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新曲再生数2億回突破のBTS 快進撃の背景に「ネーミング効果」

BTSは米グラミー賞にも過去3度出席(写真/GettyImages)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、新曲を発表するや、大きな話題を呼んでいる「BTS(防弾少年団)」について。

【写真】ステージ上でハイレベルなダンスパフォーマンスを披露するBTS

 * * *
 今や世界的な人気を誇るK-POPグル―プ「BTS」。5月21日にリリースされた新曲『Butter』のミュージックビデオ(MV)は、公開からわずか4日間で、自己最速の再生数2億回を突破。YouTubeの週間視聴回数も過去最高の3000万回を記録し、新曲を発表する度に記録を塗り替えている。

 BTSは韓国出身の7人組の人気アイドルグループだ。時代を象徴するような、それでいて時代を変えてしまいそうな彼らは、「21世紀のビートルズ」、「YouTube時代のビートルズ」と称されることもある。

 昨年8月に発売された英語の楽曲『Dynamite』は、韓国人アーティストとして初めて米Billboardシングルチャートで1位に輝いた。70年代のディスコミュージック風のこの曲は、リズムに合わせて自然に身体が動くような軽快で明るく楽しい曲だ。ディスコを知っている年代の人たちにとってはどこか懐かしく馴染みやすいサウンドが、若い世代の人たちにとっては、これまでにない新しい魅力になっているらしい。

 私ごとながら、K-POPの男性グループにはこれまでほとんど興味がなかった。だがBTSの『Dynamite』 を初めてMVで見た時、韓国から魅力的なグループが出てきたものだと思った。曲が良かったのは言うまでもない。身長や体型といった外見の統一感とジェンダーレスで繊細な雰囲気を持つ7人が、ユニークな振付で、キレのあるハイレベルでシンクロ率の高いダンスと歌を披露していたのだ。

 だが、ネットの記事を検索すると、実は前から知っているグループだったことに驚かされた。BTSがデビューしたのは2013年、正式名称は「防弾少年団」で、韓国語で読むと「バンタンソニョンダン(Ban Tan Sonyondan)」になり、この頭文字からBTSと呼ばれていたのだ。

 防弾少年団という名前はどこかで聞いたことが…と記憶を探る。グループ名には、社会的偏見や抑圧から自分たちを、自分たちの音楽を守るという意味があるというネット記事を読んで思い出したのは、2018年の「原爆Tシャツ騒動」だ。メンバーの1人が米軍により原爆が投下された時の写真がプリントされ、そこに「愛国心、我々の歴史、解放、朝鮮」などの言葉がデザインされたTシャツを着用していたことで、SNS上で拡散し問題となったのだ。

 名前から受ける印象や原爆Tシャツ、テレビ画面で見た彼らの黒いスーツ姿、過激なメッセージをメロディに乗せて歌うグループという紹介から好印象は持てなかった。ちょうど日本と韓国の関係が悪化しつつあった時期でもある。ネットでは彼らに対し“反日”的という批判も出ていた。さらに、ナチスの鉤十字を記した帽子をかぶっていたことなども報じられ、無意識のうちに「好ましくないグループ」というレッテルを貼ったのだ。マイナスの先入観が出来ていた。

 だからBTSがあの時の防弾少年団だと知った時は正直に驚いた。今までのイメージとは異なるポップな衣装で、可愛いイメージを作り上げ、パフォーマンスを繰り広げていたからだ。グローバルに展開するならBTSという名前の方が断然いい。『Dynamite』という英語のディスコ風の楽曲とイメージにはBTSの方が合うと、そう思った。

 名前が人の判断に影響を与えることはよく知られている。心理学で言う「ラベリング理論」だ。なかなか売れなかった商品がネーミングを変えた途端、ヒット商品になったという例は言うに及ばずである。

 彼らがグループ名を変えたわけではないが、防弾少年団とBTSでは見聞きした時の印象はかなり違う。そもそも防弾少年団というグループ名は日本語だと馴染みにくい。「BTS」というシンプルな3文字が広く知れわたったことと、現在の世界的な人気は少なからず関係しているのではないだろうか。

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