- 2013年01月18日 07:20
福井県鯖江市が始めた「オープンガバメント」ってなに?
これはすばらしい動き。見出しだけだとよくわからないので解説を書いてみました。
中日新聞:鯖江市が行政データ「XML」形式で提供 全国初、加工可能に:福井(CHUNICHI Web)
行政データを自由に加工できるかたちで公開
鯖江市がいわゆる「オープンガバメント」に取り組んでいます。
鯖江市は、自治体としては全国で初めて高互換性コンピューター言語「XML」を活用し、市民参加型の情報提供を進めている。
XML形式は従来の形式に比べて情報処理量が無限大に近く、必要に応じて情報の加工が可能。行政情報に市民の情報を加えることで情報が充実する上、多機能携帯電話(スマートフォン)などで市民が情報を活用できる。
「オープンガバメント」に関しては、本ブログでも何度か取り上げており、書籍「統治を創造する」の中でも重要性や注意点を主張させていただきました。
リンク先を見る 「統治」を創造する 新しい公共/オープンガバメント/リーク社会posted with ヨメレバ
谷本 晴樹,淵田 仁,吉野 裕介,藤沢 烈,生貝 直人,イケダハヤト,円堂 都司昭 春秋社 2011-12-21
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わかりにくい概念なので説明が必要ですが、端的にいえば、行政のデータがオープン化され、われわれ市民がそれを自由に活用できるようになる、という未来です。
行政保有データにはさまざまな利用価値があります。たとえば行政が犯罪情報のデータをリアルタイムで公開してくれれば、ぼくらは子どもの防犯に特化したスマホアプリをつくれるでしょう。鯖江市の事例では、鯖江市が避難ルートを公開し、それをカーナビに組み込んだ事例が紹介されていますね。
「オープンガバメント」の先進国である米国では、政府がdata.govというサイトを開設し、あらゆる行政保有データを公開しています。
そして、実際にこれらのデータを使ってさまざまなアプリが制作されています。
面白いところでは、自治体の予算をわかりやすく表示する、なんて取り組みもあります。行政の予算ってPDFとかで公開されて見にくかったりしますよね。こちらの「Look at Cook」は、市民がそんな見にくいデータを加工して、ウェブに公開しているという事例です。
同様の取り組みは他にもあり、国内では「税金はどこへいった?」が知られています。横浜市の市税データを使っています。
関連記事:[Gov2.0] 税金の使い道を分かりやすく説明するサイト「税金はどこへいった?」 | ihayato.書店
オープンガバメントのメリットは、
・行政のデータを使って、市民がよりよいサービスを生み出すことができる
・サービスを自前でつくらなくてよいので、行政コストの削減につながる
といったところが主立ったものです。
個人的にはこうしたデータを使った新しいビジネスが生まれることに期待しています。色々面白いものが生まれると思うんですよね。ちなみに、米国ではデータをうまく活用してもらうためのコンテストもしばしば開催されています(BigAppsなど)。鯖江市も企画していそう。
「XMLデータの公開」というとなんだか技術的にすごいハードルがありそうですが、ほとんどの場合、それほど難しいものではありません。これをきっかけに全国で広がっていくといいですね。
関連本。現状国内では、ぼくも共著で入っている、こちらの本が「オープンガバメント」にもっとも詳しいでしょう。
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