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東アフリカ発の覚せい剤密輸

人も貨物も動きが大きくなる年末は、覚せい剤密輸にとってまたとないチャンス、例年この時期には密輸の摘発も増加するのですが、このところ、ケニア発とみられる覚せい剤が海から、空から日本に運ばれ、立て続けに摘発されています。

<ニュースから>
●ケニア来の覚醒剤密輸入事犯を摘発
大阪税関関西空港税関支署は、平成24年12月24日(月)、ケニア共和国からカタール国を経由して関西国際空港に到着したアメリカ人女性が、携行スーツケース内に収納の毛皮コートに縫い付け隠匿して密輸入しようとした覚醒剤1,927.07グラム(薬物乱用者の通常使用量で約6万4千回分)を摘発し、大阪府関西空港警察署と共同調査の上、平成25年1月10日、関税法違反容疑で大阪地方検察庁に告発した。
(大阪税関1月15日報道発表)
http://www.customs.go.jp/osaka/news/2013houdou.html

博多港では、昨年12月22日韓国発の高速フェリーで到着したドイツ人男性が、バックパックに覚せい剤約2キロを隠して密輸したとして逮捕されました。この男性はケニアからドイツ、中国、韓国を経由して日本に入国したといいます。(毎日新聞 1月11日)
また、昨年10月には、国際スピード郵便を利用して、ケニアから覚せい剤約4キロを密輸したとして、ナイジェリア国籍の男性らが逮捕されました。(大阪税関2012年11月28日報道発表)

西アフリカ発の覚せい剤密輸の急増に驚かされたのが2010年ころ、その後、日本で摘発される覚せい剤の仕出し地は、アフリカ大陸の各地へと拡大する一方ですが、なかでも目立っているのがケニアやウガンダといった東アフリカ諸国です。
経済発展の著しい西アフリカと比べると、開発のペースがまだ緩やかな東アフリカ諸国ですが、実はこの地域はアフリカの薬物ネットワークにとって、次世代の重要拠点になるかもしれないと危惧されているのです。

●東アフリカと覚せい剤
国連薬物犯罪事務所が昨年発表した報告書『西アフリカ:2012年版ATS状況報告書WEST AFRICA:2012 ATS Situation Report』は、東アフリカ地域を覚せい剤の製造・密輸組織の「次なるターゲット」と呼んでいます。この報告書から、東アフリカと覚せい剤の関係について、読んでみましょう。
この地域には、古くからインド洋を経由してインド方面との海上交易がおこなわれてきた歴史があり、南アジア産の薬物も持ち込まれてきました。しかも、沿岸部を占めるソマリアは、現在、国としての統治がほとんど体をなさない状態にあり、薬物密輸組織にとっては格好の条件を備えているといえます。
この地理的条件を利用して、覚せい剤密造原料の大規模な密輸が行われていると国連機関はみています。下の図は、覚せい剤原料(エフェドリン、プソイドエフェドリン、P-2–P)の国際流通を示すもので、2010年11月―2011年10月に国連関係機関が把握した押収・停止のデータに基づいています。
リンク先を見る
↑押収・停止したATS原料の仕出し地と目的地
WEST AFRICA:2012 ATS Situation Report(18ページ)より転載

さらに、ケニアでは近年、覚せい剤原料の大規模な盗難が相次いでいることから、同国内で覚せい剤に関係する犯罪組織が活動しているとみられています。2009年9月から2011年12月間に21件の大規模窃盗事件が報告され、2010年にはエフェドリン約500キログラム、プソイドエフェドリン約1200キログラムが窃取されたといいます。
また、マレーシアやフィリピンなど東南アジア諸国では、ケニア人が覚せい剤密輸の運び屋として検挙されたと伝えられています。

いっぽう隣国のエチオピアは、西アフリカから東南アジアや日本へ密輸される覚せい剤の中継地として機能していると推測されています。東南アジアや日本で摘発された西アフリカ発の覚せい剤密輸のうち、エチオピアを経由したケースがいくつか報告されています。
なお、エチオピア国内では、2009年に初めて覚せい剤が押収されています。

薬物取り締まりがきわめて脆弱な東アフリカ諸国、ここを中継基地として、あるいは次世代の密造拠点候補地として、日本をはじめとしたアジアの闇市場へ向けて、続々と覚せい剤が送り込まれていると、この報告書は警告しています。

[参照]
国連薬物犯罪事務所(UNODC)による2012年版西アフリカ報告書
WEST AFRICA:2012 ATS Situation Report
http://www.unodc.org/documents/scientific/ATS_West_Africa_final_2012.pdf

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