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ガザの停戦(とりあえずのコメント)

11日間続いたガザのロケット戦争は、双方が、22日朝から無条件の停戦に合意し、現在までのところ特に大きな停戦違反も報じられず、停戦は維持されている模様です。

事態の性格上、戦闘の実相の多くは不明で、また双方とも建前上の「{勝った、勝った」との発言が多く(報道では停戦直後から、ガザ、西岸、エルサレム等でパレスチナ群衆が、街に繰り出して、勝った、勝ったと騒いでいる模様!!)報道では、停戦はエジプトの仲介によるとされているが、エジプトの誰がどこで、それぞれ誰と交渉したのか、停戦条件は?(無条件とされているが、建前はともかく、現実にはあり得ないでしょう)、その他米、カタールやアラブ諸国の果たした役割は?等分からないことは多すぎるが、取りあえずのところのコメント次の通りです

・今回の戦闘では大げさに言えば無数のミサイル、ロケットの応酬があったが、かなり前からイスラエル側では政府があくまでも戦闘継続を呼号したのに対し、軍等は停戦に前向きの姿勢を示していて、これはどうやら重要なミサイルやその発射基地を破壊し、ハマスの軍事部門の有力幹部を殺害するか無害化するとの直接の軍事目標が相当程度達成され、これ以上の戦闘は益々パレスチナ人の死傷者を増加させ、国際的圧力を増すだけ、という客観情勢があったからではないか?
因みにハマスの方の発言も途中から柔軟に変わってきて、損失の大きさを自覚していたように見える

・政治的にも、ネタニアフは「戦時の宰相」の常として、その立場を強化し、反ネタニアフ連立がどうなるかわからなくなった模様で、口先はともかく、この時点での停戦に大きな得点を見出していたのではないか?

・他方ハマスの方でも、上記の通りその軍事部門は大きな痛手を被った模様だが、政治的には対立するアッバス議長のPLOの自治政権はその重要性が益々カスミ、西岸においてもハマスの影響力が拡大した半面、これ以上戦闘を続けると、軍事的にイスラエルの攻撃で益々ガザの破壊が拡大し、またハマスの他のイスrムジハードやより強硬な勢力の活動が拡大しハマスの指導する安定したガザという状況から離れる可能性が出てきたのではないか?

・今後の状況だが、短期的にはハマスの有するミサイル等の多くが破壊され、また軍事指導部は鳴りを潜めて隠れているので、少なくとも短期的には停戦は何とか維持されるのではないか?
また停戦を斡旋したエジプトはイスラエル以外のガザの出入り口を押さえていて、それを圧力としてハマス政権に停戦順守の圧力をかけるであろう

他方、今後のパレスチナ問題については、「無条件の停戦」ということで、長年の懸案であったパレスチナ問題についてどうするのか、和平交渉とか、米国の斡旋とかが何も謡われておらず、今後ハマスのミサイルの保有数が回復し、地下トンネルが修復し次第、それまでにパレスチナ人のフラストが解消されない限り、再度の衝突はいわば物理的必然ではないか?

・中東では、ドローンやミサイルに拠る戦闘の近代化?がますます進んでおり、トルコやイランのドローン技術等が注目されているが、矢張り一日の長があるのがイスラエルであることは今回の事件でも示され,iron domeに象徴されるミサイル防衛、モサド等情報機関によるハマス軍事部門幹部の追跡、これに対する圧倒的な空軍力による攻撃(今回IDFは1機も失ってはいないのではないか?)が、重要な戦果を挙げたこと上記の通りである。

然し、ハマスの方でも多数のミサイルやロケット、更にはドローンや自動操縦潜水艇などと開発し、在庫も多数保有していたが、この傾向は今後も続くであろう

・イスラムジハードやその他の所謂抵抗勢力の動向であるが、彼らの影は今回の事件ではほぼかすんでしまった
彼らがどういう立場をとったかは、今後の和平にも大きく影響すると思われる

これに対し、益々影が薄くなり、その影響力が低下したことが明確になったのはアッバス議長率いるPLOで、イスラエルとの明確な平和共存路線も取れず、かといって武力抵抗もハマスにお株を奪われ、その存在意義さえ薄くなりつつある。
バイデンも伝統的は米国の路線を受け継ぎハマスは相手にせず、アッバスに期待するとの立場をとっているが、この問題に関与する以上、ハマスとの関係は不可欠であろう

・今次事件でもう一つ印象的なことが米国の立場の孤立とその影響力の低下であろう。
バイデンがイスラエルは当然自衛権を有すると、言わないでも良い発言をし、また安保理議長声明問題では、他の西欧諸国から孤立したが、多少なりとも支持者を増やすための多数派工作をした形跡もない。

今回の調停問題では、おそらくバイデンからネタニアフに対して、対ミサイル防衛システムのiron domeのミサイルの補充が飴として与えられたが、いくらバイデン政権にとっての中東問題に関する重要性は低いとはいえ、冷戦時代から兵器、資金、人的資源を大幅に投入して、この問題の解決及び沈静化に努めてきたのは、所詮米外交にとって無視できない問題であるからに他ならず、今後とも米国は常に何らかの形で関与をせまられていくことは間違いないと思う。

・米国以外ではエジプトの仲介が特に報じられたが、エジプトはかなり昔から、その情報機関を通じて、イスラエルとハマスの停戦や鎮静化等に努めてきており、最近エジプトとトルコ、カタール等の関係改善が報じられており、今後ともエジプトの存在は無視できないであろう
またハマスの資金面での支援は矢張りカタールか?

・これに対して「意外と冷静」であったのがイランで、イランの配下のヒズボッラー等もほとんど動かなかった(バノンから2度にわたりミサイルがイスラエルに発射されたが、IDFはパレスチナ勢力の仕業で、ヒズボッラーではないと発表している)

イランにとっては米国の制裁解除が最重要課題で、その為には米及びイスラエルを刺激したくないのであろう。
イランは「エルサレムの解放はイラン革命から始まる」として、言葉の上では激しい反イスラエルの立場を維持してきたが、間接的な嫌がらせは別として、イスラエルの安全保障を直接害する行動はとってきていない

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