記事

クルーグマン教授は安倍総理を褒めているのか?

クルーグマン氏:アベノミクス「結果的に完全に正しい」(毎日新聞)

結果的に完全に正しい?

はてさて、クルーグマン教授は安倍総理の経済政策を評価しているのでしょうか?

これだけではなんとも判断し難い。但し、そもそも強力な金融緩和と積極的な財政出動クルーグマン教授長年主張している訳だから、彼が安倍総理の考えを否定するとは到底思えない。

彼は何と言っているのか?原文を確認することにしましょう

For three years economic policy throughout the advanced world has been paralyzed, despite high unemployment, by a dismal orthodoxy. Every suggestion of action to create jobs has been shot down with warnings of dire consequences. If we spend more, the Very Serious People say, the bond markets will punish us. If we print more money, inflation will soar. Nothing should be done because nothing can be done, except ever harsher austerity, which will someday, somehow, be rewarded.

「過去3年間、先進国の経済政策は、高い失業率にも拘わらず陰鬱な正統派理論のために機能マヒを起こしている。雇用を創出するためのあらゆる提案が、大変な結末をもたらすだけだからという理由で拒否されてきた。これ以上財政出動をするならば、国債市場が罰を与えると『生真面目な人々』言う。これ以上お札を印刷すれば、インフレが起きる、と。何もすることができないのだから何もすべきでない、緊縮財政措置を除いては、と。そして、緊縮財政はいつの日か報われるだろう、と」

But now it seems that one major nation is breaking ranks — and that nation is, of all places, Japan.

「しかし、ある一つの国が列を乱そうとしている。その国とは、こともあろうに日本であるのだ」

This isn’t the maverick we were looking for. In Japan governments come and governments go, but nothing ever seems to change — indeed, Shinzo Abe, the new prime minister, has had the job before, and his party’s victory was widely seen as the return of the “dinosaurs” who misruled the country for decades. Furthermore, Japan, with its huge government debt and aging population, was supposed to have even less room for maneuver than other advanced countries.

「これは、我々が探していた異端者ではない。日本では、政権は直ぐに替わる。しかし、何も変わるようにはみえない。実際、新しい総理の安倍晋三はかつて総理の座にいたことがあり、自民党の勝利は、何十年もこの国を間違った方向に導いてきた「恐竜」の復活と見られている。さらに、その政府多額の借金を抱え、しかも高齢化が進展しつつある日本は、他の先進国よりも選択の余地が乏しいと見られてきた」

But Mr. Abe returned to office pledging to end Japan’s long economic stagnation, and he has already taken steps orthodoxy says we mustn’t take. And the early indications are that it’s going pretty well.

「しかし、安倍氏は、日本の長く続いた経済停滞を終わらせると約束して政権の座に復帰し、そして、正統派が決して採用してはいけないという政策を既に取っている。そして、最初の兆候としては、非常に巧く行っている」

Some background: Long before the 2008 financial crisis plunged America and Europe into a deep and prolonged economic slump, Japan held a dress rehearsal in the economics ofstagnation. When a burst stock and real estate bubble pushed Japan into recession, the policy response was too little, too late and too inconsistent.

「背景を少々説明する。2008年の金融危機が米国と欧州を深刻で長引くスランプに陥れたその時よりも遥か前に、日本は経済停滞の『稽古』をしていた。そして、バブルが弾けて日本が不況に陥った時、日本の政策対応は余りにも規模が小さく余りにもタイミングを失し、そして政策の一貫性に欠けたものでしかなかった」

To be sure, there was a lot of spending on public works, but the government, worried about debt, always pulled back before a solid recovery could get established, and by the late 1990s persistent deflation was already entrenched. In the early 2000s the Bank of Japan, the counterpart of the Federal Reserve, tried to fight deflation by printing a lot of money. But it, too, pulled back at the first hint of improvement, and the deflation never went away.

「確かに、公共事業は相当の規模に達したが、借金を心配する政府は、常に経済回復が本格的なものになる前にそうした政策を引っ込めてしまい、そして、1990年代の終わりに達する頃には、完全なデフレ状態に陥ってしまった。2000年代の初め頃、米連銀のカウンターパートである日本銀行は、お金を大量に刷ることによってデフレと戦おうとした。しかし、日銀もまた、改善する前にそうした措置を撤回してしまい、デフレは居座ってしまった」

That said, Japan never had the kind of employment and human disaster we’ve experienced since 2008. Indeed, our policy response has been so inadequate that I’ve suggested that American economists who used to be very harsh in their condemnations of Japanese policy, a group that includes Ben Bernanke and, well, me, visit Tokyo to apologize to the emperor. We have, after all, done even worse.

「但し、日本は、2008年以降我々が経験している雇用問題には直面していない。実際、米国の政策対応は余りにも不十分であったので、かつて日本の政策を非難したバーナンキや私も含む米国のエコノミストが東京を訪れ、天皇に謝罪すべきではないかと言ったことがあった。結局、米国は日本よりも対応がまずかったのである」

And there’s another lesson in Japan’s experience: While getting out of a prolonged slump turns out to be very difficult, that’s mainly because it’s hard getting policy makers to accept the need for bold action. That is, the problem is mainly political and intellectual, rather than strictly economic. For the risks of action are much smaller than the Very Serious People want you to believe.

「日本の経験から、もう一つ学んだことがある。長引く不況から抜け出すことがどんなに困難なことか分かる一方で、その主な理由は、政策決定権者、大胆な行動を起こす必要があることを認めさせるのが難しいことにある。つまり、問題は厳密な意味で経済学的なものというよりも、政治的、そして知的なことなのである。というのも、そうした行動がもたらすリスクは、『生真面目な人々』が皆を信じ込ませようとしているよりも遥かに小さいものだからである」

Consider, in particular, the alleged dangers of debt and deficits. Here in America, we are constantly warned that we must slash spending now now now or we’ll turn into Greece, Greece I tell you. But Greece, a country without a currency, doesn’t look much like the United States; surely Japan offers a more relevant model. And while doomsayers keep predicting a fiscal crisis in Japan, hyping each uptick in interest rates as a sign of the imminent apocalypse, it keeps not happening: Japan’s government can still borrow long term at a rate of less than 1 percent.

「特に、主張されている借金や債務の危険性について考えてみればいい。ここ米国においては我々は常に警告されている。支出をカットせよ、今やるのだ今、と。さもなければギリシャになってしまうぞと。ギリシャと私は言っている。しかし、自国の固有の通貨を持たないギリシャは米国とは似ていない。日本となら比較してもいいかもしれないが。終末論者は、日本の財政危機を予言し続けている。金利の高騰が起きると言い続けてきた。しかし、そのようなことは全然起きていない。日本の政府は、今でも1%未満の長期金利でお金を借りることができる」

Enter Mr. Abe, who has been pressuring the Bank of Japan into seeking higher inflation — in effect, helping to inflate away part of the government’s debt — and has also just announced a large new program of fiscal stimulus. How have the market gods responded?

「日本銀行により高い物価上昇率を追及するように圧力をかけてきた―そうすることによって政府の債務負担を実質的に軽くする―そして、大規模の新たな財政出動を行うと言う安倍氏を登場させよ。市場の神々の反応はどうであったか?」

The answer is, it’s all good. Market measures of expected inflation, which were negative not long ago — the market was expecting deflation to continue — have now moved well into positive territory. But government borrowing costs have hardly changed at all; given the prospect of moderate inflation, this means that Japan’s fiscal outlook has actually improved sharply. True, the foreign-exchange value of the yen has fallen considerably — but that’s actually very good news, and Japanese exporters are cheering.

「答えは、全て良し。少し前までマイナスであった市場―つまりデフレが続くと予想していた―のインフレ予想は、今やプラスの領域に入っている。しかし、政府の借入コストは全く変わっていない。もし、マイルドなインフレが予想されるのであれば、このことは、日本の財政見通しは、実際には急激に改善しているということである。確かに、円の価値が相当に落ちているが、それは実際には非常に良いニュースであり、日本の輸出業者は喜んでいる」

In short, Mr. Abe has thumbed his nose at orthodoxy, with excellent results.

「要するに、安倍氏素晴らしい結果をもたらし、正統派理論をバカにしているのだ」

Now, people who know something about Japanese politics warn me not to think of Mr. Abe as a good guy. His foreign policy, they tell me, is very bad, and his support for stimulus may have more to do with old-fashioned pork-barrel (tofu barrel?) politics than with a sophisticated rejection of conventional wisdom.

「ところで、日本の政治に詳しい人々が安倍氏を良い人物だと思うなと警告する。彼の外交政策は
非常にまずいと彼らは言う。そして、彼の刺激策は、伝統的な理論を拒否したアイデアというよりも古いタイプの利益誘導に近いと言う」

But none of that may matter. Whatever his motives, Mr. Abe is breaking with a bad orthodoxy. And if he succeeds, something remarkable may be about to happen: Japan, which pioneered the economics of stagnation, may also end up showing the rest of us the way out.

「しかし、そのようなことはなんら問題にはならないかもしれない。彼の真意がどうであれ、安倍氏は拙い正統派理論を打ち壊しているのである。そして、もし彼がそれに成功するならば、何か特筆すべきことが起こるかかもしれない。不況の経済学の先駆者である日本が、我々世界の他の国々に不況から抜け出る方法を示すことになるかもしれない」


さあ、クルーグマン教授の意見をお知りになって、貴方は今、どのようにお感じになっていることでしょう

彼は、多分、安倍総理のことを良くは思っていない。外交が下手だし、経済政策もバラマキに近い
かもしれない、と。

しかし、そうは言っても、やっていることは自分の主張してきたことと一致しており、だから褒めない訳にはいかない、と。つまり、自分が正しいと言うだけの話です。そして、そのクルーグマン教授の主張する仮説の正当性が、こうして日本において社会実験によって立証されるであろう、と。

果たして、実験の結果はいつ出るのか?

クルーグマン教授は正しいのか?

私は、その反対になると思うのです。

もちろん、景気が一時的によくなる可能性は大であるのですが、景気がよくなればなるほど、そして、物価上昇率が高くなればなるほど、日本の国債が暴落してしまう危険性が大きくなるのです。

あわせて読みたい

「アベノミクス」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    GSOMIA破棄は支持率回復が目的か

    舛添要一

  2. 2

    GSOMIA破棄巡る米国の反応に注目

    早川忠孝

  3. 3

    GSOMIA破棄 日韓対立は韓国に非

    和田政宗

  4. 4

    GSOMIA破棄は韓国の危険な火遊び

    AbemaTIMES

  5. 5

    韓国GSOMIA破棄 優遇除外が理由

    ロイター

  6. 6

    タニタの正規雇用中止は称賛に値

    城繁幸

  7. 7

    報ステの立場を奪った羽鳥番組

    水島宏明

  8. 8

    横浜市カジノ誘致でドンと対決か

    渡邉裕二

  9. 9

    不発多い韓国の不買 今回は成果

    WEDGE Infinity

  10. 10

    コミュ力ない人 1コマ漫画が話題

    AbemaTIMES

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。