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汲み上げすぎで「ボルヴィック」水源も危機に!? 識者が訴え「日本人は水道水の価値を見直すべき」

 日本でも人気のフランス産ミネラルウォーター「ボルヴィック」。その水源に枯渇の可能性があることが先月報じられた。原因の一つとして考えられているのが、地下水の“汲み上げ過ぎ”だ。こうした問題はボルヴィックに限った話ではない。メキシコでも先月末、畑に巨大な穴が突如出現。当初は直径5mほどだったものが数時間で60メートルの大きさにまで達したという。

・【映像】ボルヴィック水源が枯渇危機?ミネラルウォーターと水道水 違いは?

 水ジャーナリストの橋本淳司氏は、「人口増加や産業の発展で水の使用量が増えたり、気候が変動したりする中で地下水がチャージされる以上に汲み上げていけば、どこでも地下水の枯渇は起こりうる」と話す。

 「ボルヴィックの場合、地下100mから汲んでいるというが、降った雨がそこまで浸透するのには30年とか、50年といった単位の年月が必要になってくる。また、温暖化によって水の少ないところでは干ばつ、水が多いところでは豪雨が発生しやすくなり、地球全体で水の偏在が激しくなる。今回、ボルヴィックを製造・販売しているダノン社は“自然要因”と説明しているが、地下水の量は降水量や降雪量によっても変化していくものだし、それらを把握した上で汲んでいくべきだった。フランスではネスレ社が同様の問題に直面し、地域社会がピリピリしている状況にある。

 そしてボルヴィックは日本で最も人気のあったミネラルウォーターだ。フランスの水でも石灰岩ではなく火山岩から出てきているので、日本の水に味が近い。言葉は悪いかもしれないが、日本人も今回のことに加担していた部分があるかもしれない。一方で2010年以降、“地下水の涵養量”といって、降水量や地下水の量をモニタリングしながら汲んでいくという取り組みが始まっている。その意味では、ダノン社の水源保全対策が非常に甘かったと言わざるを得ない」。

 また、地下水の枯渇は、生態系にも影響を及ぼすという。「地下水が湧き出るところは湿地帯になっている場合が多く、そこに住んでいる生き物たちがダメージを受けることになる。実際、世界の湿地が水枯れや開発の影響でどんどん減っていて、1900年以降、約7割がなくなったといわれている。

 そもそも海外からペットボトルの水を運んでくること自体、非常にエネルギーを使っているということになる。本来、日本は地域の河川や地下水を大事に使い、飲むことができる国なのに、わざわざ石油を使ってまで飲む必要はないのではないか。さらに言えば、“バーチャルウォーター”といって、例えば国産牛でも餌のほとんどはアメリカ産トウモロコシということもある。つまり日本は食糧を輸入すると同時に、食料に変身した現地の水を使い、捨てているという、非常にもったいないことをしていることになる」。

 さらに橋本氏は、ボルヴィックと同様の現象は日本でも起きていると話す。「日本のミネラルウォーターの特産地は山梨県、静岡県、鳥取県などに集中していて、大手のボトリング工場がたくさんある。ただ、狭い地域で同じ水脈からたくさんの水を汲んでしまった結果、枯れてしまったというケースも多発している。湿地帯についても、明治時代以降、実に琵琶湖2つ分の面積が失われている。一方、日本の水道水の水質基準の項目は51と、ペットボトル水の39よりも多く、共通の審査項目を比較すると、水道水の方が基準は厳しい。それだけ安全性に配慮されて作られている水だということを、皆さんに知ってほしいし、私は水道水を沸かして白湯にして飲むのが大好きだ。体にいい」。

 その上で橋本氏は「20世紀は石油戦争の時代と言われていたが、21世紀は水戦争の時代ということだ。水を確保するには土地を確保することが必要だ。中国はアフリカなどで非常に安い値段で土地を借り、農業生産を行っている。あるいは国と国、地域と地域が水をめぐって紛争に発展するケースも増えている。さらに言えば、前回のオリンピックの時代に張り巡らされた水道管の維持も難しくなってくる時代に入る。

 “いつまでもあると思うな、親と金と水道“という言葉もあったりするくらいで、人口減少にともない、縮小していくことも必要だ。そうなれば水道料金が上がっていく可能性があるし、浄水場などの施設を適正規模にしていく取り組みを早めに進める必要がある。場合によっては水道料金が40%くらい上がるのではないかという試算もあるが、それでもなおペットボトルよりも安いということは知っておいて欲しい」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

▶映像:ボルヴィック水源が枯渇危機?ミネラルウォーターと水道水 違いは?

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