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羽ばたける日本の農業

TPPやEPAなど一般の方にとってはわかりにくい自由貿易、グローバル化が着実に進んでいます。1月7日の日経新聞にカナダ商工会議所会頭のペリンビーティ氏のインタビュー記事があり、カナダと日本で交渉が始まったEPA(経済連携協定)に関して双方、未来志向で努力すべし、と述べています。

記事の中でカナダがワイン産業保護のため、国内のワイン農家を高い関税で保護していたがワインの品種転換が進み、競争力を得て更に自由化で品質も向上した、とあります。

BC州の内陸にオカナガンというワインの生産に適したエリアがあります。私がカナダに来た1991年にあるカナダ人が「カナダのワインを飲んだことはないだろう」と言ってレストランでたんまり飲んだことがあります。ようやくカナダのワインが欧州のコンクールなどで上位に入るようになりカナダのワインもいけるとされ広まり始めた頃だと思います。それから20数年たった今、オカナガンには何十ものワイナリーが存在し、その品質は格段に向上しました。ワインの生産量は比較的少ないにもかかわらず、地元での消費量が多く、輸出に回るワインは極めて少ない状態が続きます。

仮に輸出できる規模となれば世界の酒屋で愛飲されるであろうと思います。つまり、ベリンビーティ氏の指摘するとおり、本当に競争力をつけたのです。それは今までの甘えからこのままでは生き残れないという焦り以外の何者でもありません。

日本の農業はいまだに補助金に頼り、小さな規模の農家が主流で農業従事者の高齢化も止まりません。私の親戚は専業農家なのですが、私が小さい頃、米はやめました。品質やブランド的に新潟産などに勝てないことと食生活の変化により米食から小麦に変わってきたことを先読みしていたようです。今では全部野菜に変わり、特にアスパラガスは高付加価値のブランド物を生産しています。儲かっているかどうかは知りませんが少なくとも私のいとこは自信を持って生産に励んでいます。

変わる勇気というのはなかなか大変なものです。特に農業の場合、「先祖代々、米を作り続けてきているのだから俺がそれを止めるわけにはいかない」という頑固さと時代の流れに逆らう気持ちが先立ってしまうのかもしれません。また以前にもこのブログで書いたのですが、農家にとってその土地は「神様から貸与された土地で労働の喜びを与えられている」と考える人が多いようです。結果として農地を第三者に売却することに大きな抵抗が存在する理由のひとつになっていると思われます。

しかし、カナダのワインのケースではアイスワインというぶどうの収穫を極寒のある時期に行うことで格別の甘いデザートワインを作り出す、という技も作り上げました。収穫量は本当に少ないのでハーフボトルサイズで数千円以上する高付加価値商品となっています。

日本の農作物は世界的に見て驚くほど高品質であることは疑いの余地がありません。アメリカ産の農産物と価格比較すればそれは見るのもばかばかしくなりますが、高品質だからこそ求める客はいるのです。カナダではオーガニック野菜やグローサリーを専門に扱っているスーパーがあります。そしてそれはなぜか、高所得者が多いところに立地し、週末にそこに行けば人でごった返しています。一定の価値を求める人は必ずいるということです。

日本の農業は市場開拓に励むことで大きく変貌する金の卵のようなものだと確信しています。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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