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「事故物件」が流通に乗り始めた 月100件以上の問い合わせがある会社も

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売却は地元不動産会社が担当


ワケありとはいえ、様々な地域で相場より安い物件が供給されているのであれば買いたいと考える人もいるだろう。だが、現状では同社が手掛けた物件を探すのは難しい。

「購入するまではプライバシーに細心の注意を払い、他社には見せませんし、購入後もしばらくはどうリフォームするかを考えて寝かせていたりします。不動産は適切に手入れすれば腐るものではありませんし、最悪売れなくても良いと腹を括っているところもあります。

リフォーム後の販売は地元の不動産会社に任せており、自社でレインズ(不動産流通標準情報システム)に載せることはあるにしても売るところにはあまり関与しません。売れるものはすぐ売れますし、中には売却まで1年以上かかるものもあります。弊社が事故物件を扱っていることを知ったいろいろな地域の方から買いたい、賃貸に使えるような物件はないかとお問い合わせは受けますが、将来的にホームページに載せることはあっても、現状では地元の会社さんにお任せしています」。

物件はきれいに改装され、地元の不動産会社が販売を担当。もちろん、過去の事情はきちんと説明した上で売られているが、そこでは同社の存在は見えなくなっているのである。買う側からすると残念だが、売る側からすると逆に売り手の情報は見えなくなっており、安心というわけだ。

相続物件は放置しないほうが得策

ちなみにそれだけの数を買っている同社でも買わない物件がある。それは過去に該当地域での売買履歴がなく、賃貸ニーズもなく、修復が困難なほど老朽化した物件で、仮に解体しても利益が全く見込めないものだ。

「流通性がなくても家がしっかりしていれば賃貸用に買う人がいるでしょうし、買取金額が安ければ残置物があって、建物が多少傷んでいても賃貸ニーズを見込んで買うこともあり得ます。どれかひとつの条件をクリアしていれば考えますが、3つの条件が重なっている物件はダメ。買いません」。

もし、相続するなどで関わっている物件があるなら、同社のコメントを参考に不動産を放置して老朽化させないことが肝要というわけだ。

国交省も事故物件流通に一石


ここでご紹介した2社以外にも事故物件を扱う会社は続々登場しており、事故物件に対する抵抗感は確実に弱まりつつある。30年前には墓地が見える物件は忌避されたものだが、今はリビングの真正面に墓が見えるなどの場合を除き、さほど気にされなくなっていることを考えれば、事故物件、特に事件性のない事故物件は徐々に市場に出回ることになろう。

後押しする動きもある。国土交通省が2021年5月20日からパブリックコメントを開始した「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」(案)がそれだ。

「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」(案)に関するパブリックコメント(意見公募)を開始します

「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」(案)に関する意見募集について

同案では前の入居者が自宅内で死亡した物件について、老衰や病死など自然死の場合には事故物件扱いせず、次の借り手や買い手に告知する必要はないとしており、階段からの転落など日常生活に伴う事故死も原則として告知不要としている。

一方で他殺や自殺に加え、自然死でも遺体が長期間放置されて臭いや虫が発生した場合などには原則として告知が必要としている。賃貸物件の場合、告知が必要な期間は死亡から約3年に限定するとした。これらの内容は年数など細かい部分は多少異なるものの、2020年春に「住宅確保要配慮者等の居住支援に関する調査研究報告書」として公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会(以下全宅連)がまとめたものと共通している。

令和元年度 住宅確保要配慮者等の居住支援に関する調査研究報告書(PDF)

なぜ、国土交通省や業界団体が?と思うだろう。話は簡単だ。室内で自然に死ぬことまでが忌避された場合、高齢者に部屋を貸さない傾向が強まるからだ。

国は2017年の「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法)の一部を改正する法律」で高齢者や障がい者、子育て世帯などの住宅の確保に配慮が必要な人たちに対して、入居を拒まない住宅セーフティネット制度を創設。家を借りられずに困っている人たちの問題を民間賃貸住宅利用で解決しようと考えている。それは本来国の責務だろうという考えもあるが、脱線するのでここではとりあえず忘れておく。

ところが、そのセーフティネット住宅の登録が遅々として進んでいない。その背景のひとつに孤独死の問題がある。入居した高齢者が亡くなって不動産価値が毀損、所有者が損をするとなれば貸したくないと考える人が出るのは自明の理。そこで事故物件のうちでも事件性のない孤独死への見方を変えたいというのである。

自分は持ち家に住んでいるし、困ってもいないから部屋を借りる話は関係ないと思うかもしれないが、郊外の大きな家を売って都心のコンパクトなマンションを借りようとしたものの、自宅を売却した多額の現金があるにもかかわらず、貸してもらえない例や単身の親を呼び寄せようと近所に住宅を借りようとして断られ続けた話もよく聞く。それを考えると問題は今困っている人だけのものではない。

逆にいえば事故物件流通は所有者、借りる人、投資家など様々な人に恩恵を及ぼす。勝機があると見て参入し始めた事業者もいるので、相手を見る目は大事だが、関心は持っていても良いのではなかろうか。

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