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自分は何者なのか。私の20歳は暗中模索の自己対話のさなかでした。「新成人の集い区長挨拶」

  今年の「新成人の集い」は、悪天候に直撃された。ちょうど、会場となる世田谷区民会館に新成人が向かう9時から10時過ぎに本格的な雪となり、どんどん積もった。横風もあるので、時には吹雪になった。新年の集いとなった世田谷区民会館大ホールだが、世田谷区は新成人が7400人と多いので午前11時、午後12時30分、午後2時と地区別に3回に分けて例年入れ替え制で行われる。「新成人の集い」は同世代の実行委員が企画を考えて実施されている。式典の中で、新成人に区長としての挨拶をするが、今年はこんな話をした。

[世田谷区・新成人の集い世田谷区長挨拶]

新成人の皆さん、おめでとうございます。世田谷区長の保坂展人です。

皆さんがこうして今日の日を迎えたことを、ご家族の皆さん、そして応援をしてくれた皆さんも、共に喜んでいることと思います。私からもお祝いを申し上げます。

 昨日、この会場に歌手の石川さゆりさんが来てくれました。「新年の集い」にあたって、東日本大震災の被災地を改めてこの世田谷区から支えるためのお話を伺いました。石川さゆりさんは、被災地を一昨年の被災後に20回にわたって訪問されています。予告なしで、ご本人とキーボード、ギターの少人数のメンバーと音響装置に発電機も持って避難所や、仮設住宅を訪れ、一緒に歌い、励ましてきました。

 今、被災地はあの時から2回目の厳しい冬を迎えています。世田谷区から、身近で長続きする支援をやりましょうと呼びかけてもらいました。区の復興支援金は4900万円にまでなりました。今年も、しっかりと被災地を届けていきたいと思います。

 世田谷区民でもある石川さゆりさんは、20歳の頃は津軽海峡冬景色を歌っていたとのことです。被災地を思う歌「浜唄」と「津軽海峡冬景色」を話の後に歌ってくれました。その歌声を聞きながら、私自身が20歳だった頃のことを思い出しました。

 ちょうどその頃、私はフェリーに乗って北海道に渡りました。農家の手伝いをしたり、居酒屋で働いたりして、旅というよりは放浪に近かったかもしれません。当時は、アルバイトを転々としてお金を貯めては、あちこちに出かけるという暮らしをしていました。21歳の頃、沖縄に行ってミュージシャンの喜納昌吉さんに会い、意気投合して音楽の仕事も始めました。ザ・ブルーハーツというバンドは私の主催した音楽祭で、テープ審査して掘り出したグループです。

 20歳の頃、私は学校にも会社にも属していませんでした。100%自由であるということは、100%の毎日を自分で創るということになります。正直に言って、毎日のように喫茶店に行って、大学ノートをう広げて、自分との対話をしていました。

「自分はこれでいいのか」「このままダラダラと時間を過ぎてしまっていいのか」「自分は何のために生まれてきたのか」「これから何をすればいいのか」「これが自分の生き方なのか」と煩悶しながら、苦いコーヒーを飲みながらひとりで一行二行と書いていました。

 こうして振り返ると、私の20歳は暗く、偏屈なものだったのかもしれません。何を生み出すわけでもない、自分の言葉を獲得するための莫大な時間を費やしていたわけです。ところが、人生面白いもので、この時の経験がその後に役に立つことになります。

 最初の仕事は、「喜納昌吉の世界」というドキュメントを、当時の「宝島」という雑誌で100頁書き下ろすというチャンスに恵まれました。その後、「明星」という芸能誌で「元気印レポート」という連載を始めました。いまや誰もが使っている「元気印」という言葉は、この連載から世に出ました。

 元気印という言葉の意味は、ただ明るく元気だというだけではありません。暗く落ち込んでしまい、目の前が暗くなり、絶望しかけた時に、あきらめずに、希望を持ち、挑戦を続けるという意味です。皆さんが、これから元気印という言葉を聞いたら、区長があの時言ってたなと思い出して下さい。

 世田谷区では今年もたくさんのことを実現していきますが、そのひとつ自動車のご当地ナンバー「世田谷ナンバー」をつくろうというアイデアもあります。20年後のビジョンを描く基本構想のプランも練り上げています。

 今日の式典が実行委員会の皆さんで「夢に向かって、輝けハタチ」というキャッチコピーで実現したことは、とてもいいと思います。私も、初夢でコピーを考えました。「せたがや、たのし区」というコピーです。「たのし区」でやっていきたいと思います。

おめでとうございます。

[挨拶終了]

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