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「スルガ=ノジマの資本・業務提携」解消劇の裏にある金融庁の”大チョンボ”

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資本・業務提携からわずか1年の「スピード離婚」か

共同通信社

スルガ銀行(以下スルガ)の筆頭株主で業務提携先である家電量販大手のノジマが、スルガの経営陣と経緯方針を巡り対立し、提携を解消する方向で検討していることが明らかになりました。

このまま提携解消ということになれば、昨年5月の資本・業務提携の正式締結からわずか1年の「スピード離婚」となります。

スルガは2018年に「かぼちゃの馬車」問題を発端として、杜撰な不動産融資と創業家指導の下でのガバナンス不全の実態が明らかになり、金融庁から業務停止命令を受け急激に預金が流失するなどの信用不安に陥りました。

そこで早急に信用力の高い企業が筆頭株主であった創業家関連株を買い取り信用補完する必要が生じ、以前よりスルガに関心を持っていたノジマが名乗りを上げる形で、資本・業務提携を結ぶに至ったわけです。

ノジマの投資額は140億円で、18%超を保有する筆頭株主になっています。

提携スタート時に、資本・業務提携に乗り出した狙いについて野島広司同社社長は、自社の主要顧客である消費者向けの金融事業の共同展開を主眼であるとしています。

具体的には、クレジットカード事業を取っ掛かりとして、ゆくゆくは傘下のニフティとのフィンテック共同事業などで自社の利益に資する提携を視野に入れていました。

一方でスルガは、杜撰な不動産融資の原因である根本業務姿勢改革策として本来業務の立て直しを第一に考えており、新規事業への取り組みに対するスピード感の違いからノジマがしびれを切らした、というのが今回のノジマサイドからの提携解消申し入れの理由となっているようです。

ノジマと提携の背景に新生銀行、SBIに断られた過去

両社のすれ違いは、そもそもノジマがスルガの創業家関連株を手に入れるまでにひと悶着あったことに起因しています。

ノジマは早くからスルガの支援に手を挙げていましたが、監督官庁である金融庁は「より安心感の高い既存の銀行に支援させる」(金融行政関係者)との考え方から、支援先として当初名前が挙がっていたのはりそな銀行でした。

しかし、「かぼちゃの馬車」にとどまらない不祥事連鎖の泥沼化状況を受けて、「業務提携は望むところだが、資本支援は難しい」(りそな銀行幹部)とこれを固辞します。

次に候補として名が挙がったのは新生銀行です。新生銀行は旧長銀破綻時に公的資金による資本注入を受け、いまだにその状況が続いている実質国の管理下にある銀行です。

共同通信社

そこで金融庁は、株主として新生銀行に対してスルガ支援要請を強く要望。日経新聞にリークして「新生銀行がスルガを出資支援」なる飛ばし記事まで書かせるという暴挙に出ますが、やはり資本提携によるイメージダウンを嫌った新生銀行は業務提携締結にとどまりました。

さらに、銀行ではないものの金融業界の1プレイヤーとして地銀救済に手を差し伸べていたSBIホールディングスも候補にあがりましたが、「地銀支援はしていくが、株価の高いところへの資本支援はやらない(SBI北尾吉孝CEO)」とやんわりこれを拒否。

スルガの支援先に銀行、金融関係企業を熱望していた金融庁は万策尽き、残り物的に支援に積極的だったノジマに下駄を預けざるを得なくなった、という経緯が今回の下地なのです。

金融庁がスルガ立て直しを必死で後押しした理由

当時、金融庁がスルガの信用不安払しょくに急いだのは理由がありました。金融庁が地銀に対して経営統合を含めた経営改革を強く迫っていた2015年頃、森信親金融庁長官(当時)は事あるごとに地銀改革の「手本」としてスルガを大々的に持ち上げたのです。

ところが「手本」とされた実績は不正融資に支えられたものだったわけで、それが分かった段階で金融庁の顔は丸つぶれでとなりました。金融庁は一日も早くスルガの信用不安を回避したい、その一念から新たなスポンサー探しを裏で必死に後押ししていたわけです。

こうような経緯を踏まえるならば、金融庁にとってもスルガにとってもノジマは望む相手ではないが止むを得ぬ状況下で受け入れた支援者であった、というのが偽らざるところだったと思います。

大株主として銀行経営の監視役的に関わってもらう分には問題はないが、自ら経営権を握ろうとするのならばそれは違うぞという考えが、金融行政の観点からは当然あったでしょう。同時にもうひとつ、ノジマがオーナー企業であるということも懸念材料であったはずです。

スルガの不祥事が旧オーナー家のワンマン支配が招いたものであり、銀行という公共性の高い組織の経営をオーナー企業の手に委ねるのはふさわしくない、という考えもまた金融庁やスルガにはあって然るべきだからです。

これらを総合すると言い方は悪いですが、オーナー系の家電販売業者に銀行経営を任せるわけにはいかない、というのが金融庁とスルガの本音であったと思われるところです。

野島社長はそのあたりについては話せばなんとかなると思っていたフシがあって、創業家株式取得直後のインタビューでは、「改革には金融庁や日銀の協力も必要だが、業界的に保守的で非常に厳しい。必要な時には相談に行く」と話していました。

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