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  • 東龍
  • 2021年06月09日 21:23

「国は全く理解していない!」 またも有名シェフによる署名運動が始まった理由

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3回目の緊急事態宣言が再延長

2021年5月28日に東京や大阪、兵庫など9都道府県について、緊急事態宣言が6月20日まで再延長されました。

東京都、大阪府、京都府、兵庫県に関しては、当初4月25日から5月11日にかけて実施される予定でしたが、5月31日にまで延長。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、変異株の感染も増えていることから、再延長に至りました。

東京都を振り返ってみると、2021年1月8日からの2回目となる緊急事態宣言、4月12日からのまん延防止等重点措置を経て、3回目の緊急事態宣言と延長、再延長。飲食店はこの期間中ずっと時短営業が要請されており、4月25日からは酒類の提供も禁止されています。

制限によって売上が落ち込んでいることに加えて、協力金の支給が遅れているのも飲食店を苦境に立たせている大きな要因です。

東京都における未支給の割合は、1月8日から2月7日分が7.6%、2月8日から3月7日分が10.8%、3月8日から21日分と22日から31日分が45.8%。

飲食業界は利益率が10%あれば非常によい方であり、多くの固定費が必要となります。しかし、半年前の協力金ですら支給が完了していない状況であれば、とてもやっていけるものではありません。

飲食店倒産防止対策

新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年3月、国や自治体が不要不急の外出自粛を要請。国民の不安も高まり、人々が飲食店で食事することが憚られたり、飲食店が通常営業を自粛しなくてはならない雰囲気となったりしました。

大手レストラン予約サービスを運営するテーブルチェック(TableCheck)によれば、2020年3月における対昨年比の予約件数は約6割に落ち込み、キャンセル率は約1.8倍に増加。

この状況を打破するために立ち上がったのが、大阪にある「HAJIME」オーナーシェフの米田肇氏。米田氏が発起人となり、内閣総理大臣、自治体へ宛てた「飲食店倒産防止対策」という署名運動を行いました。

署名運動の主旨は、新型コロナウイルスによって売上が減少し、多くの飲食店が倒産するおそれがあるので、家賃と雇用者給与の補助をお願いしたいというもの。

2020年3月29日に署名運動が開始されてから、16万人以上が署名したことからも、多くの賛同が得られたといってよいでしょう。

東京都に対する不満

1回目の緊急事態宣言が奏功し、新型コロナウイルスの感染は2020年10月末までだいぶ落ち着いていました。しかし、11月から新規感染者数が増えていき、2021年1月8日から2回目の緊急事態宣言が発令。

この動きに飲食店は危機感を抱きます。

1月13日には際コーポレーションの創業者である中島武社長が、東京都および小池百合子都知事に宛てて、当時は対象外であった大企業も協力金の対象となるように要望書を提出。「紅虎餃子房」「万豚記」といった飲食店やホテルを国内外に約360施設を展開し、2020年度の売上は210億円を誇る大企業であるだけに注目されました。

同日には、国内外に約1500店舗を擁するイタリア料理のファミリーレストラン、サイゼリヤの代表取締役社長の堀埜一成氏が、国がランチも感染リスクが高いと警告を発したことに対して「ふざけんなよと」と強い口調で抗議。

1月15日に「白木屋」「魚民」などを運営するモンテローザが、東京都内337店舗のうち約18%にあたる61店舗を閉店すると発表したことも衝撃的です。

グローバルダイニングと東京都の溝

他にも同時期に大きなできごとがありました。

1月7日に、グローバルダイニングの創業者であり、代表取締役社長でもある長谷川耕造氏が、緊急事態宣言の期間中も通常営業すると公式サイトに掲載。

同社は映画「キル・ビル」の舞台モデルとなった「権八」、「カフェ ラ・ボエム」「ゼスト キャンティーナ」「モンスーンカフェ」などを展開し、東証2部の上場企業という大手飲食企業です。

東京都は3月18日、時短要請を無視していた27の飲食店に対して、時短営業の命令を出しました。27店のうち26店が、グローバルダイニングが運営している飲食店だったので、グローバルダイニングに照準を定めたといっても過言ではありません。

これに対してグローバルダイニングは3月22日に、行政による過剰な権利制約が続いているとして東京都を提訴。請求額がわずか104円であり、実質的な補償を求めたものではないことからも、東京都と飲食店の溝は深いといわざるをえません。

東京都などに「まん延防止等重点措置」

2回目の緊急事態宣言は2月7日までだったのが2回延長され、3月21日にようやく解除されました。しかし、約3週間後の4月9日には東京都、京都府、沖縄県に「まん延防止等重点措置」を適用することが決定します。

東京都は、期間が4月12日から5月11日、対象地域が東京23区、八王子、立川、武蔵野、府中、調布、町田。飲食店は、営業は20時、酒類提供は19時までに制限されました。

緊急事態宣言が全国で解除され、やっと営業できるかと思っていた矢先に、飲食店は再び苦境に追いやられたのです。

食文化ルネサンスによる署名運動

4月6日には、一般社団法人 食文化ルネサンスが内閣総理大臣に宛てた署名運動を開始しました。

食文化ルネサンスとは、先の「HAJIME」米田肇氏や「シンシア」石井真介氏などの有名な料理人をはじめとし、日本の食を代表する人々が理事に就任しており、国と連携して日本の食文化の発展と推進を担う団体。

署名運動の内容は主に、科学的な根拠にもとづいた対応やガイドラインの策定および査察や認証を行ってほしいというものです。

4月30日にはキャンペーンの賛同者が2万5000人を超え、5月7日には記者会見も行われましたが、国や自治体からは納得のいくような反応がまだありません。

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