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守れ。葛西臨海水族園【サステナブル・リカバリーの象徴へ】

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2019年12月、地元のランドマークである葛西臨海水族園本館の改築計画が、解体ありきで進められていることが明らかになりました。

ホテルオークラの設計に携わった谷口吉生氏の手による建築物とあって、その後、そうそうたる建築家と地域住民が保存を求めるシンポジウムを開催。メディアにも取り上げられ、国内外に知れ渡ることとなりました。

こうした中で開催された、都による『葛西臨海水族園事業計画検討会』は大紛糾。通常、この種の審議会は予定調和で進むものですが、反対意見の委員数名がなんと辞任!

また、ハーバード大、イエール大からは小池知事へ存続を求める要望書が、さらには日本建築家協会から新たな提案が出された結果、美しいランドスケープと調和した都民の記憶の玉手箱として、本館の活用を検討するという前向きな姿勢を都が示すに至りました。地域住民、内外の建築家という民意が小池都政を動かしたのです!(詳細こちら)

しかし油断禁物です。同じ思いの建築家を中心とした「葛西臨海水族園の長寿命化を考える会」の皆様があきらめぬ闘いを続けています。

【環境・建設委員会に出された陳情】

本日開催の環境・建設委員会へ以下の陳情が出されています。

「葛西臨海水族園の更新に向けた事業計画及び既存施設の利活用・環境保全に関する陳情」

東京都議会議長 石川 良一殿

葛西臨海水族園の長寿命化を考える会

・葛西臨海水族園本館存続の提案項目
 都における葛西臨海水族園の更新に向けた事業計画について、サステナブル・リカバリーを推進するために、葛西臨海水族園の既存施設と現在計画中の新施設とを統合して一つの機関とし、次のことを実現していただきたい。

1 葛西臨海水族園を未来の人々のために、サステナブル・リカバリーを推進する拠点として、葛西臨海水族園の新施設、現施設を一体として、東京の自然環境・世界の海洋環境・海洋生物の研究教育機関に発展させ、葛西臨海公園、葛西海浜公園及び葛西臨海水族園を統合する「東京サステナブル・リカバリー・センター」という一つの機関とすること。

2 新施設は、その機関の一部の施設として水族館機能を分担し、ガラスドームと水盤を通して世界の海へとつながる既存本館は一部展示も含みながら研究教育施設として保全利活用し、加えて既存の淡水生物館についても保全利活用すること。

3 葛西臨海水族園の更新に向けた事業計画において、その新施設の配置計画は、最大限現在の景観を尊重するために、現在の芝生広場の位置を主として、緑地を最大限確保した計画とすること。

4 上記3と同時に、創園から30年を経て、成長した樹木や葛西臨海水族園の職員が手塩に掛けて育てた環境、特に淡水生物館や流れの周辺の水辺を囲む緑地を最大限残し、保全すること。

5 葛西臨海水族園の更新に向けた事業計画において、ガラスドームが象徴的な葛西臨海水族園、クリスタルビュー、水上バス待合所の三つの建築と葛西臨海公園、葛西海浜公園の自然豊かなランドスケープが調和する総体としての景観を保全すると同時に、葛西臨海公園駅のホーム、中央園路、水の広場、ゲート広場へ至るアプローチの各地点からガラスドームへの眺望を確保する計画とすること。

・なぜ、葛西臨海水族園本館を残すべきなのか
 本陳情は、令和2年の都議会本会議において、日本建築家協会の「葛西臨海水族園の改築計画に、現存建物の保存活用を加えていただきたい。」との陳情が趣旨採択されたことや、その後都が進めている政策を鑑み、葛西臨海水族園の在り方及び葛西臨海水族園の更新に向けた事業計画について、既存施設の利活用を含めた葛西臨海水族園の環境保全整備の提案をするものである。

 葛西臨海水族園が位置する葛西沖は、かつて豊かな漁場だったが、海洋汚染が深刻化し漁場が成立しなくなった後、産業廃棄物の埋立処分場となっていた。その後、自然環境の保全と回復を目的に、盛り土や植樹が行われ葛西海浜公園、葛西臨海公園が整備された。葛西臨海水族園は、軟弱層の下の硬い地盤に届く長さ60メートルの杭約1,000本に支持され、その廃棄物の堆積層の上に建設された。

 約30年の年月を経た現在、葛西臨海水族園とその周辺は、干潟や森林など自然が回復し、多様な生物が生息する豊かな環境が実現している。葛西臨海公園、葛西海浜公園は戦後の高度経済成長期の負の側面であった公害や地盤沈下・海洋汚染から、都が埋立てや植樹などを行うことによって環境再生に成功した「世界に誇るべき環境再生モデル」であり、「サステナブル・リカバリー」の実例となっている。

・葛西臨海水族園本館は小池知事推奨の“サステナブル・リカバリー”の象徴
 都が推進する「未来の東京」戦略ビジョンにおいては、美しい東京を実現するために過去から引き継いだ財産を最大限にいかすことが示されている。葛西臨海水族園の自然環境と建築が調和した現在の景観を壊すことは、この方針に反することであり、環境的にも経済的にも歴史的文化遺産の大きな損失と懸念される。現代を生きる都民には、この環境と景観を未来へ受け渡す責任がある。ゼロエミッションを目標とする都において、約1,000本の杭と既存施設を解体せず、利活用することにより、CO2の排出の削減が図られる。

 また、「未来の東京」戦略ビジョンにおいて、「サステナブル・リカバリー」をあらゆる政策分野で実現することにより、持続可能な社会を築き上げるとしていること、さらに、緑溢れる東京プロジェクト、東京ベイeSGプロジェクトなど、東京湾から日本の未来を創り出す構想がうたわれていることから、東京湾の葛西沖に実現した「世界に誇るべき環境再生モデル」としての葛西海浜公園、葛西臨海公園、葛西臨海水族園は正に「サステナブル・リカバリー」の推進拠点としてふさわしい場所と考えられる。

 サステナブル・リカバリーを推進する拠点として、葛西臨海水族園の新施設、既存施設を一つのものとして、東京の自然環境・世界の海洋環境・海洋生物の研究教育機関に発展させ、葛西臨海公園・葛西海浜公園・葛西臨海水族園を統合する「東京サステナブル・リカバリー・センター」という一つの機関とすることは、都の環境政策につながるものであり、水族園の本来の在り方と持続可能な未来社会を提示している。

 以上のような提案はコロナ禍を乗り越えて持続可能な回復を目指す「サステナブル・リカバリー」の理念と完全に一致するものであり、その方針にのっとり、葛西臨海水族園の更新に向けた事業計画について、発展的に見直しを行うべきである。

以上

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