- 2021年06月02日 16:53 (配信日時 06月02日 09:15)
コロナ禍なのに京都で超高級ホテルの開業ラッシュが起きている本当の理由
1/2コロナ禍にもかかわらず京都で超高級ホテルの開業ラッシュが起きている。それにつられて、不動産市場も高騰している。金融アナリストの高橋克英さんは「京都では投資が投資を呼ぶ好循環が起きている。景観規制や別荘税といった政策は、むしろプラス材料になっている」という――。

コロナ禍でも続く最高級ホテルの開業
コロナ禍にもかかわらず京都の不動産が国内外の富裕層を惹きつけているという。①「京都のブランド力」、②「世界的なカネ余り」、③「外資系最高級ホテルの開業ラッシュ」が三重奏になって、投資が投資を呼ぶ好循環が生まれているのだ。厳格な景観規制の存在、限られた不動産供給、「別荘税」の検討も進んでいるが、そうしたデメリットさえも、ますます京都の不動産の希少価値を高めることになりそうだ。
京都は千年の都として、「国際観光文化都市」に指定され、四季を通じて内外から多くの観光客が訪れる。しかし、コロナ禍でインバウンドはゼロだ。
それにもかかわらず、京都では、日系や外資系の最高級ホテル(ラグジュアリーブランドホテル)が相次いで開業しており、この先も開業ラッシュが続く予定だ。実際、京都市によると、今年3月末の京都市内の旅館・ホテル数は679軒と前年比23軒増加しており、コロナ禍にあっても、6年連続増加で推移している(京都市民泊ポータルサイト「京都市における宿泊施設の状況(許可施設数、届出住宅数、無許可施設への対応等)」)。
ホテルコンドミニアムが約12億で売り出される
2020年3月には、江戸時代から残る京町家を再構築した、全29室のスモールラグジュアリーホテル「ザ・ひらまつ 京都」が開業した。三井不動産は、自社ブランド初の最高級ホテル「HOTEL THE MITSUI KYOTO」を昨年11月に開業。二条城に近く、客室は全161室、最上級の「プレジデンシャルスイート」は1人1泊130万円もする。帝国ホテルは、祇園にある国登録有形文化財の弥栄会館を改修した高級ホテルを、2026年春に開業する予定で、約60室で総事業費は110億円の見込みだ。
国内外の富裕層による別荘やホテルコンドミニアム、京町家などといった不動産への投資も引き続き活発だ。2016年に開業した「フォーシーズンズホテル京都」は、全180室のうち、57室を住居用の「レジデンス」としている。このレジデンスは、リビングやダイニングに加え、キッチンや洗濯機なども備える。現在販売中の13住戸の物件概要をみると、専有面積が83m2超~190m2超、価格は約4億6000万~約11億9000万円だ。
伝統的都市住宅「京町家」も根強い人気
京町家は、京都のまちなみ景観を特色付ける木造の伝統的都市住宅だ。長い奥行きの敷地を生かした職住共存に適した間取り、奥庭や坪庭など自然と季節感を暮らしに取り込む工夫、出格子や虫籠窓などの独特のデザインといった特徴がある。
京町家は、再開発などにより減少する反面、カフェやブティック、宿泊施設としても再利用されており、インバウンドにも好評だ。また、国内外富裕層からのセカンドハウスや投資用不動産としてのニーズに加え、セカンドオフィス、ワーケーション利用のニーズも増えている。京町家に対する関心が高まるなか、京都中央信金、京都信金、京都銀行、滋賀銀行、スルガ銀行などが、京町家ローンを取り扱っており、富裕層においても利用実績が積み上がってきているという。
京都で不動産投資が活発な3つの理由
なぜ、コロナ禍でも、京都では国内外の富裕層による不動産投資が活発なのだろうか。その理由には、①「京都のブランド力」、②「世界的なカネ余り」、③「外資系最高級ホテル」の存在、が挙げられる。
「京都のブランド力」
1つ目は「京都のブランド力」だ。「国際文化観光都市」京都のブランド力は絶大であり、多くの国内外富裕層にとっても憧れの場所だ。
例えば、アメリカの人気旅行誌『コンデナスト・トラベラー(Condé Nast Traveler)』の、世界で最も魅力的な都市を決める「Best Big Cities in the World」において、京都市が世界1位に選ばれている(2020年10月)。「ミシュランガイド京都2021」によれば、3つ星は「菊乃井 本店」「吉兆 嵐山本店」など7軒、2つ星19軒、1つ星84軒と星付きの飲食店は110軒にも上る。

「世界的なカネ余り」
2つ目は「世界的なカネ余り」だ。コロナショックにより、日本だけでなく米国、欧州では、史上最大規模の金融緩和策と財政出動策がとられている。
このため、世界中で、規模が大きく流動性もある株式市場だけでなく、ミドルリスク・ミドルリターンで相対的に高い利回りが見込める不動産市場にもおカネが流れ込んでいるのだ。
もっとも、米中対立や中東情勢など地政学リスクも高まっている。このため、不動産においても、新興国や地方都市よりブランド力ある先進国の都市やリゾート地の不動産が選択されることになる。ロンドンやパリ、ハワイなどと同様に、日本では、東京や京都、ニセコの土地などが買われているのだ。
そして、金融緩和の恩恵を最も受けるのは、既に資産・資金を十分に持ち、その資産・資金を元手に投資や開発を行うことができる国内外の富裕層となる。
特に、米中対立の激化や、中国による香港やウイグルでの弾圧、ミャンマーでの軍事クーデーターを目のあたりにした、香港やシンガポールなど世界各地の華僑や欧米投資家において地政学リスクへの不安が高まっている。その結果、政治的にも安定し市場規模も大きい日本の魅力度が上がっているのだ。ドルやユーロ建て資産が大半を占める華僑や欧米など海外投資家において、保有資産の分散、通貨の分散という観点からも、円建ての資産を京都の不動産で持つメリットが生まれているのだ。
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