記事

すべてのホースマンが夢見る競馬の祭典~第88回日本ダービーがやってくる~

1/2

突然だが、1年間に生まれる競走馬の頭数をご存知だろうか。

この数字に大いなる意味をもたらすレースが、30日に開催される競馬の祭典「日本ダービー」(正式名称:東京優駿)である。場所は東京競馬場、芝2400mのレースだ。

Getty Images(写真は2017年)

競馬には、3歳の馬だけが走れるGⅠレースが存在するが、その中でも「桜花賞」「皐月賞」「オークス (正式名称:優駿牝馬)」「日本ダービー」「菊花賞」の総称を「クラシックレース」と呼んでいる。一部の競馬ファンは「おい、秋華賞は?」と思うかもしれないが、クラシックはイギリスの競馬体系にならったものであり、日本で創設された秋華賞はそれとは一線を画す。詳しくは、天下のJRAさんの説明を参照いただきたい。(https://www.jra.go.jp/kouza/yougo/w322.html

そして、このクラシックレースを中心に3歳の馬たちが目指すレースを俗に「3冠レース」とも呼ぶのだが、基本的には…
牝馬:桜花賞、オークス、秋華賞
牡馬:皐月賞、日本ダービー、菊花賞
となる(※牡馬3冠レースは牝馬も出走可能で、稀に牝馬が登場する年もある)。そして、すべてを制覇した馬が「3冠馬」ないしは「3冠牝馬」を名乗ることが許される。

3歳の馬だけが走れるということはつまり、クラシックレースとは競走馬が生涯にたった一度しか走ることのできない舞台であることを意味するが、ここで冒頭の文章に立ち返ってみる。

日本ダービーに挑むということは、数千頭いるその世代の頂点を目指すことになる。たとえば昨年のダービーではコントレイルという馬が勝利したが、2017年に生まれたこの世代の馬の総数は7262頭に上る。コントレイルは、その頂点に立ったのだ。

武豊「ダービーに参戦できることは誇り」

ダービーがどれほど尊く、価値のあるレースなのかを紹介しよう。

武豊というジョッキーがいる。現役通算4000勝以上をあげている競馬界のレジェンドだ。競馬ファン以外でも、名前くらいは聞いたことがあるという読者もいるだろう。

彼はこれまでに5度ダービーを勝利している。1998年にスペシャルウィークという馬で初勝利を手にしたが、正直、私はこの馬が狂おしいほど大好きだ。どうしても紹介したいレースがあるのだが、記事の本筋と乖離してしまうため、今回は割愛する。

そして、なんといっても2005年のディープインパクト。単勝オッズ1.1倍というあまりに大きな期待を背負いながら、大外を独走し2着のインティライミに5馬身差の圧勝。それ以降の活躍はもはや言うまでもないが、国内では一度しか負けずにGⅠ7勝で引退、2019年に天国に旅立つまで種牡馬としても多くのGⅠ馬を輩出した偉大な馬だ。

共同通信社

他にもアドマイヤベガ、タニノギムレット、キズナを含め5頭の馬をダービー馬に導いた武豊だが、彼はかつてダービーについてこのように語っている。

「競馬学校の1年生の、『ダービーを勝ちたいです』と言った映像が残っているはずです。今でも、『ダービー』というレースに敬意を抱いているし、参加できることを誇りに思います」(『Number』平成28年6月2日発行)

平成28年のダービーといえば、武がエアスピネルに騎乗して参戦した年だ。当時エアスピネルはクラシック戦線で安定した成績を残していたため、有力馬の1頭に数えられていた。6度目のダービー制覇を視界に捉えていた武をもってしても、「何度でも勝ちたい」と思うのがダービーという栄光の舞台なのだ。

「3枠5番」をめぐる3冠馬の物語

競馬を少しでも見たことがあるという人は、馬の身体に、馬番と馬名が印字されたゼッケンが装着されていることをご存知かもしれない。各出走馬に割り振られる数字のことを馬番というのだが、スタートの際はその馬番に則りゲートに収まる。1枠1番が最も内側で、8枠18番が最も外側の配置となるが、この配置のことを枠順という(18頭揃うことを「フルゲート」とも呼ぶ)。ちなみに「枠」というのは、「枠連」などで馬券を購入する際の便宜上のものだと思っていただいて差し支えない。

ここで、ダービー×枠順についてのある奇妙な物語を紹介したい。それは、「3枠5番」をめぐる3冠馬の物語だ。

昨年、コントレイルという馬がダービーを制し無敗で2冠達成、秋に菊花賞も制して牡馬では史上3頭目の無敗の3冠馬となったが、コントレイルの前に史上2頭目の無敗の3冠馬となったのが、父親のディープインパクトである。

実はこの親子、ダービーの枠がともに「3枠5番」だったのだ。無敗でのダービー制覇、その先の3冠を目指すコントレイルが、全く同じ道を辿った偉大な父親の後を追うように3枠5番に決まったのだ。レースの枠順はコンピュータで自動的に決められるため、親子で同じ枠に収まったのは100%偶然である。ダービー3日前の木曜日にこのあまりに美しい偶然に気づいてしまった私は、ここでコントレイルの勝利を確信したのである。

さらに、無敗ではなかったものの2011年に3冠馬になった馬が、オルフェーヴルである。

共同通信社

国内GⅠ6勝に加え、世界最高峰のGⅠレースといわれるフランスの凱旋門賞で2年連続2着、ラストランの有馬記念では8馬身差の圧勝を遂げたレジェンドホースだ。ディープインパクト×コントレイルとは血統的に異なるが、実はこの馬もダービーでは3枠5番からのスタートだった。台風2号の影響で五月雨が降り注いだ東京競馬場を、泥まみれになりながら駆け抜けダービー馬になったとともに、池添謙一騎手が初のダービージョッキーとなったあのレースは、何度見ても私の涙腺を刺激する。

ここ15年で3冠牡馬が3頭誕生したことだけでも稀有だが、その3頭すべてがダービーでは3枠5番からのスタートだったことに、些か奇妙な縁を感じてしまうのだ。

あわせて読みたい

「競馬」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    元プロ野球選手・上原浩治氏の容姿に言及 コラム記事掲載のJ-CASTが本人に謝罪

    BLOGOS しらべる部

    06月17日 13:12

  2. 2

    菅首相のG7「はじめてのおつかい」状態を笑えない - ダースレイダー

    幻冬舎plus

    06月17日 08:40

  3. 3

    山尾志桜里衆院議員が政界引退を表明「今回の任期を政治家としての一区切りとしたい」

    ABEMA TIMES

    06月17日 16:55

  4. 4

    ほとんどの人が「延長は仕方ない」イギリスでロックダウン解除延期、なぜ感染再拡大?

    ABEMA TIMES

    06月17日 22:31

  5. 5

    知っているようで知らない、チョコレートの真実 - 多賀一晃 (生活家電.com主宰)

    WEDGE Infinity

    06月17日 14:56

  6. 6

    山尾志桜里氏「今回の任期を政治家としての一区切りにしたい」

    山尾志桜里

    06月17日 15:40

  7. 7

    「日本の将来はよくなる」と思う18歳は9.6% 若者から夢や希望を奪う大人たち

    笹川陽平

    06月17日 09:19

  8. 8

    維新は、野党第一党の座を争うためには候補者の数が少な過ぎませんかね

    早川忠孝

    06月17日 15:33

  9. 9

    低調な通常国会、閉幕へ。生産性を上げるためには野党第一党の交代が必要不可欠

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    06月17日 10:00

  10. 10

    東京五輪へ猪突猛進…日本国民猛反発でもバッハ会長が自信満々でいられるワケ - 熊谷 徹

    文春オンライン

    06月17日 14:47

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。