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【アマゾン】、実店舗展開をまとめてみた!スピード重視な破壊的ゲームチャンジャー?

■ネット通販最大手のアマゾンはここ1年で買収したホールフーズ・マーケット以外、実店舗戦略を様変わりさせている。まずは1年前を振り返ってみよう。

アマゾンのリアル店舗は昨年6月、「アマゾン4スター(Amazon 4-Star)」「アマゾン・ブックス(Amazon Books)」「アマゾン・ゴー(Amazon Go)」「アマゾン・ゴー・グローサリー(Amazon Go Grocery)」「アマゾン・ポップアップ(Amazon Pop-up)」の5種類であった。

カスタマーレビューで評価が星4つ以上の商品を中心にそろえたアマゾン4スターは1年前、12店舗を展開しており18店舗が「間もなくオープン(Coming Soon)」と表示されていたのだ。

現在は計画どおりの30店舗展開となっているアマゾン4スターは、間もなくオープンが3店舗のみと1年前とは出店スピードを大幅に減速しているのだ。

モールの通路など小スペースでアマゾン製品を展示販売する6店舗だったアマゾン・ポップアップは1年で1店舗のみ増やし現在は7店舗となっている。

2015年に1号店をオープンした書籍専門店のアマゾン・ブックスは1年前が24店舗。現在も24店舗で新規出店の告知もなく、店舗数では横ばい状態が続いている。

ここ1年で大きな変化があったのはレジなしコンビニエンスストアのアマゾン・ゴーだ。1年前の25店舗から1店舗増やしながら、今年に入ってから4店舗を閉鎖した。

アマゾン・ゴーを地域別でみるとシカゴでは2店舗を閉鎖し5店舗となり、ニューヨークでは1ヶ所減らし7店舗展開、サンフランシスコも1店舗を閉じて4店舗、シアトルは横ばいの6店舗で現在は合計で22店舗となっている。

アマゾン・ゴーの営業では非常に気になることもある。臨時休業となっているアマゾン・ゴーがここ数日で増えたのだ。

新型コロナウイルス感染拡大による非常事態宣言発令から1年以上にわたっていまだに臨時休業となっているのはニューヨーク市のロックフェラーセンター店とシアトル市内のメイシーズ・ビル店。

それにサンフランシスコのフィナンシャル・ディストリクトにあるアマゾンゴー・エンバーカデロ店とシアトル市内のオフィスビル「マディソンセンター(Madison Centre)」の1階にあるアマゾンゴー2号店が臨時休業となったのだ。

店舗改装によるものなのか詳細不明だが、経済再開が進む中でレジなしコンビニ2店舗を再び仮死状態に置くのは興味深い。

業界人を驚かせたのはレジなし食品スーパーのアマゾンゴー・グローサリーの展開だ。

アマゾンゴー・グローサリーは1年前、1店舗だった。2月にシアトル市内に1号店がオープンし、シアトル郊外のレドモンド地区に昨年9月に2号店がオープンした。

アマゾンゴー・グローサリーは2店舗になったが先月、最新店が閉鎖された。昨年11月には非接触の生体認証デバイス「アマゾン・ワン(Amazon One)」も導入したアマゾンゴー・グローサリー2号店はわずか8ヶ月間のみの営業となったのだ。

現在はオリジナルの店舗のみで、店舗名もアマゾンゴー・グローサリーからアマゾン・フレッシュになるという。

過去1年間の店舗展開で最も大きな変化を見せたのはアマゾンが独自に開発した食品スーパーの「アマゾン・フレッシュ(Amazon Fresh)」だ。アマゾン・フレッシュは1年前、実店舗としてはまだオープンしていなかった。

ロサンゼルス郊外に昨年9月、1号店をオープンし現在は東海岸では初となるバージニア州のアマゾン・フレッシュ・フランコニア店を含めて13店舗展開となっている。

さらにシアトル郊外ベルビュー地区にある「ファクトリア・モール(Factoria Mall)」内でセーフウェイの跡地に今月オープン予定となっている。

工事中もファサードから明らかなアマゾン・フレッシュを含め、10数ヶ所の出店が計画されている。ハイテクカートの「アマゾン・ダッシュカート(Amazon Dash Cart)」を備えるアマゾン・フレッシュは、ちょうど1年前のアマゾン4スターのような出店戦略の状態になっているのだ。

 アマゾンの実店舗展開では、物流倉庫にある大量の売れ残り品を処分するアウトレットストアの展開もメディアで取り上げられていた。

ニュースサイトのブルームバーグが今年4月に関係者の話として報じたところによると、パンデミックの影響にアマゾン・フレッシュの出店ラッシュでいまのところアウトレットストアの計画は棚上げされているというのだ。

先月末にはビジネス・インサイダーがアマゾンが薬局の実店舗展開を検討していると報じた。ウォルグリーンやCVSの株価にマイナスの影響を与えた報道では、まだ初期的な段階で本格的な展開には1年以上を要するという。この薬局はホールフーズの店舗内に導入する考えなのだ。

 データドリブンでスピード重視のアマゾンでは、実店舗展開も1年後にまた新たに戦略転換を迎えているかもしれない。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。当ブログではいつも詳細な流通業界の動きを報じています。で、たまに全体を俯瞰で見渡すことも行いながら、俯瞰の視点のなかに時間軸を入れてみたりします。

「木を見て森を見ず」のたとえでいうなら、木も森も見ながら、過去から現在においてどう変化しているのかも視る必要があるのです。さらにいえば現状を洞察するだけでなく、将来的にどのように変化していくのかも予測という名の仮説を立てることも必要でしょう。

エントリー記事ではほんの1年ですがアマゾンの実店舗展開はコロナの影響を受けながら大きく変化していることがわかります。例えばアマゾンゴー・グローサリーを8ヶ月でスクラップしてしまうスピード感から噂として上がっているファーマシー展開もあります。1年後にはアマゾン薬局1号店がオープンし、アマゾンゴーが撤退ということもありえます。ビジネスというのは将棋やオセロと異なり対戦相手となる競合店と交互に「手を打つ」わけではありません。

 特にアマゾンは一度にいくつもの手を打ち、トライアル&エラーを繰り返し、王手にしたり四隅を取ろうとしています。出店戦略も破壊的なゲームチャンジャーです。

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