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コロナ不況で住宅ローンが返せない人急増 持ち家の売却は急いだほうがいい理由

予期せぬコロナ不況で持ち家の売却を迫られるケースが続出している

「コロナ不況」によって大幅な収入減に見舞われたり、職を失ったりする人が増えている。そんな中、住宅ローンの返済が不能になり、泣く泣く持ち家の売却を迫られるケースも続出している。だが、売却といってもそう簡単に事が運ぶとは限らない。住宅ジャーナリストの榊淳司氏が、ローン破綻を回避する最善策をアドバイスする。

【写真】ローン返済の相談相次ぐ銀行

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 2021年の1─3月期のGDPは年率換算でマイナス5.1%となっている。4月末からは3回目となる緊急事態宣言が東京や大阪などの主要都市で発出された。適用エリアはその後、北海道や沖縄などにも広がっている。このままでは4─6月期のGDPもマイナスは免れないだろう。

コロナ不況で年収500万~800万円の中堅所得層が窮地に

 日本経済は、紛れもなくコロナ不況のモードに入っている。

 2020年は安倍内閣(当時)が何度も補正予算を組んで、国民一人につき一律15万円の給付や、法人には持続化給付金として1社最大200万円という「バラマキ」政策が実施された。その他、利子補給などの制度を利用すれば、法人は銀行融資が受けやすくなったりもした。

 この緊急経済対策によって、市場には俄に約60兆円のマネーが流れ込んだ。都心や湾岸のマンション市場も活気を呈している。

 しかし、すべての国民が潤ったわけではない。年収が500万円から800万円レベルの中堅所得層は、テレワークの普及によって残業や休日出勤が急減して年収を減らしている。あるいは、非正規雇用であった配偶者が失業の憂き目にあったケースも多い。

売れているマンションは6000万円以上の高額物件ばかり

 コロナ不況の特徴は、年収1000万円以上の層にはほとんど影響が出ず、世帯年収が数百万円の中堅所得層に強くマイナスの影響が出ているところにある。

 マンション市場でいえば、都心に立地する6000万円以上の物件は新築、中古ともにそれなりに動いている。新築マンションの販売は好調とは言えないまでも徐々には進捗。中古マンションに関しては、かなりなハイペースで在庫の圧縮が進んだ。テレワークのために広さや部屋数を求める需要が発生したからだ。

 しかし、中堅所得層の多くは収入が減じたことで住宅ローンの返済や家賃負担に困難が生じている。

銀行に駆け込めばローン返済猶予の救済措置もある

 コロナ感染拡大の影響で収入が減少し、ローン返済に困っている人は急増している。そういう人たちははまず、借りている銀行に相談する。

 すると、銀行は返済猶予のプランを提案する。とりあえず半年から1年ほどの間は利息のみを支払うといった内容だ。収入が回復すれば元金も合わせた通常の返済に戻そうというもの。当然、返済期間は延びる。

 金融機関への相談は新型コロナの感染拡大が始まった昨年春から急増し、住宅ローンの返済猶予など救済措置を受けた人はじつに5万人を超えているという。また、返済の相談を受けた銀行等は、9割以上の割合でこのような返済猶予に応じていると言われる。

 そして、そろそろ「とりあえず」の期間が終了し始めるのがこれからだ。

任意売却は「早めに決断したほうがいい」理由

 収入が回復せずに、正常な返済への回復見通しがない場合はどうなるのか。そういう時には、担保となった住宅を売却してローンを精算する手段を選ばざるを得ない。

 この売却精算を裁判を通じて強制的に行うのが「競売」。返済者の意思を尊重しながら通常のスタイルで行うのが「任意売却」である。

 任意売却で市場に売り出されるマンション等は、今後かなり多くなってくるだろう。それは相談件数の急増からも容易に想像できる。

 今、住宅ローンの返済猶予を受けていて、収入の回復見込みが薄い場合は早めの任意売却をお勧めしたい。その理由は、任意売却物件が急増すると、市場価格が大きく下落してしまう可能性があるからだ。

 マンションなどの住宅も、市場価格は需要と供給の関係で決まる。売却物件が多くなれば、それは市場への下落圧力となるのだ。

購入価格4000万~7000万円の住宅で任意売却が増える

 特に、世帯年収が1000万円未満の中堅所得者が需要層の中心となっている準郊外から郊外にかけての、4000万円から7000万円あたりの価格で購入された住宅では、今後任意売却物件が増えるはずだ。湾岸のタワマンとて、この価格帯に入れば例外ではなくなる。

 任意売却が通常の売却と異なるのは、必ず一定期間内に売買を成立させなければならないところだ。つまり、期限が近付けば買い手が付くレベルまで価格を下げる必要が生じる。こうして値下げされた価格で取引が成立すれば、それが市場相場となる。

 今のところ、市場では任意売却物件の存在は目立っていない。しかし、今後は任売物件が急増して、市場に強烈な下落要因をもたらす可能性は高い。

今ならまだ任意売却で借金をチャラにできる

 住宅ローンの怖いところは、売却で得た額がローン残高に達しない場合、差額が負債として残ってしまうことである。

 それがあまりに多額で返済が不可能な場合は、個人的な破産によって免れるしかなくなる。破産すると官報に告示されたり、クレジットカードが作れなくなったりするなどのペナルティが課される。

 住宅ローンといえども、借金には変わりない。購入した住宅を担保にした借金だ。その担保の価値がローン残高を上回っているのなら、任意売却による精算には躊躇しないほうがいいだろう。マンションなどの住宅価格の高騰が終わっていない今なら、まだ任意売却によって借金をチャラにできるチャンスが残っている。

 任意売却物件が急増して市場価格が下落を始めると、個人破産による精算に追い込まれるケースが増えるだろう。

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