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本日発表された経常収支と景気ウォッチャー調査結果から何を読み取るか?

本日、財務省から経常収支などの国際収支が、また、内閣府から景気ウォッチャー調査の結果が、それぞれ発表されました。経常収支は11月の、景気ウォッチャー調査は12月の統計です。経常収支は季節調整済みの系列で見て黒字幅が縮小し、季節調整していない原系列で見て赤字に転じた一方で、景気ウォッチャーは現状判断DIも先行き判断DIも大きくジャンプアップしました。まず、長くなりますが、両統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

10カ月ぶり経常赤字、2224億円 12年11月

財務省は11日、2012年11月の国際収支速報を発表した。モノやサービス、配当、利子など海外との総合的な取引状況を示す経常収支は2224億円の赤字となった。経常赤字は同年1月以来、10カ月ぶり。中国・欧州向けの輸出が落ち込み、輸出から輸入を差し引いた貿易収支の赤字拡大が影響した。

単月としての赤字幅は現行の統計を始めた1985年以降で2番目の大きさ。正月休みで輸出が減る傾向にある1月以外の月では、初めて経常赤字になった。「将来の経常赤字定着の前兆」(大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミスト)との見方もある。

貿易収支は8475億円の赤字だった。債務危機の影響で欧州向け輸出が前年同月より19.9%減と低迷が続いているほか、中国向けも14.5%の減少となった。商品別では自動車が5.2%減った。

旅行や輸送などの動向を示すサービス収支は1901億円の赤字だった。海外の運送会社への手数料が増加した。訪日外国人旅行者が増えたことで、旅行収支の赤字幅は縮小した。

企業が海外投資から受け取る利子や配当などを示す所得収支の黒字は4.9%減って8915億円だった。日本に支店を置く海外企業が本国に利益を支払う額が増えた。

12月の街角景気、2カ月連続改善 判断を9カ月ぶり上方修正

内閣府が11日発表した2012年12月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、足元の景気実感を示す現状判断指数は前月比5.8ポイント上昇の45.8と、2カ月連続で改善した。気候の変化に加え、足元で進む円安・株高が景況感の改善を後押しした格好だ。

先行き判断指数も9.1ポイント上昇の51.0と、8カ月ぶりに好不況の分かれ目である50を上回った。内閣府は街角景気の基調判断を「このところ持ち直しの兆しがみられる」と9カ月ぶりに上方修正した。

12月の現状判断は家計、企業、雇用の全3分野で改善した。家計動向では気温の低下に伴って冬物の食材や衣料の売れ行きが伸びたほか、株高などで「客の話題にも明るさがみえる」(東海・スーパー)という。

円高の修正は企業活動に明るさをもたらし、「海外からの受注量が増え、景気は上向きになっている」(九州・精密機械器具製造業)などのコメントが並んだ。一方で、雇用動向については円高定着で生産の海外シフトが進んだ製造業の厳しさを指摘する声もあった。

先行きについては、大胆な金融緩和や大型補正予算案の編成を打ち出した安倍政権への期待から明るさが戻ってきた。政権や内閣に言及したコメントは12月が428件と11月の64件から急増した。

安倍晋三首相が日銀に一層の金融緩和を促したことを手掛かりに、外国為替市場では円安が進行。「取引先の輸出向け需要が緩やかながら伸長する見通し」(中国・化学工業)という。公共事業の拡充を明言していたことも、「インフラ関連の関係会社にはかなりの依頼がきている」(近畿・人材派遣会社)と明るさにつながった。

調査は景気に敏感な小売業など2050人を対象に、3カ月前と比べた現状や2-3カ月後の予想を「良い」から「悪い」まで5段階で評価して指数化する。今回の調査は12月25日から月末まで。

次に、経常収支のグラフは以下の通りです。青い折れ線で経常収支の収支尻をプロットした上で、その内訳を積上げ棒グラフで示しています。色分けは凡例の通りです。上に引用した記事が季節調整していない原系列の統計に基づいて取りまとめられているのに対して、下のグラフは季節調整済みの系列をプロットしていますので、少し印象が異なる可能性があります。

上のグラフからも明らかなんですが、経常収支の収支尻を表す青い折れ線グラフを見れば、2008年9月のリーマン・ショックと2011年3月の東北大震災の影響を含めても、2007年をピークにジワジワと黒字幅を縮小させているのが、ここ数年の経常収支のトレンドであると考えるべきです。そして、この数年間のトレンドを形成しているのは明らかに貿易収支であることも読み取れます。すなわち、為替も含めて我が国の国際競争力の低下が経常収支の黒字幅縮小ないし赤字化の根底にあると受け止めています。ただし、中長期的なトレンドとは別に、短期的に足元の動きを見ると、財の輸出についてはほぼ10-11月に下げ止まったと考えられます。中国の景気と反日感情の悪化に伴う輸出の停滞もほぼ一巡しましたし、欧州のソブリン危機も目先は改善に向かっています。もっとも、私の知る限り、ギリシア財政はいずれ破綻すると予想している同業者エコノミストは少なくありません。いずれにせよ、今後は現在の円高修正と今年年央に策定される成長戦略が我が国の競争力に中長期的にどのような影響を及ぼすかを見極める必要があります。なお、円安についてはフローの経常収支への影響もさることながら、一昨年2011年末に265兆円に上る対外純資産が外貨建てであれば、円換算で膨らむ可能性があります。何らかの資産効果が発生するかもしれません。

上のグラフは、景気ウォッチャー調査の現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。影をつけた期間は景気後退期なんですが、直近は2012年3月を景気の山と仮置きしています。見れば明らかですが、冴えない結果の経常収支と違って、景気ウォッチャーは現状判断DI、先行き判断DIとも大きくジャンプしました。引用した記事にもある通り、この調査の調査期間は毎月25日から月末ですから、ホントに足元の景況感を反映しています。気温低下の影響で冬物衣料の売行きが好調だったこともありますが、円高修正の進展による景況感の向上が大きく寄与していると受け止めています。統計作成官庁の内閣府では基調判断を「引き続き弱い」から「このところ持ち直しの兆し」に上方修正しました。「景気判断理由の概要」を見ても、円安株高や補正予算といった意見を見かけます。解散とそれに続く pro-business な政権交代が景気の転換を促したのかもしれません。

景気動向指数を取り上げた昨日のエントリーでは「景気後退局面の真っただ中」と書きましたが、景気ウォッチャーなどのマインド指標は景気に先行しますので、年明け早々の景気転換もひょっとしたらあり得るかもしれないと思い始めています。

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