広告収入型のメディアの収益計算の方法や、テクノロジーに対するメディアへの影響といったトピックにも言及されており、出版やサイト運営といった生業をする人の教科書的な位置づけが出来そう。あとは田端氏のエッセンスをどのように読む側が咀嚼して生かしていくかが問われているのではないかしら。
そんなこんなで、Parsleyも2013年はもっと自分をメディア化する戦略を真剣に考えなければいけないという気持ちを新たにした次第です。
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ここで触れている「メディア」とは、出版やネットにおけるコンテンツ・ビジネスといった分野についても書かれているがそれだけに留まらない。「伝達」という手段、という意味において、例えばTシャツに書かれたメッセージは、それを作った人と着る人、そして観る人が揃うと立派にメディアとして機能しうる。
そのような前提のもと、影響力を最大化していくのが田端氏のいうところの「メディア野郎」ということになるだろう。メディアという観察者なしには世界は立ち上がらないし成長しないというくだりに、彼の矜持が見え隠れしていて、いち書き手として共感する。
「個人がメディア化する」というとピンとこないひとが多いかもしれないから、これを「ブランド化する」と言い換えてもいいだろう。テキストや写真・動画などのコンテンツを発信していくことはもちろんのこと、情報をピックアップすることで、自分が好きなものや考え方を発信する。それを公開の場で行うことにより、第三者の注目を集めてキャラ化されることにより、ブログやtwitterやFacebookのタイムラインが、あたかもその人が編集した雑誌やテレビ番組のように機能していく。コンテンツのクオリティーが高く、それが多くのひとに支持されるようになると、ブランドとなって支持されるという循環構造になるわけだ。
本書でも有料メルマガなどの個人型メディアについて一章を設けて解説しているが、現状のマネタイズの手法に関係なく、何らかの影響を社会に与えようとするならば個人のメディア化=ブランド化は避けて通ることは出来ないだろう。
また、新聞・雑誌などのオールドメディアが退潮に向かっているのは、書き手や編集者の「キャラ化」が充分でないのが一因であるということもやんわりと指摘されている。逆にいえば、出版を含めたメディアビジネスに関わっているひとで、個人としての色を打ち出せないと退場を余儀なくされるということにも繋がるように思える。
ブロガーやライター、あるいは編集者やディレクター・プロデューサーとしても、「そのひとが関わっているから読む」というファンを増やしていくことが、関わるメディアにも相乗効果を与えていくというのが望ましい形。そのためには、常に質の高い記事やデザインを提供し続けなければいけないことはいうまでもない。
一方で、田端氏は再三に渡って「受け手こそが王様」と強調する。ユーザー・読者へ、いかに有益な情報を提供できるのかという姿勢は、どんな立場になったとしても忘れてちゃだめだよね、と私も思う。また、これはメディア関係者だけでなくビジネス全般に通底する鉄則だし、それを失っているからオールドメディアは衰退傾向なんだろうなぁ、という感想をもった。
他にも、実際に広告収入型のメディアの収益計算の方法や、テクノロジーに対するメディアへの影響といったトピックにも言及されており、出版やサイト運営といった生業をする人の教科書的な位置づけが出来そう。あとは田端氏のエッセンスをどのように読む側が咀嚼して生かしていくかが問われているのではないかしら。
そんなこんなで、Parsleyも2013年はもっと自分をメディア化する戦略を真剣に考えなければいけないという気持ちを新たにした次第です。
- ふじい りょう(Parsley)
- 乙女男子。ブロガー/ライター/Webディレクターなど