- 2021年06月13日 08:31 (配信日時 06月13日 06:00)
9浪して早稲田大学に入学した30歳男性「まったく後悔ない」 偏差値41・壮絶いじめからの道のり
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2019年度の「学校基本調査」によると、大学入学者の約20%は19歳以上、つまり浪人生だという。しかし、その多くは1浪で、2浪以上になると極端に数が減る。
そんな中、"多浪"を売りにYouTuberとして活躍する大学生がいる。「9浪はまい」と名乗る濱井正吾さんだ。2018年4月、9浪のすえに早稲田大学教育学部国語国文学科に入学した。4年生のいま、30歳だ。
「どん底時代を0%とすると、今の幸福度は80%」
濱井さんは人気YouTubeチャンネル「バンカラジオ」や「トマホーク」に出演するだけでなく、「アラサー早稲田生9浪はまい」という自身のチャンネルでも受験を語る動画やネタ動画などを投稿しており、早大生の中では有名人だ。学内でもよく声をかけられる。

人気YouTubeチャンネル「バンカラジオ」でコントを演じる様子(画像は動画をキャプチャ)
「どん底時代を0%とすると、今の幸福度は80%。おかげさまで本当に楽しいです。浪人時代は『なぜ大学受験に固執するんだ』と言われてきたけれど、そういうことを言う人は、この環境にはいません」
同じクラスの同じ学科、サークル、YouTube活動でも仲間がいて、本当に恵まれていると感じるという。
それにしても、どうして9浪まですることになったのか。濱井さんに、その壮絶な体験を語ってもらった。
高校でのいじめがきっかけで大学受験を決意
話は高校時代に遡る。兵庫県出身の濱井さんは地元の産業高校に進学した。偏差値は41。この学校の環境が劣悪だった。喧嘩やリンチは日常茶飯事で、勉強していると同級生に「なぜ勉強してるの、バカじゃん?」となじられる。高校生活3年と浪人生活9年の"暗黒の12年"がここから始まる。
野球部に所属していた濱井さんは、しばらくするといじめの対象になった。壁に押し付けられ、失神させられる。殴られ、蹴られ、関節技を決められて痣だらけになる。遠征先のホテルで裸で歩かされる。局部の写真を撮られ、クラスや中学時代の同級生に送信される。ボロボロのスパイクを高値で買わされる――。これはいじめの一部にすぎない。
「まわりの人間みんなが自分の悪口を言っているんじゃないかと錯覚するようになった時期もありました」

高校時代(濱井さん提供)
野球部は退部した。「自分をいじめた奴らを見返したい」という気持ちを抱きながら、ネットゲームに逃避していた。
高校はやめなかった。父親が病気で倒れ、母親の手で育てられたため、「高校だけは出てほしい」という彼女の願いを退けられなかったからだ。
親戚に大卒がいなかったこともあり、進学はせず、早く働くのが親孝行だと考えていた。進学を思い立ったきっかけは、ネットゲームで同志社大学の学生と出会ったことだった。そこで、自分にも大学進学という選択肢があるのだと気づいた。
「大学を受けるのは学歴を得るためではない」
濱井さんは自分が持っていた「情報処理検定」という資格を使って受けられる大学を受験し、大阪産業大学に合格した。しかし、一般受験をしなかったことで、コンプレックスにも悩まされることになった。
所属サークルの交流で京都大学や同志社大学の学生と話した時、「教養があり、人間性も優れている」と感銘を受けた。それは、彼らが勉強をする中で努力をして、自分で考える力と忍耐力を培ってきたからではないかと、濱井さんは考えた。
「学歴が目的なら、大学院でいい大学に入る手もあります。けれど、思考力が足りない、教養がないというコンプレックスを払拭するには、学力を身につける必要がありました。その基準が東大・早慶レベルの大学に一般入試で合格するというものだったのです」
濱井さんの9浪生活は、ここから本格的にスタートした。振り返ると以下のようになる。
・大阪産業大で仮面浪人。受験勉強を続けるも、合格には至らず(1浪・2浪)
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・3年次に龍谷大学に編入。卒業後は受験費用を貯めるために証券会社に入社した(3浪・4浪)
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・勉強との両立が厳しいと感じて証券会社を10日で退社し、置き薬会社に営業マンとして入社(5浪・6浪)
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・貯金ができたため退職し、勉強に専念(7浪・8浪)
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・予備校・増田塾に入り、基礎から勉強して早稲田に合格(9浪)



