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人はある程度の危機感を実感しなければ新たなことにチャレンジできない - 「賢人論。」第139回(中編)ピョートル・フェリクス・グジバチ氏

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2000年に来日し、現在日本国内で3社を経営する起業家・経営コンサルタントのピョートル・フェリクス・グジバチ氏。日本居住歴は20年以上、休日にはダイビングと合気道をたしなむという。そんなピョートル氏が2020年11月に緊急出版したのが、『パラダイムシフト-新しい世界をつくる本質的な問いを議論しよう』(かんき出版)だ。新型コロナウイルスに翻弄され続けている日本社会に対してどんなメッセージを伝えたかったのか、話を伺った。

取材・文/盛田栄一

コロナ禍にあって業績が前年度を上回る結果に

みんなの介護 ピョートルさんは2020年11月に最新刊『パラダイムシフト(略)』を上梓されましたね。「パラダイムシフトとは、『当たり前のことと考えられていた認識や思想、社会的価値観が劇的に変化すること』」と解説されていますが、この本で書かれているパラダイムシフトは、ピョートルさんご自身が体験されたことなのでしょうか。

ピョートル まさにその通りですね。

現在日本国内で3つの会社を経営していますが、メインはプロノイア・グループというコンサルティング会社です。「誰もが自己実現できる社会」をつくる未来創造企業として、2015年に起業しました。おもに事業戦略・組織戦略・人材戦略のコンサルティング、講演、ワークショップ、ブランディングとその掛け合わせなど、多岐にわたる仕事に携わっています。私たちが行っているのは「人にかかわるビジネス」です。多くの人と会い、多くの人を集めなければ成り立たない仕事と言えるでしょう。

ところが、2020年春に日本国内で新型コロナのパンデミックが発生してから、私たちは「人と会う」という日常業務の大切な柱を突然失ってしまいました。感染拡大の第1波がやってきた時点で、私たちプロノイア・グループのメンバーは墜落しつつある飛行機に乗っているような状態でした。

しかし、そこで私はすべての仕事をオンラインに切り替え、それに対応した新しいプログラムを組み直し、新たなサービスを開始しました。墜落しつつある飛行機の姿勢を立て直そうと必死だったのです。すると、新たなビジネスが次々に軌道に乗って、気がつけば2020年度の売り上げは、パンデミック前の2019年度を大幅に上回る結果となりました。

みんなの介護 まさにピンチをチャンスに変えたわけですね。

ピョートル 私たちがコロナ禍でも業績を伸ばすことができたのは、半分はラッキーだったなと感じています。そして、おそらくもう半分は「危機的状況に直面したから」ではないかと考えています。

私たち人間が何か新しいことを始めるためには、ある程度の危機感が必要なのではないでしょうか。例えば、今渡ってきたばかりの橋が落ちてしまったとか、どこかの島にたどり着いた途端、ボートが焼けてしまったとか。「もう、今までの状態には戻れないのだ」と心の底から実感したとき、個人にしろ、企業にしろ、国家にしろ、ゼロベースで何か新たな体制構築を考え始めるのだと思います。そのきっかけになったのが新型コロナであり、そのタイミングで起こした自分自身の改革が、この本で述べている「パラダイムシフト」なのです。

日本のビジネス上の慣習をすべて断ち切り効率化を図った

みんなの介護 ピョートルさんの体験したパラダイムシフトを、もう少し噛み砕いてお話しいただけますか。

ピョートル 2020年の春に新型コロナのパンデミックが発生した当時、私のライフスタイルはかなりカオスな状態になっていました。3つの会社を経営し、講演会でお話しして、インタビュー取材も受ける。夜は連日食事会や懇親会が入っていて、ほとんど家に帰れていませんでした。運動する時間もないし、自分で食事を管理するのも難しく、きわめて不健康な生活を送っていたと思います。

そういう状態のとき、日本でも新型コロナのパンデミックが発生し、緊急事態宣言が発出されてすべての仕事が止まりました。先ほどの私の例えで言えば、高度数千メートルを巡航速度で飛行していた航空機のエンジンが突然止まってしまったわけです。

そのとき、いろいろ考えたんです。これまで私がやってきた仕事は、自分が出かけていって対面で行う必要が本当にあるのだろうか。毎晩誰かと食事をしていたけど、そもそも誰かと一緒に食事を取る必要があるのか。さらに言えば、顧客との人間関係をつなぐために、毎晩のように3・4時間も飲み歩く必要はあるのか。それよりもむしろ、「大事な案件は30分話し合って決めよう」と相手と約束しておいて、30分間電話で意見交換したほうが効率的ではないかと、これまでの生活や仕事の進め方を深く見直す機会となりました。

考えてみると、私はそれまで日本のビジネス文化にすっかりとらわれていたのです。その慣習をすべて立ち切り、業務は極力オンラインで進めようと努力した結果、大幅なコストカットと業務の効率化を達成でき、会社としての売り上げも大いにアップしました。

一番嬉しかったのは、運動時間を確保でき、食生活にもいろいろ気を配った結果、体重を12kg落とせたこと(笑)。今はものすごく健康です。

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