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菅原前大臣議員辞職など

 石破 茂 です。

 菅原前経済産業大臣の議員辞職が昨日の衆議院本会議で許可され、最近の自民党では吉川元農水相、河井元法相、河井案里参院議員に続いて四人目の辞職となりましたが、その多さのみならず、すべてがカネにまつわることであるのもかなり異常なことです。

 このうち三人は議歴を重ねた閣僚経験者でもあり、出処進退も我が党所属議員の模範であるべきで、せめて記者会見には応じてもらいたかったと思います。党に迷惑をかけたから離党する、というお決まりのパターンもあまり釈然としません。

 党よりも先に国民や自らを選んだ有権者に対して詫びるべきものですし、既に離党したのだからもはや党は関係ない、という理屈はとても人々の理解が得られるものではありません。同じ党の同僚であった方に対してこのようなことを言うのはとても辛いことですし、一番苦しいのは当人であることもよく承知しています。

 我が身を振り返って批判する資格があるとも思っておりませんが、これが政治や自民党に対する不信を更に高めることになることを怖れています。

 本日出た総務省の調査結果についても、あくまで雇用者である国と被用者である官僚の間を律する倫理法の問題で、これと「行政が歪められたか否か」は少しく異なるようにも思われます。週末によく考えてみたいと思います。

 緊急事態宣言が6月20日まで延長となりましたが、緊急事態宣言の目的は「感染拡大を阻止すること」なのか「医療崩壊を阻止すること」なのか、肝心なことがここにきて判然としなくなってきたように思います。

 昨年の春以来、私はずっとこの目的は後者の「医療崩壊の阻止」であり、医療機関相互や医療機関内の垂直的・水平的弾力性と機動性の確保・拡大こそが重要だと考え続けてきたのですが、政府の政策やメディアの報道の重点が感染者数の減少に置かれ続けている現状を見ていると、目的は「感染者数の減少による感染拡大の阻止」にあったのではないかと思うようになりました。

 しかし、医療体制の根幹である医療法に、行政機関による命令権限が明記されていないために、医療機関に対してもコロナによる症状の出た患者の受け入れの「要請」しかできず、受け入れを断られてしまえばどうにもならないということで、国民に対して精神的・肉体的・経済的な忍耐と負担を強いる自粛の要請を継続するしかない、というのは何かおかしくはないでしょうか。

 相手がウイルスである以上、陽性や感染がゼロになることなどほぼあり得ないのであり(今まで根絶できたのは天然痘だけと言われています)、重要なのはウイルスにより症状が重篤化したり死に至ったりすることを防ぐ医療技術を向上・普遍化させ、受け入れ態勢を整備することなのではないでしょうか。

 累積陽性者数がアメリカは日本の30倍、イギリスやフランスは20倍という、日本とは桁の違う流行が起こっているにも関わらず、医療は崩壊せずに何とか踏みとどまっています。

 他国に比べてこのような状況であることを踏まえて、緊急時における医療体制の機動性を確保するための法整備こそが喫緊の課題であり、そうしなければ、コロナが収束してまたインフルエンザが流行し始めた時にも今のままの自粛を続けなければならないことになりかねず、ましてや将来、新型コロナよりももっと強い毒性や感染力を持ったウイルスが出現した時に本当の医療崩壊が起きることを非常に懸念します。関連法との整合も含めて、法改正の構想を早急に考える必要性を痛感しています。

 オリンピック・パラリンピック開催の可否については、あまりに情報が少なすぎて判断のしようがありません。ただ、開催するにせよ、しないにせよ、新型コロナの状況と医療体制の現況、断念するにあたって生ずる損失とその負担者、保険適用の可否と事情変更の原則との関係等々、現状を明確にすべき(誰が明らかにする責任を有しているのかも含めて)であり、それが国民に対する責任であると考えます。

 天安門事件から今日で32年が経ちました。公式発表でも319人が死亡したとされる天安門事件は、中国の歴史からはそのほとんどが抹消され、追悼集会も一切禁止されているようです。

「共産党の指導は無謬でありこれに反対することは許さない」「国民の軍隊ではなく共産党の軍隊である人民解放軍は、共産党に反対する国民に対して躊躇なく銃を向ける」という中国共産党の本質がより一層明確になりつつありますし、一国二制度が危機に瀕している香港では今年から天安門事件に関する集会も一切禁止となりました。

 中国憲法は序文に「中国の神聖な領土である台湾の統一は中国人民の神聖な使命」と謳っており、次は台湾を視程に入れていると見るのが妥当です。これは善悪や経済的利益の問題ではなく、世界観や価値観の根本的な相違であることを軽視すべきではありません。

 中国の動向や思惑とともに、米国にこの現状はどのように映っているのかについてもあらゆる方向から徹底的に検討を重ね、我が国が法的・能力的に何が出来て何が出来ないのかを正確に把握し、今後の方針を組み立てなくてはなりません。尖閣のみに目を奪われていると、米中対立の本質を見誤り、対応を間違えることになるように思います。

 イデオロギーと軍事の対立に決着がついて終わりを告げた米ソ冷戦は、振り返ってみれば構造としてはシンプルなものでしたが、米中はそれよりもはるかに複雑で、日本の関わり方も何倍にもなるのだということがひしひしと感じられます。これに対応すべく政治が何倍も努力せねばならないこともまた当然です。

 今週の自民党政治大学院では、保阪正康氏を講師として石橋湛山について学びましたが、ロンドン条約締結の際の統帥権干犯事件についての保阪氏の見解は我が意を得たりとの感を強く致しました。

 専門性の極めて高い「統帥」(オペレーション。軍令。作戦・運用)に、素人である政治家や政党が党派性や人気取りでみだりに口を挟むべきではなく、むしろ独立性を保つのが本来であり、政治が決めるべきはあくまで予算や法律といった「軍政」に関するものです。保阪氏の「統帥権の独立よりも、陸海軍大臣現役将官制の方が弊害は大きく、それがこの問題の本質」との指摘は誠に正鵠を射たものと思います。

 保阪氏や半藤一利氏の著作を読むにつけ、近現代史に関する自分の知識と理解の浅薄さに気付かされます。

 この週末、都心は不順な天候が続きましたが、梅雨入り宣言はもう少し先になるのかもしれません。

 どうかご健勝にてお過ごしくださいませ。

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