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トヨタ自動車パワハラ事件にみる「ビジネスと人権:行動計画」の重要性

第三者委員会の業務もあと2週間、ということで、まだ時間的な制約がある中、本日も短めのエントリーで失礼します。今朝(6月7日)の朝日・毎日新聞の1面記事で「男性社員の自殺 パワハラが原因と認定 トヨタ社長が謝罪 遺族と和解」とありましたが、トヨタ自動車の社長さんが(和解の席で因果関係を認めたうえで)上司のパワハラで自死された社員のご遺族に(2度にわたって)パワハラ事件の再発防止策を説明されたそうです。

お恥ずかしい話ですが、企業側のパワハラ調査を担当する者として、大きな企業の社長直々にご遺族との面談に出向き、陳謝をして再発防止策を誓うというのは経験したことがないので、この報道にはたいへん驚きました。政府の「ビジネスと人権に関する行動計画」(令和2年10月)ではハラスメント対策が重点項目とされていますし、パワハラ撲滅は企業のリスクマネジメントにおいて優先順位が上がってきたことは間違いないと思います。

少し話は違いますが、5月28日の朝日新聞朝刊(東京版10面)に「投資信託保有者2万人アンケート」の結果として、ESG経営に対する投資家の意識が示されていましたが、50代~70代の投資家が「環境問題の改善、再生エネルギーの普及に取り組む企業」を投資対象とする、という回答が圧倒的に多かったのに対して、20代~30代の投資家は「貧困・飢餓問題、教育格差の是正、ジェンダーフリー、女性活躍推進に取り組む企業」を投資対象とする、という回答が圧倒的に多かったことに関心が向きました。若い方はESGの「S」に関心が高いことが示されています。ハラスメント問題への世代間ギャップは、経営層にとって要注意です。

パワハラを生む企業風土を変えるための一番の特効薬は、やはり社員に共感されるストーリーです。トヨタ自動車のトップ自ら和解の場に出向き、再発防止を誓う、というのは大きな「ストーリー」になりうるものかもしれません。トヨタ自動車の上記記事では、多くの社員が「見て見ぬふり」だったことが報じられていますが、ストーリーによって変えなければならないのは(パワハラ行為そのものよりも)「見て見ぬふり」に徹する多くの社員の意識ではないか、というのが実際にパワハラ調査業務に携わっている者としての心境です。

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