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  • S-MAX
  • 2021年05月23日 15:01 (配信日時 05月23日 11:25)

秋吉 健のArcaic Singularity:視聴者の心を掴め!市場拡大に苦慮するeスポーツの現状と今後の展望をNTTドコモがめざす観戦スタイルから考察する【コラム】

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eスポーツ観戦について考えてみた!

NTTドコモは19日、都内にて「NTTドコモ 2021夏 新サービス・新商品発表会」を開催し、同社のeスポーツブランド「X-MOMENT」(エックスモーメント)において対戦型格闘ゲーム「ストリートファイターV チャンピオンエディション」を用いたeスポーツリーグ「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2021」をカプコンと共催すると発表しました。

eスポーツが世に広く認知されるようになって4~5年が経とうとしていますが、現実にその試合の模様や実況中継を観戦したという人はどのくらいいるでしょうか。筆者の感覚では、少なくない人々が「観戦したこともなければ、そもそも興味もない」といった認識であるように感じます。中には感情的に「あんなものが“スポーツ”と呼べるか」と忌避する人もいるほどです。

そのような中でNTTドコモは2019年から積極的にeスポーツ市場へ投資しており、新たなエンターテインメントジャンルとしての確立を目指しています。敢えて困難なジャンルの開拓にNTTドコモが注力し続ける理由とは一体何でしょうか。そしてeスポーツの普及と拡大に必要なものとは何でしょうか。

感性の原点からテクノロジーの特異点を俯瞰する連載コラム「Arcaic Singularity」。今回はNTTドコモのeスポーツ市場への投資を中心に、eスポーツ普及へのカギを探ります。

eスポーツに足りないものとは何だろうか

■eスポーツ市場にも影を落とすデジタル・ディバイド
はじめに、現在のeスポーツに対する世間の声を拾ってみましょう。

マイボイスコム(MyEL)が2021年2月に行った「eスポーツに関するアンケート調査(第2回)」によると、eスポーツを「どのようなものか知っている」と答えた人は35.3%で、「名前を聞いたことはあるが、どのようなものか知らない」および「知らない」と答えた人は合計で64.7%でした。

2018年7月に行われた同アンケート調査の第1回目で「どのようなものか知っている」と答えた人が17.7%出会ったことを考えれば、実に2年半ほどで2倍に認知度が向上したことになりますが、絶対値として見れば3人に2人はほとんど知らないと答えていることになり、まだまだ一般への認知は進んでいないと考えて良いでしょう。

ただし、この調査は集計数こそ1万以上と十分な数で男女比もほぼ半数と客観性の高い数字ですが、世代別では10代の回答が0%、20代が3%、30代が9%と極端に少なく、40代が21%、50代が31%、60~70代が36%と世代が高くなるほど回答者の割合が高くなるため、単純に高い年齢層の人々に認知されていないだけとも取れます。

そもそもゲーム世代から外れる50~60代以上の人々がeスポーツに興味を持たないのは当然でもある

上記のような世代へのアンケート調査である点を踏まえつつ他の項目を見てみると、「直近1年間のeスポーツに関する行動」では「テレビ・新聞・ネットなどでeスポーツに関することを見聞きした」という人が56.7%に達し、その他の回答がいずれも数%以下と誤差の範囲に収まっています。

また「eスポーツに対する興味度」では、「興味がある」および「まあ興味がある」と答えた人は合計で6.6%、「あまり興味がない」および「興味がない」と答えた人は合計で82.3%で、圧倒的に興味なし、という結果です。

「eスポーツに関する考え方」という項目でも、「ゲームは遊びの1つであり、スポーツ競技としてはとらえにくい」、「実際に体を動かすことがメインではないのでスポーツと競技とはとらえにくい」、「eスポーツという名前からは、ゲームの対戦競技をイメージしにくい」など、ネガティブな印象の回答が上位を占めており、高い年齢層の人々にとってeスポーツは「不必要なもの」としてとらえられている実態を再認識した次第です。

高い年齢層の人々からのゲームへの風当たりの強さが垣間見える

eスポーツの認知度や興味・関心なんて、若い世代でも変わらないのでは?と考える人もいるでしょう。

少々古い調査になりますが、2018年9月にCyberZが10代から60代までの各世代200人(男女各100人)、合計1200人に行った「eスポーツ」認知度調査によると、「eスポーツに関する認知」では、男性の10代~30代の認知度が圧倒的に高く、女性は若い世代でも男性の高齢者と同程度の認知度で、年齢が上がるにつれてさらに認知度が落ちていく傾向があります。

また、「人がゲームをしているのと見ることについて」という項目では、男女ともに10代~30代の「好き」および「やや好き」という回答が特出して高く、40代以上ではほとんど興味を示していないことが分かります。

やはり、ゲームやeスポーツへの関心は10代~30代が圧倒的であり、それ以上の世代には訴求するだけ無駄、という印象すらあります。

男性の場合、30代と40代の間に明らかな認知度の「溝」が見える

ゲーム観戦は平均化してしまうとマイナーと捉えられがちだが、10~20代に限定すると半数近くの人が楽しんでいることが分かる

マイボイスコムによる2018年と2021年の調査データの推移や、CyberZの調査データが2年以上も前のものである点を考慮すると、現在はさらに多くの若者がeスポーツを認知し、観戦そのものを楽しんでいるのではないかと推察するところです。

よく、デジタル・ネイティブ世代とそれ以前の世代との技術理解度の差や使いこなし具合を指して「デジタル・ディバイド」などと呼ぶことがありますが、まさにゲームやそれを利用したeスポーツへの認知度と理解度への差にもデジタル・ディバイドを感じざるを得ません。

NTTドコモが低料金プラン「ahamo」をオンライン専用としてデジタル・ネイティブの若年層へ働きかけ、若者を取り込もうというタイミングでeスポーツへの投資を強化し始めたこともまた、単なる偶然ではないでしょう。

ストリートファイターシリーズという強力なブランドとタッグを組み、eスポーツのさらなる躍進を狙う

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