記事

トランスジェンダー差別とトイレ問題。現実にある立脚点から、「多様性」を見つめ直す冷静かつ丁寧な議論を

こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。

本日も「LGBT法案」について自民党内では激論が繰り広げられたようですが、トランスジェンダー女性による「トイレ制限」を巡る逆転判決が出たことも話題になっています。

ここまで「多様性」を巡る議論に注目が集まっているのは前向きなことである反面、極論に走らずに冷静かつ丁寧な議論が必要なタームなのではないかと感じている次第です。

同性婚については、ニュージーランド議会で残された伝説のスピーチに再び注目が集まっています。

「この法案は関係がある人には 素晴らしいものですが 、関係ない人には今までどおりの人生が続くだけです」

内容・立論の流れ・熱量ともに素晴らしいものであり、私も初めて見たときは感動しました。まだ未視聴の方はぜひご覧頂きたい。

しかし同性婚と異なり、トランスジェンダーの方々のトイレや更衣室の使用がより難しいのは、「関係ない人には今までどおりの人生が続くだけ」と言い切れない点です。

性自認が女性で、女性として生活をしているとわかっていても、やはり生物学的な異性がトイレ・パーソナルスペースに入るのは怖い。許容できない。

こうした懸念を持つ人がいるのは致し方のないことであると思います。

しかしだからといって、「生物学的な区分け以外は論外だ」とシャットダウンして良いのかと言われれば、それもまた違うでしょう。

特にSNS上の論調を見ていると、どうにも

「性自認で自分らしく生きられる、それを社会が許容するのはもはや世界スタンダード。それが理解できない人たちは差別」

VS

「自己認識で性別を変えられたら、悪用して犯罪が多発する。特に女性は恐怖に晒される。生物学的な区分けを勝手に越えることは許されない、我儘だ」

という極論同士がぶつかり合っているように思います。

トランスジェンダーを巡る諸課題については、欧米でもまだ頻繁に議論になる、極めてセンシティブで不確定な分野であると認識しています。

※以下、ここでは今回の訴訟判決の流れからトランス「女性」を例に取ります。

当事者の方々の「トランス女性も女性だ。女性とまったく同じような生き方・生活をしたい」という気持ちは痛いほどわかります。そう思うのは傲慢でもなんでもなく、とても自然なことです。

その感情に私たちと社会は、できる限り寄り添うべきだとも思います。

一方で、「女性のパーソナルスペースには、生物学的な女性以外は入ってほしくない」と思う人がいるのも、差別意識ではなく自然なことであり、現実問題として完全に消すことはできないという点から議論をスタートしていかなければなりません。

そこで、トランス女性と女性(シス女性)の主張・利益と、そして社会全体の価値観が、どこまで折り合えるか。

「誰でもトイレ」の数を増やす。女性トイレを「(生物学的な)女性だけのトイレ」と「トランス女性も含めて使えるトイレ」の二種類にさらにわけて整備する、時間帯で区切って分けてみるetc…

こうした解決策は、あらゆる方面から不平不満が吹き出ると思います。

「なぜ私は女性トイレがすべて、いつでも使えないのか。これでは差別が残っているではないか」
「どうして一部の人のために、コストをかけてさらにトイレを作らねばならぬのか」
「時間帯で区切られて不便になった」

どの意見も筋が通っており、その通りです。

ただ、真に多様性のある社会とは「誰もが思うがままに快適に生きられる社会」ではなく「誰もがちょっとずつ不愉快なものを許容する社会」であるとすれば、このあたりが『落とし所』になる可能性があるはずです。

書いてて本当に難しいことなのですが、こういう議論からいま、私たちは逃げてはいけない気がしています。

まず「多様性」という言葉の本当の意味と恐ろしさ、そして尊さを、おそらく全員が整理をし直して共有するべきなのです。

私自身、これは色々と迷い、考えながら書いています。

「迷っている」「考え中」なんて現職議員が言ってはいけないのかもしれませんが、本当に難しいです。

「当事者の声を聞け」と言われても、当事者だって千差万別。L・G・B・Tそれぞれ立場や考えが異なるし、トランスの中だけでも色々な考えをお持ちの方々がいます。

私たちは理解しあえるのか?多様性とは、差別とは何か。朝井リョウの挑戦作「正欲」から考える
https://otokitashun.com/blog/daily/26205/

少し前に書いたこちらのブログは、多くの反響をいただきました。

ただ、欧米型の進歩主義的「多様性」を礼賛して一直線に進むことへの懸念と、まだこれから建設的な議論ができる土壌、これらは日本社会に確実に存在するとは思っています。

多様性という手にあまるほど大変な概念に、それでも多様性社会を目指すべきなのだという信念を持ち、引き続き考え行動を続けてまいります。

それでは、また明日。





音喜多駿/おときたしゅん
参議院議員(東京都選挙区) 37歳
1983年東京都北区生まれ。海城中・高校→早稲田大学政治経済学部を卒業後、モエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、都議会議員に(二期)。 地域政党「あたらしい党」前代表。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、政治や都政に関するテレビ出演、著書も多数。37歳、二児の父。日本維新の会から公認を受けた参院選にて初当選、参議院議員に。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、日本初のブロガー議員として活動中。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

友だち追加
twitter @otokita
Facebook おときた駿
東京維新の会公式Instagram @tokyo_ishin

あわせて読みたい

「LGBT」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    日本人はナゼ「貧乏になったこと」に気が付かないのか?

    内藤忍

    06月21日 14:24

  2. 2

    劇場不発?小池百合子知事も「中止」選択は取らず 東京五輪の次なる焦点は観客の有無

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    06月22日 09:58

  3. 3

    リモート営業で絶対に使ってはいけないフレーズとその理由

    シェアーズカフェ・オンライン

    06月22日 08:31

  4. 4

    年上の高齢男性から告白されるということについて

    紙屋高雪

    06月21日 09:11

  5. 5

    「児童手当無し、高校無償化も対象外」高所得者への"子育て罰ゲーム"が少子化を加速

    PRESIDENT Online

    06月22日 09:33

  6. 6

    フェイク情報に騙されない教育とは:高校生の98%がネットで真偽を見誤る/米研究結果より

    ビッグイシュー・オンライン

    06月22日 08:18

  7. 7

    共同通信『慰安婦謝罪像、東京で展示を検討』 とんでもないことで許せぬ

    和田政宗

    06月21日 08:22

  8. 8

    小川彩佳アナと離婚へ ベンチャー夫の呆れた一言「今からなら、遊んでも…」

    文春オンライン

    06月21日 19:30

  9. 9

    【プライムデー】、米国商戦夏の陣!Amazon Freshは地味にセールもエコシステムが拡大?

    後藤文俊

    06月22日 09:13

  10. 10

    ワクチン接種の義務付けをめぐる「公共の福祉」と「個人の自由」日本とアメリカで違い

    中村ゆきつぐ

    06月21日 08:35

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。