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バロンズ:予算教書に反応薄な米株市場、米金利上昇への耐性は

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Barron’s : With Big Spending, Interest Rates Could Rise And Impact On U.S. Stock Market

バロンズ誌、今週のカバーはサプライチェーンの途絶をいかに有効活用し現金化するかを取り上げる。米国で鶏のむね肉価格が2倍になり、チキンサンドウィッチ戦争が勃発中だ。ファストフードチェーンのチキン・フィル・エーは、ソース不足に悩まされ、バーガー・キングは瓶不足を受けたピクルス問題に直面している。一部のサプライチェーンの途絶かというと、そうでもない。住宅の買い手からリフォーム希望の住宅保有者、さらには自動車の買い手や借り手、プールの消毒剤やドッグフードに至るまで、サプライチェーン問題が広がっている

投資家はサプライチェーンの途絶が長引けば物価を押し上げると予想し、米連邦準備制度理事会(FRB)が早期の利上げを検討するリスクを想定、株価への影響をにらむ。過去約10年にわたるゼロ金利はS&P500を押し上げ、予想株価収益率(PER)は22倍と、ITバブル期以来の高水準となる。ではサプライチェーンの途絶が終息し、ペントアップ需要が頭打ちとなればどなるか?経済成長はパンデミック前の伸び悩みに戻り、低金利政策は長期化せざるを得ず株式相場を押し上げるに違いない。そうしたシナリオを元に、サプライチェーンの途絶に直面するいま、どこに投資すべきか。バロンズ誌は、倉庫の確保や機器の最新化を予想した上で、キャタピラーやディーア、ハネウェルなどに着目する、詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測する名物コラム、アップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週のカバーはバイデン政権で初めて公表された予算教書に焦点を当てる。抄訳は、以下の通り。

増税だけではバイデン政権の予算案は賄えず、米債市場が穴を埋める必要性―Tax Hikes Alone Won’t Pay for Biden’s Budget Plan. The Bond Market Will Need to Pick Up the Slack.

シカゴ債券先物市場の立会場に人が溢れていた時代、債券市場は決して失敗しない商品とされてきた。その言葉は第2次世界大戦時で喧伝されたスローガンでもあったわけだが、最近では巨額の財政赤字の借用書”IOU”に対するワシントンのメッセージとなっている。

バイデン大統領が提示した予算教書で支出額は6兆ドルに及び、1兆ドルの財政赤字が見込まれる。つまり、米債市場は絶え間ない米国債発行にさらされるということだ。同時に、米政府の資金調達は米株相場と住宅市場と同様に、過去最低レベルの金利に頼らざるを得ない

予算教書は、メモリアルデーの3連休を控え議会が休会となる前に公表された。タイミングはバッチリで、週明けの火曜日の取引で支出額に大きな注目が集まらない可能性がある。

AGFインベストメンツのグレッグ・バリエール氏によれば、予算教書は「野心的(aspirational)」内容だった。バリエール氏にしてみれば「バイデン氏は、全てが達成できるとは想定していない」。しかし「プログレッシブに彼らを支持する姿勢を示したもので、バイデン氏は民主党の保守派マンチン上院議員や共和党との必要不可欠な妥協を好まないだけに、彼らを満足させる必要がある」と分析する。

ゴールドマン・サックスのエコノミスト、アレック・フィリップス氏によれば、今回の6兆ドルの支出案には、新しい材料はない。米議会予算局(CBO)は10月から開始する2022年度の予算につき5.05兆ドルを見込んでおり、そのうちバイデン政権下で成立した追加経済対策”米国救済法”は、5,290億ドルの赤字をもたらす見通しだ。ホワイトハウスは米議会に対し、追加の裁量支出として既に1,180億ドルを送付した。これで、全体の支出額は5.7兆ドルとなる。残りの3,000億ドルは恐らく、インフラ計画である”米国雇用計画”と育児・医療支援策である”米国家族計画”によるものだろう。

ウォール街の注目を引いたのは、キャピタルゲイン税が4月28日に遡って徴収されることだ。対象は年収100万ドル以上の富裕層で、税率は現行の20%から最高所得税率に引き上げられる。米国家族計画では所得税率が現行の37%から39.6%へ引き上げられるため、キャピタルゲイン税率も同水準とされる。オバマケアに盛り込まれる投資収益への課税3.8%を含めれば43.4%となり、現行の23.8%からほぼ2倍に引き上げられる見通しだ。

キャピタルゲイン税は、以前このコラムで指摘しスタイフェルの首席政策ストラテジストであるブライアン・ガードナー氏が分析するように、必ずしもこのまま可決するとは限らない。最高所得税率の39.6%でなく、1986~97年の税率である28%辺りが妥当な線だろう。キャピタルゲイン税引き上げに直面する投資家が米国で上場される株式の25%しか保有していない状況を踏まえれば、影響は限定的と捉えられる。

米債市場がバイデン政権の予算案を懸念する一方で、政府債務残高はGDP比117%へ上昇するとみられるが、イエレン財務長官はこのリスクが問題ではないとの見方を示す。イエレン氏は米下院歳出委員会の小委員会で開催された公聴会で、バイデン政権の予算案は、実質金利がマイナスであるため、財政上の責任を伴うものと発言。米10年債利回りが1.6%とインフレ目標の2%を下回る状況がポイントであって、イエレン氏は債務負担を表す指標として、政府債務残高のGDP比より実質金利に注目すべきと述べた。

チャート:米10年物TIPS利回り(実質金利を表す)はマイナス圏で推移

(作成;My Big Apple NY)

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