記事

「事故物件」が流通に乗り始めた 月100件以上の問い合わせがある会社も

1/2

事故物件と聞くとマイナスのイメージを持つ人が多いかもしれない。だが、一括りに事故物件といっても事件性のあるものだけでなく、高齢者が自宅で亡くなったケースやごみ屋敷、近所にクレーマーがいるなど様々な物件が含まれている。問題とされている要因次第では気にならない人もいるだろうし、リフォームしてしまえば問題ないと思う人もいる。

この1年ほどで事故物件が流通に乗り始めているのだ。

孤独死、自殺で年間数万件という市場規模

写真提供:成仏不動産

事故物件を専門に取り扱う『成仏不動産』は、2019年4月にスタートした。その前年、事故物件の所有者から相談を受けたことがきっかけとなり、サイトをオープンするに至った。

「年間で孤独死は3万件、自殺が2万件あると言われており、それ以外にも殺人、事故死などと考えていくとかなりの物件があるはずですが、これまで不動産業を営んできた肌感覚では市場に出ているのは1割もないのではないかと。もちろん、相続して住み続けている例もあるでしょうが、一方で売りたくても売れない、買い叩かれている人もいるのではないかと思い、その人たちのために市場を作ろうと始めました」(成仏不動産広報・有馬まどか氏)。

特殊清掃業者の玉石混淆を危惧 自社で取り組み開始

清掃後の部屋 写真提供:成仏不動産

最初はサイト運営だけで、取扱い範囲も自社で扱える神奈川、東京中心だったが、2020年4月以降、首都圏に範囲を広げ、買取り、特殊清掃も始めた。

「テレビや雑誌の取材もあり、サイトは多い時には月に60万PV、平均では約30~35万PV、月に50~60件の問い合わせがあり、開始からの1年半で60件前後の成約がありました。しかしながら、事故物件をそのまま売却するだけでは物件のバリューアップには繋がらないのではと考えました。そこで事故物件を気にしない人を増やし、市場を作ることを考え、買取り、特殊清掃を始めることにしました」。

特殊清掃については成仏不動産を始めて以降、特殊清掃業者が玉石混淆で、他社に依頼、清掃したものの臭いが取れずに困っているという売主から二次施工の依頼をいただくことがあったためと有馬氏。10年前には数百社だった特殊清掃業者は去年までに6000社ほどにも増えているが、資格不要の仕事のため知識と技術が一定レベルに達していないケースがあるのだ。

特殊清掃は緊急性が高い。事業者をじっくり調べる時間もなく、とりあえず依頼したものの、満足いかない結果になる例もあるのだという。

「成仏認定書」付きリフォームと情報開示で早期売却

成仏不動産ホームページ

同社では特殊清掃、お祓いをした上で「成仏認定書」を付けてリフォームを行う。認定書を発行することで、『汚い、怖い』を払拭する新たな価値基準になることを目指しているのだ。リフォームでは物件の良さを引き出すと同時に次の事故物件にならないことも意識している。

「建築医学と言っているのですが、人の考え、行動は環境に左右されやすいもの。これまで訪れたごみ屋敷、事故のあった部屋は暗かったり、湿っぽかったりと人の気持ちを蝕むようなところがありました。そういう部分のない、明るく暮らせる部屋を意識してリノベーションしています」。

写真提供:成仏不動産

また、物件紹介のページには「孤独死で発見までに●日」などと事故の理由を明記してもいる。その成果だろう、この1年で買取り→リフォームから売却に至った8物件は、売り出しから20日ほどで相場よりそれほど価格を下げずに売却できている。孤独死のあったタワーマンションで1割安というから、価格の安さだけを期待する人には多少拍子抜けするかもしれない。

とはいえ、安く買えれば投資としても成立する。そのため、同社では2020年11月から投資家向けに『成仏物件倶楽部』という、事故物件に投資したい人向けの仕組みも作っている。

「自分でリフォームその他をして貸す、戸建て投資を手掛ける方々を中心に月に20~30人の登録を頂いています。木造戸建ては事業者が購入、リフォームして販売するとなると費用が嵩みますが、投資家が現状のままで購入、手を入れるなら安くて済みます」と投資物件担当の石川健吾氏。すでに成約になった例も出ているという。

ちなみにこの1年で買取りから売却まで行った物件は8件、仕入れが終了、これからリフォームする物件が4件、相続登記を待っている物件が7~8件あるそうで、取扱い範囲を首都圏に広げたことで爆発的とは言えないものの、確実に問い合わせは増えているという。

テレビ取材に加え、夏にはテレビコマーシャルを予定する会社も

事故物件買取センター株式会社あきんどホームページ

同社ほどメディア等では取り上げられてこなかったものの、5年近く水面下で多数の事故物件を扱っており、テレビキー局からの取材を受けるまでに規模を拡大。この夏以降、テレビコマーシャルを計画しているという会社もある。実現すればもちろん日本初である。

それが大阪府守口市に本社を置く『事故物件買取センターあきんど』だ。成仏不動産は不動産会社が母体だったが、こちらは本体が工務店。以前から中古物件の買取り、再販を手掛けており、残置物の処理から始まり、物件再生のノウハウがある。自社施工のため通常のリフォーム費用より100~200万円安く仕上げることが可能となり、その分だけ買取価格を高く提示できるという。

「本体である『なにわ工務店』経営者家族への、知人からの相談がきっかけでした。親が自宅で亡くなり、その家を処分したいと考えているが、引き受けてくれる不動産会社がなくて困っているとのこと。相談を受け、そうした問題で困っている人がいること、さらにこれからも増えるだろうことに気づき、現社長が株式会社あきんどを立ち上げ、事故物件を専門に買取り、リフォームして売却することになりました。2021年7月で立ち上げから5年です」と広報担当の清田浩泰氏。

月100件以上の問い合わせと10数件にも及ぶ買取り

最初は地元である京阪エリアを中心にチラシを撒く程度で、問い合わせも月に数件くらいだったというが、1年ほど前にホームページをリニューアルしたことで徐々に問い合わせが増加。買取エリアを全国に広げたことで月に100件を超える個人や業者からの問い合わせが届くようになったという。

しかも買取れるものがあれば月に15~20軒は買取っているというから驚くべきスピードである。事故の内容としては孤独死、自殺、殺人や心中などのように人の生き死にに関わる心理的な瑕疵のほか、火事にあった、傾きがある、再建築不可、シロアリ問題、長屋・連棟、狭小地、借地などといった建物、土地に瑕疵や売りにくい物理的な瑕疵があるなど様々だが、同社はどちらも買取りを行っている(物理的瑕疵については2021年1月からトラブル物件買取センターでの扱い)。

多くの人は最初、地元の不動産会社に相談するものの、そこで敬遠されて同社に相談というケースが多く、現在では全国に査定に赴くようになっている。その労力を軽減しようとまずは東京に進出。御徒町にオフィスを手配し、現在は知事免許を大臣免許に書き換えの作業中で、7月下旬からは本格的に業務を開始。

同時に首都圏で流すTVCMも作成中で、さらには今年、来年くらいには福岡、愛知への出店も考えてもいるという。

「これまで本当に大阪から無料で査定に来てくれるんですか?あとで多額の費用を請求されたりしませんか?と不安がられていましたが、今後はそれが無くなります(笑)」と査定担当の鎌田氏。

あわせて読みたい

「不動産」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    森ゆうこ議員「北朝鮮にワクチンを提供せよ」立憲民主党の驚愕の外交センス

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    06月12日 08:49

  2. 2

    熊田曜子、谷村有美ら「芸能界セレブ」がコロナ禍で直面する夫からのDV

    渡邉裕二

    06月12日 14:04

  3. 3

    コロナ不況で住宅ローンが返せない人急増 持ち家の売却は急いだほうがいい理由

    NEWSポストセブン

    06月12日 09:41

  4. 4

    ひろゆき氏、電話不要論を展開「若い人が嫌がるのは当然」 職場の“TELハラ”問題

    ABEMA TIMES

    06月12日 14:22

  5. 5

    支持率は37%に激減…それでも五輪に突き進む“菅政権のホンネ” - 広野 真嗣

    文春オンライン

    06月12日 09:55

  6. 6

    部分的に集団免疫が発動したという論文も ワクチン接種拡大でゴールは近いか

    中村ゆきつぐ

    06月12日 08:25

  7. 7

    「常識外れの賠償は却下に」文在寅大統領には徴用工問題を解決する責任がある

    PRESIDENT Online

    06月12日 10:36

  8. 8

    リスクの高いヘッジファンドと同等のビットコイン 投資対象として魅力なし

    近藤駿介

    06月12日 17:02

  9. 9

    たむらけんじ 65歳以下なのになぜ?「ワクチン打った」投稿の真相直撃

    SmartFLASH

    06月12日 21:12

  10. 10

    実は世界経済回復の恩恵を受け始めている日本経済 今以上に悪化する要素はない

    武者陵司

    06月12日 16:24

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。