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  • ロイター
  • 2021年06月06日 08:20 (配信日時 06月06日 08:11)

アングル:スウェーデン北部へ再生エネ狙い企業流入、大量の雇用創出


[ストックホルム 31日 ロイター] - トナカイと雄大なオーロラの眺めで国際的に知られているスウェーデン北部は、再生可能エネルギーである水力と風力を豊富に抱えた地域でもある。今、ここに温室効果ガスの排出抑制を迫られているエネルギー集約型企業が続々と集まり、大量の雇用を生み出している。

アンデション財務相によると、製鉄過程で二酸化炭素を出さない「ゼロカーボン・スチール」や電気自動車(EV)用電池などの分野への投資は、今後10年間で1兆スウェーデンクローナ(1200億ドル)を超える見通し。

同財務相は5月の説明会で「スウェーデンでは、グリーントランスフォーメーション(GX、再生可能エネルギーへの転換)による雇用の創出は未来のことではなく、すでに起きている」と述べた。

欧州連合(EU)は2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする計画の中で、EVを目標達成の柱の1つに据えている。運輸セクターは域内で発生する温室効果ガスの4分の1を占めており、温室効果ガスを出さない車の数を2030年までに少なくとも3000万台とすることが目標だ。

EUの環境基準の達成を法律で義務付けられた企業は、再生可能エネルギーを確保する必要がある。独フォルクスワーゲン(VW)が出資する電池メーカー、ノースボルトは迷うことなく投資先にスウェーデン北部を選んだ。

ノースボルトは手始めに、スウェーデンの首都ストックホルムの北方約800キロのシエレフテオに約40億ユーロ(48.8億ドル)を投じて大規模なバッテリー製造工場を建設する。2024年の生産能力は40ギガワット時となる予定で、これはEV70万―80万台の需要を賄うのに十分な量だ。

ピーター・カールソン最高経営責任者(CEO)は「シエレフテオの水力発電インフラへのアクセスが、非常に重要だった」と述べた。当地の電力コストはドイツの約3分の1、中国の約5分の1だという。

人口が少ないシエレフテオにとってノースボルトの雇用は大きなチャンスで、住民の新たな流入も起きている。工場建設のために昨年シエレフテオに引っ越してきたノースボルトの幹部は「もちろん、もう少し暖かいと良かったが」と話した。

<安価でクリーン>

スウェーデンは1950年代から70年代にかけて水力発電に大規模な投資を行い、コスト低下と国際競争力の向上を目指した。水力発電の多くが北部に集中している。

この10年間は風力発電に注力し、今では国内電力の20%程度を占めるまでになった。

ノースボルトのカールソンCEOは、米EV大手テスラの元幹部。同社製バッテリーの製造過程で排出される温室効果ガスは、推計で性能がほぼ同じ中国製の4分の1程度になる見通しだという。

鉱山大手LKAB、国営エネルギー大手・バッテンファル、鉄鋼大手SSABの合弁会社であるハイブリット(Hybrit)も、低コストの再生可能エネルギーにひかれて、スウェーデン北部、北極圏のイエリバレに進出した。同社は化石燃料を使わない製鉄を目指している。

同業のH2グリーン・スティールは、北極圏のわずかに南に位置するボーデンで、2030年までに化石燃料を使わない鉄鋼500万トンを生産する計画。ボーデンにほど近いルーレオにはハイブリットが化石燃料を使わない小規模な製鉄プラントを持っている。

米フェイスブックはルーレオで87億クローナ余りを投資し、電力を再生可能エネルギーのみで賄う初のデータセンターを設置した。

<未来を先取り>

バッテンファルの脱炭素部門を率いるミカエル・ノルドランデル氏はスウェーデン北部について「鉱工業が将来どのように姿を変えていくのかが見える窓のようなものだ。諸外国の将来像さえ、のぞけるかもしれない」と話す。

ルーレオなどの地域を含むノルボッテン県によると、同県は2016年のスウェーデン全体の温室効果ガス排出に占める比率が11%前後だった。ルーレオのカリナ・サメリ市長は「かつて企業はわれわれの気候変動問題への取り組みを邪魔していた。しかし今では変化の推進役になっている」と話す。

アワ・ワールド・イン・データのウェブサイトによると、スウェーデンは2017年の国民1人当たりの二酸化炭素排出量が4.26トンで、世界平均の4.8トンを下回る。

クリーンエネルギーの需要拡大は、直接、間接的に数千万人の雇用を生み出した。

ノードマーク雇用相は4月、「職を探すなら、北部への移動に目を向けるときかもしれない」と述べた。

スウェーデン当局によると、最も北に位置するノルボッテン県とベステルボッテン県は2020年の失業率がそれぞれ6.7%、6.4%で、全国平均の8.5%を下回り、国内最低。これは産業のグリーン化が一因だという。

ボーデンにあるH2グリーン・スティールのプラントの雇用創出は直接、間接合わせて1万人となる見込み。

ルーレオのサメリ市長によると、同市は今後20年間の労働需要を賄うために居住者を2万5000人増やす必要があるという。

(Simon Johnson記者)

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