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今こそ西野さんに聞きたい!『映画 えんとつ町のプペル』を成功に導いた様々な試み - にしのあきひろ

芸人で絵本作家の西野亮廣さんが新作絵本みにくいマルコ~えんとつ町に咲いた花~を上梓。その刊行記念として「小説幻冬」で行ったインタビューを、特別にここで公開しているが、今回は、映画 えんとつ町のプペルについて。

西野さんにとって初の映画作品が、コロナ禍の最中でのスタートとなったわけだが、『映画 えんとつ町のプペル』は多方面から絶賛されて話題になり、実際に、数字にもあらわれ、日本アカデミー賞の映画賞も受賞、海外でも続々注目されるという、誰もが認める成果を出している。

映画公開前にインタビューは数多あったが、時を経て、今こそ聞きたい、あれやこれや……!

『みにくいマルコ』は、えんとつ町のプペル』の数年後の物語なので、ぜひ、あわせて楽しんでほしい。

(構成:篠原知存 撮影:吉成大輔)

映画にまだまだ残る可能性。「価値」をいかに作り出すか!?

西野さん自らが製作総指揮した『映画 えんとつ町のプペル』は興行収入二十四億円突破、観客動員数百七十万人、日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞受賞と大好評でした。常々、「ディズニーを超える」と仰っていますが、その第一歩としての手応えは?

ありました。よく言ってることなんですけど、成功の定義って、データが取れたかどうか。「こうやったら失敗する」っていうデータさえ取れたら、次はそれを踏まなければいいわけなので、それは成功なんです。

今回はコロナ禍だったので、いろいろと変化球を投げざるを得なかった。毎日あの手この手、いろんな球を投げたので、いろんなものが見えました

たとえば、どんなものですか?

映画でいうと、ここから先、 映画館ならではの価値を見つけなきゃならないですよね。最近は、ネットフリックスやアマゾンプライムで観ればいいっていう人がいるので。

それに対してどんな打ち手で対抗できるかって考えると、結論は“体験”しかない

今回、「お客さんと一緒に映画を観る」というのをやったんですよ。僕もその空間にいるというだけで、コロナ禍で握手とかもできませんし、おしゃべりもしません。映画が終わったら客席に頭を下げて出ていくだけなんですが、みなさん拍手をしてくれるんです。

作り手に拍手を送れる、「ごちそうさまでした」っていう気持ちを伝えられるという、そういう価値ってあるんだなということを実感しました。これって物理空間でないと体験できないことじゃないですか。

舞台出身の方らしい発想です。

僕はよく物事を価値で考えるんです。

東京タワーはいつでも見れますけど、あれが出来上がっていく過程の、高さが半分ぐらいの東京タワー、その製作過程は、あの時代を生きた人しか見られなかった。希少価値は、絶対そっちの方が高い。

映画を一緒に観るというのは、僕が一緒に生きてる時代しか無理なので(笑)、価値は高いはずなんです。一緒に観る回のチケットは即日完売なんですよ。公開から何ヶ月も経っていても。

西野さんが映画館に行く日時は、SNSで告知するんですよね。

そうです。北海道から沖縄まで全国へ行きました。

俳優さんとかの場合は、一つの作品にそこまで時間を割けないと思うんです。次の撮影に入らなければならなかったりしますし、映画として役者さんを拘束できる期間が決まっていて、その分でギャランティーが発生している。その点、僕はこれに関してはボランティアで一円ももらっていなくて、交通費も自腹です。

でも、たしかにその瞬間は一円ももらっていないけど、映画が話題になって当たれば、また次のチャンスにつながる。そこをどう捉えるかですよね。

僕だったら、三本も四本も作品に出るより、代表作を一本作りにいった方が強いんじゃないかなと考えています。これに関しては事務所さんの考え方次第ですが。

『映画 えんとつ町のプペル』 が当たれば当たるほど僕に取り分があると言うのは明確だから、そういうことができるわけですが、色々やれることは多いのかなと思います。

(C)西野亮廣/「映画えんとつ町のプペル」製作委員会

まさかの「副音声」を聴きながら映画館で鑑賞。映画の「意味変」に挑んだ!

手応えを感じた試みは、ほかにもありましたか?

副音声ですね。これはもう、可能性しかないなと。スクリーンには映画が流れているんですけど、スマホに副音声のアプリをダウンロードしてイヤホンをつければ、副音声で僕の声が流れる。「このシーンにはこういう意図があって」とか、「ここ作るのは大変でスタッフさんと喧嘩して」とか、メイキングみたいな話も聞ける。これで、映画を二回、三回と観にきてくれるんです。一回は普通に観て、二回目は副音声を聴きに。副音声のパターンをいくつか作れば、好きな人は何回もきてくれる。

副音声は第二弾まであったと聞きました。

はい。第一弾は製作の裏側や意図など、メイキング的な話でした。第二弾は続編の話をしました。映画館ならではの価値の作り方ができたと思います。「映画の意味」が変わってくるんです。映画の音のほうがBGMのようになって、映像を見ながらラジオを聴いているような感じですね。僕がずっとしゃべっているんですが、うるさいのはあきらめていただくしかない(笑)。

話芸は本職ですしね。

そうですね。あとは、僕の映画だけじゃなくて、いろんな映画でやってほしいと思いました。今回の副音声は一人でやりましたが、じつは第三弾でやろうとしていたのは、東野幸治さんと二人で映画を見ながらのトーク。東野さんがプペルの悪口をずっと言い続けて、それに僕がツッコむっていう(笑)。実現しませんでしたが、そういう掛け算で、映画の意味を変えることができる。ラジオのBGMとして映画を流す、みたいな。この掛け合わせって無限大だなって思っています。

まるでトークライブのようですね。

たとえば、「エヴァンゲリオン」の上映のときに、エヴァの大ファンのオリエンタルラジオの中田敦彦くんが副音声をしてくれるなら、聴きに行きたい。『シン・ゴジラ』を庵野秀明監督が解説していたら、最低でも二回は絶対行きますよ。映画って、いま本当に分かれ目だと思うんです。配信で観るか、映画館に行くかっていう。いまはコロナ禍でいろいろ仕方がない部分はあるけれど、僕は映画館にもまだまだ可能性はあるって感じています。

そして、『映画 えんとつ町のプペル』は、ドライブインシアターでの上映も始まり、チケットは早々に完売した。“打ち手”がある限り、西野さんの挑戦は続きます。

*   *   *

インタビュー全編をお読みになりたい方は『小説幻冬 6月号』をご覧ください。

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