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- 2021年05月23日 15:24
大学生の3人に1人以上は食費の捻出が困難。米国の大学生支援の現状
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日本でもそうだが、アメリカでも大学生の生活苦が大きな問題になっている。大学入学後に両親からの支援が終了して貧困に陥る場合もあるが、それ以前から食や住まいに不安を抱えてきたケースもある。なんとか学費を納めても、生活で最低限必要なものを手に入れる経済的余裕がない学生もいる。さらには、そんな学生を大学側が十分に支援できていないことも多い。

パンデミックによって状況はさらに悪化した。2020年、多くの学校がオンライン授業に切り替わると、寮住まいの学生の多くは実家に戻ったが、それができず、慌てて住まいを探さなければならない学生もいた。それまで頼りにしていた学生食堂も利用できなくなった。
2013年に設立された「大学、地域、公平のためのホープセンター*1」は、フィラデルフィアのテンプル大学内に拠点を置き、食料・住宅不安に関するさまざまな研究や支援サービスによって大学をサポートしている非営利団体だ。同センターが3万8000人の大学生を対象に行った2020年の調査によると、5人に3人の割合で「生活必需品すら買うことができない」経験をしていた。また、2年制大学で44%、4年制大学で38%の学生が、「食事の確保」に不安を感じていた。さらに、調査した4年制大学の学生の15%は、パンデミックのせいで「ホームレス状態」にあった。
*1 Hope Center for College, Community, and Justice
https://hope4college.com

「4年制大学で教育を受けること自体、贅沢なことだろうと思う人もたくさんいるかもしれませんが、本当はそうではないはず」とマヤは言う。「母と一緒に住んでいたとき、母が私を支えるどころか、むしろ私が助ける側でした。両親に頼れるとは限らないので、やはり政府の援助が必要です。私たち大学生は独り立ちしたばかりなのですから」
一学期分のやりくりができなくなったこともある。学生ローンは通らず、どうやって授業を履修しながら生活必需品のお金を捻出すればよいのか、その方法が分からなかった。「お金のあるルームメイトたちが、食事代を出してあげると提案もしてくれました。でも、そもそもルームメイトたちに私の面倒を見る責任なんてないはずです」と語ると、込み上げる思いがあるようだった。
問題山積みだったところに、パンデミックが追い打ちをかけている。幸い、マヤは政府からのコロナ支援金を受けられたが、受け取れなかった学生もいる。1回目、2回目の現金給付では、大学生ぐらいの年齢の「扶養家族」は給付対象外とされたのだ。ここで言う「扶養家族」とは、成人であっても親の税金から扶養控除がされている場合だ。大学のカフェテリアが休業し、学生寮も閉鎖になる中で大きな影響を受けたにも関わらず、この年頃の「扶養家族」たちは政府の支援から外された(注7参照)。
さらには、「食料庫の騎士*2」という無料の食品支給サービスもパンデミック以前から実施している。 学生は無条件で利用でき、好きな商品を持ち帰ることができる。生活支援課が管理しているが、運営はほぼ学生たちの手によるものだ。

*2 Knight’s for Nutrition Food Pantry
https://www.arcadia.edu/university/offices-facilities/knights-nutrition-food-pantry

タイアナ・テイラーは、週に3日、このサービスの運営を手伝っている。「多くのニーズがあります。学生たちがこの支援に頼ることを恥ずかしいと思わず、気兼ねなく、必要なものを自由に持ち帰ってほしいです。食事をする権利は誰にもあるのですから」
生理用品、洗剤、デオドラント品なども取りそろえている。必要に応じて、地域の食品配給サービスからの無料宅配オプションも選べる。
まさに「食のセーフティネット」だ。大学生だって授業についていくのに必死、フルタイムで働いているようなもの。そんな大学生が、特にパンデミックのようなときに、食べものの心配をしなくてはいけないなんておかしいですよね、とテイラーは言う。

食料品の詰め合わせをピックアップすることも可能
「食品の配給にとどまらず、あらゆるリソースを提供する場所でもあります。例えば、フードスタンプの登録方法なども学生たちに伝えています」

Photo by Nathan Dumlao on Unsplash
パンデミックによって状況はさらに悪化した。2020年、多くの学校がオンライン授業に切り替わると、寮住まいの学生の多くは実家に戻ったが、それができず、慌てて住まいを探さなければならない学生もいた。それまで頼りにしていた学生食堂も利用できなくなった。
2013年に設立された「大学、地域、公平のためのホープセンター*1」は、フィラデルフィアのテンプル大学内に拠点を置き、食料・住宅不安に関するさまざまな研究や支援サービスによって大学をサポートしている非営利団体だ。同センターが3万8000人の大学生を対象に行った2020年の調査によると、5人に3人の割合で「生活必需品すら買うことができない」経験をしていた。また、2年制大学で44%、4年制大学で38%の学生が、「食事の確保」に不安を感じていた。さらに、調査した4年制大学の学生の15%は、パンデミックのせいで「ホームレス状態」にあった。
*1 Hope Center for College, Community, and Justice
https://hope4college.com
親を支えながら自分の生活と学業を両立させなければならないケース
オハイオ州立大学に通う21歳の大学生マヤは、大学入学前から食費の捻出に苦労していた。高校生のときは、母親が受けていた「補助的栄養支援プログラム(SNAP)」、いわゆるフードスタンプで家族の食事の足りない分を補っていた。家族を支えるため週40時間アルバイトをしていたが、大学に入ってからはそれもできなくなった。
beauty-box/photo-ac
「4年制大学で教育を受けること自体、贅沢なことだろうと思う人もたくさんいるかもしれませんが、本当はそうではないはず」とマヤは言う。「母と一緒に住んでいたとき、母が私を支えるどころか、むしろ私が助ける側でした。両親に頼れるとは限らないので、やはり政府の援助が必要です。私たち大学生は独り立ちしたばかりなのですから」
一学期分のやりくりができなくなったこともある。学生ローンは通らず、どうやって授業を履修しながら生活必需品のお金を捻出すればよいのか、その方法が分からなかった。「お金のあるルームメイトたちが、食事代を出してあげると提案もしてくれました。でも、そもそもルームメイトたちに私の面倒を見る責任なんてないはずです」と語ると、込み上げる思いがあるようだった。
問題山積みだったところに、パンデミックが追い打ちをかけている。幸い、マヤは政府からのコロナ支援金を受けられたが、受け取れなかった学生もいる。1回目、2回目の現金給付では、大学生ぐらいの年齢の「扶養家族」は給付対象外とされたのだ。ここで言う「扶養家族」とは、成人であっても親の税金から扶養控除がされている場合だ。大学のカフェテリアが休業し、学生寮も閉鎖になる中で大きな影響を受けたにも関わらず、この年頃の「扶養家族」たちは政府の支援から外された(注7参照)。
大学内で無料配給サービス、食のセーフティネット
学生たちが少しでもまともな生活を送れるよう取り組んでいる大学もある。ペンシルバニア州グレンサイドにあるアルカディア大学では、多くの学部が閉鎖している間も、住まいを確保できていない学生に、キャンパス内の寮で生活することを許可した。さらには、「食料庫の騎士*2」という無料の食品支給サービスもパンデミック以前から実施している。 学生は無条件で利用でき、好きな商品を持ち帰ることができる。生活支援課が管理しているが、運営はほぼ学生たちの手によるものだ。

食料庫の騎士」に届いた地域からの寄付物資
*2 Knight’s for Nutrition Food Pantry
https://www.arcadia.edu/university/offices-facilities/knights-nutrition-food-pantry

タイアナ・テイラーは、週に3日、このサービスの運営を手伝っている。「多くのニーズがあります。学生たちがこの支援に頼ることを恥ずかしいと思わず、気兼ねなく、必要なものを自由に持ち帰ってほしいです。食事をする権利は誰にもあるのですから」
生理用品、洗剤、デオドラント品なども取りそろえている。必要に応じて、地域の食品配給サービスからの無料宅配オプションも選べる。
まさに「食のセーフティネット」だ。大学生だって授業についていくのに必死、フルタイムで働いているようなもの。そんな大学生が、特にパンデミックのようなときに、食べものの心配をしなくてはいけないなんておかしいですよね、とテイラーは言う。

食料品の詰め合わせをピックアップすることも可能
食料品の詰め合わせをピックアップすることも可能
「食品の配給にとどまらず、あらゆるリソースを提供する場所でもあります。例えば、フードスタンプの登録方法なども学生たちに伝えています」
- ビッグイシュー・オンライン
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