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  • ロイター
  • 2021年06月01日 07:20 (配信日時 06月01日 07:19)

焦点:世界の牛肉価格が高騰、ステーキ好きの国では消費者悲鳴


[ブエノスアイレス/シカゴ/サンパウロ 27日 ロイター] - 牛肉価格が世界的に高騰し、ステーキ好きの国アルゼンチンの首都ブエノスアイレスではメニューから牛肉が消え、米国では夏のバーベキューが台無しになりそうだ。背景には、中国の輸入増加や飼料価格の上昇がある。

国連食糧農業機関(FAO)によると、牛肉価格の上昇が一因となり、世界の食品価格は2014年以来で最も高騰。とりわけ打撃を被っているのは、コロナ禍による経済的打撃から立ち直ろうと奮闘する貧しい消費者だ。

牛肉価格高騰の原因は、中国での需要増加や、一部の国々における牛の供給制約、食肉処理施設の労働者不足、飼料価格の上昇などにある。

中国への牛肉供給量でブラジルに次ぎ世界第2位のアルゼンチンは17日、インフレを抑えるため1カ月間の牛肉輸出停止に踏み切った。アジアからの旺盛な需要が国内向けの供給を吸い上げ、国内価格の上昇を招いていると政府は指摘している。

「牛肉がとんでもなく値上がりした」と嘆くのは、ブエノスアイレスの公務員、フェルナンダ・アルバレンガさん(38)だ。これまで2日に一度は家で牛肉を食べていたが、週1回に減らした。料理に使う牛肉の種類も安いものに切り替えたという。

「牛肉を買うのに毎月4000から5000ペソ(42―53ドル、約4600-5800円)ぐらいかかる。以前は同じお金でもっとたくさん買えたのに」

アルゼンチンは、バーベキューで牛肉を焼くことが「基本的人権」と見なされ、郊外には牛の牧場が点在するお国柄。その国で牛肉価格が1年前より60%以上も上昇している。業界団体の報告によると、1人当たりの消費量は急減し、4月には100年ぶりの低水準となった。

対話アプリのワッツアップでは、牛肉に手が出なくなったと悲嘆に暮れる声が次々に寄せられ、政府による食料支援問題で話題となった「ポレンタ(トウモロコシ粉のおかゆ)」でしのがざるを得ない、という皮肉を込めたコメントも拡散されている。

<中国の胃袋>

中国税関総署のデータによると、中国は1―4月にアルゼンチンから牛肉17万8482トンを輸入した。前年同期は15万2776トンだった。

アルゼンチン食肉商工会議所は、中国の輸入分はアルゼンチンで消費されない高齢の牛のものだと主張。牛肉輸出の停止措置に抗議し、畜産物取引のストライキを行った。

中国は2018年からアフリカ豚熱(ASF)により大量の豚が死亡して以来、食肉の輸入を増やした。最近では、牛肉輸入量が3番目に多かったオーストラリアとの関係が悪化して同国からの輸入を一部停止し、その他の供給国への依存度が高まった。

米農務省によると、米国から中国への牛肉輸出は3月に1万4552トンと、月間の過去最高を記録した。これは2019年全体を大幅に上回る量だ。

中国で食べられる肉は長く豚肉が中心だったが、中間所得層が拡大するにつれ牛肉の消費も増えている。

ラボバンクのシニアアナリスト、パン・チェンジュン氏は「牛肉はかつて、レストランなど主に家の外で食べるものだった。だが次第に家庭での料理でも広く使われるようになった」と語る。

中国農業農村省によると、同国では4月末時点で牛肉価格が前年同期比4.4%上昇している半面、豚肉価格は27.9%下落している。

<天文学的な価格>

米カリフォルニア州に住む退役軍人のダリン・クロスさん(55)は、ウォルマートで0.9キロ入りの牛ひき肉が8ドルから10ドルに値上がりしているのにショックを受けて以来、野菜を多く食べるようになった。

「決まった収入しかない私たちにとって、たった数週間でこれだけ跳ね上がるのは痛い。今後もこの状態が続くのではないかと怖くなる」

ニールセンIQのデータによると、4月の米牛肉価格は前月比で5%、前年同月比では約10%の上昇だった。

ニューオーリンズ郊外に住むティナ・ハウエルさん(45)はステーキ肉のまとめ買いをやめた。生鮮食品店が安売りをしなくなったからだ。

ハウエルさんは「ニューヨーク・ストリップ・ステーキ」と呼ばれる牛肉のショートロイン部位が、以前の1ポンド(約0.45キロ)当たり7ドル前後から約12ドルと、「天文学的な値段」に跳ね上がっているのを目撃した。

米国は牛の供給こそ豊富だが、食肉処理施設での人手不足や設備不足により、牛肉の生産には制約がある。

また大豆やトウモロコシなどの飼料価格が約8年ぶりの水準に上昇し、一部は消費者に転嫁されている。コロナ禍に対応した制限措置が緩和され、飲食店向けの需要が増えていることも牛肉価格の高騰につながっている。

(Agustin Geist記者  Tom Polansek記者 Ana Mano記者)

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