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3.11——日本人の心がひとつにつながる日

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映画『JAPAN IN A DAY [ジャパン イン ア デイ]』
フィリップ・マーティン監督、成田岳監督インタビュー

東日本大震災からちょうど1年後の2012年3月11日に撮影された一般からの投稿動画が、ひとつの映画になった。人々の心をつなぎ合わせていくように、膨大な映像を丹念にまとめあげた日英ふたりの監督に聞く。

画像を見るフィリップ・マーティン Philip Martin
レバノン生まれの英国人。テレビ映画の監督・脚本家。2004年に手がけたS・ホーキング博士の伝記ドラマ『ホーキング』は、英国テレビ・アカデミー賞の年間最優秀テレビ映画賞を受賞した。他に代表作は『プライム・サスペクト ザ・ファイナル・アクト』(2006年)、『刑事ヴァランダー』(2008年)、『名探偵ポワロ』(2010年)など。近作に『バードソング』(2012年)がある。

画像を見る成田 岳 Narita Gaku
1972年、京都市生まれ。幼少期・少年期をスペイン、米国、アルゼンチンで過ごす。慶応大学大学院法学研究科卒業後、1997年にフジテレビ入社、ドラマ制作ディレクターを務める。『プロポーズ大作戦』(2007年)、『東京DOGS』(2009年)など数々のドラマを演出した。3Dドラマ『TOKYOコントロール 東京航空交通管制部』(2011年)は、2012年ニューヨーク・フェスティバルのテレビドラマ部門ファイナリストに選ばれた。

日本人にとって特別な日付となった3月11日。長い間8月15日の終戦記念日がそうだったように、日本人が心をひとつに祈る日として……。

巨大地震と巨大津波が東日本を襲った「あの日」から1年後の2012年3月11日、一般の人々がこの日をどんなふうに過ごしたか、ソーシャルネットワーク・ムービーとして記録したい——。フジテレビのプロデューサー・早川敬之氏の発案が、米映画監督リドリー・スコット氏の製作総指揮により実現した。募集に応じて世界12カ国から動画サイト「YouTube」に投稿された約8000本、300時間におよぶ映像を、フィリップ・マーティン、成田岳(がく)両監督が中心となって編集したのが『JAPAN IN A DAY [ジャパン イン ア デイ]』だ。

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©2012 FUJI TELEVISION NETWORK, JAPAN IN A DAY FILMS LTD

 

「あの日」から1年後、人々は何を思い、どう過ごしたか

さまざまな人々が、さまざまな場所や状況で、さまざまな思いで撮った映像の断片を前に、ふたりの監督は、どのように作業を進めていったのだろう。

成田
 「2012年3月11日に撮影した映像を送ってくれた方々が、何を面白がって、どういうことを大切に思っているのか。そういうメッセージを読み取ることに一番、気を遣いました。それを僕らなりに発見して、どうしたらその思いをより強く表現できるのか、どうしたら一本の映画にまとめ上げていけるのか。繰り返し議論しながら作業していきました」

マーティン
 「今回の私たちの仕事は、映像に出てくる人々のさまざまな声を届けることでした。だから彼らと観客の間に立ちふさがってはいけないと肝に銘じる必要があった。それに加えて、原発とか、放射能とか、微妙なテーマがある中で、バランスをとる必要があることを特に意識しました。一方では、たとえ映像作家として賛成できないことであっても、人々には言いたいことを言ってもらう。その一方で、きちんと真実とのバランスをとるという姿勢です。

私たちは集まった映像を見ながら、ストーリーを探していったのです。常にこう問いかけていました。ストーリーは何だ? 何を言おうとしているのか? このショットの次にこのショットをつないだら、こんな意味になるのではないか? ストーリーが変わってしまうのではないか? それはよいことだろうか? 正しいか? 真実か? 正直か?」

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マーティン
 「私たちは知っていました。大地震が発生してちょうど1年後の午後2時46分、あの瞬間、あの黙祷の1分間に、多くの異なるストーリーがひとつに重なるだろうと。だから、その一点に向かうまでのシーンで、それぞれの生活や思いを観客に理解してもらっておく必要があったわけです。一方で観客にも、この瞬間によみがえってくる、さまざまな記憶、悲しい思い出がある。とてもパワフルな瞬間です。初めにこの映画が何なのかを考えた時、非常におぼろげな形でしかなかったけれど、その一点に向かって、観客を小さな旅へと連れて行こうとしているのだ、ということはわかっていました」

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©2012 FUJI TELEVISION NETWORK, JAPAN IN A DAY FILMS LTD

成田
 「そうですね。そういった大枠に対しての考えは、製作の早い段階からふたりで合致していました。個々のストーリーについては、すぐに『これだ』というものがあったわけではなく、全体の流れの中で徐々に凝縮して形作られていった気がします。小さな個々のストーリーが少しずつ結びついてスライドのようになって、大きな流れの中にうまくはまっていけばいいなと考えて作業していきました。混じり合ったものを蒸留していくような作業だったのかなと思います」

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