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チャイナ・リスクとG7

 尖閣周辺で中国海警船による領海侵入が常態化しています。2012年9月に尖閣を国有化した当事者である私にとっては、看過できない事態です。菅政権にはもっと毅然として対応してほしいものです。

 中国は海警局に武器使用を認め、同局を第2海軍化したのですから、わが国も対応を強化しなければなりません。立憲民主党は自衛隊が海上保安庁による尖閣警備を補完できるようにする法案をまとめました。一方、政府・与党の動きは超スローです。野党は政権の足を引っ張るのではなく、尻をたたく場面も実はたくさんあるのです。

 アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・イタリア・日本・カナダの主要7か国(G7)の首脳会議が、6月11日から英国コーンウォールで開かれます。このG7サミットも中国の力による現状変更路線に対して、国際社会が連帯して強い警鐘を鳴らす舞台にすべきでしょう。

 かつては旧ソ連が率いる東側と対峙する西側の結束の場として、G7は生まれました。冷戦終結後はロシアを加えてG8となったこともありました。が、近年はロシアはまた呼ばれなくなりました。反体制指導者に毒を盛って抹殺しようとする、「美濃のマムシ」と恐れられた斉藤道三のような人がリーダーの国ですから…。

 世界経済、地球温暖化などグローバルな課題については、中国・ロシア・ブラジル等の新興国も参加するG20の存在感が高まっています。一方、G7は「米国第一」を掲げるトランプ前大統領の在任中は、不協和音ばかりが目立ちました。しかし、同盟国重視のバイデン米大統領に代わり、自由、民主主義、法の支配、人権といった基本的価値観を共有するG7も復権しなければなりません。

 そして、香港の一国二制度を否定され、中国に国家安全法を施行された英国のボリス・ジョンソン首相が議長です。新疆ウイグルでの人権侵害、緊張が高まる台湾情勢なども含めて「チャイナ・リスク」が主要議題となるでしょう。

 南太平洋にニューカレドニアを持ち、インド洋にも基地を有するフランスのマクロン大統領は、中国の海洋進出に危機感を強めています。メルケル首相率いるドイツも昨年は「インド・太平洋ガイドライン」を公表し、同地域に戦略的に目を向けるようになりました。

 カナダ人2人が中国で拘束されており、トルドー首相は猛反発しています。イタリアは、中国との関係を急速に深めてきた国ですが、ドラギ新首相は常識人ですので流れに水を差すことはないでしょう。

 菅政権にとっては、尖閣も含めて欧米諸国の東アジアへの関与を引き出す最高の舞台がG7です。気後れすることのないよう、堂々と論陣を張ってほしいものです。

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