- 2021年05月21日 14:41
高所得世帯の児童手当を縮小する改正児童手当法が成立 専門家からも賛否
1/2一定の所得以上の世帯に対する児童手当の特例給付を廃止するなどとした「改正児童手当法」と「改正子ども・子育て支援法」が21日、参議院本会議で可決・成立した。
18日の参議院内閣委員会・参考人質疑では専門家が「高所得層の児童手当は削っていい、という発想は危険」という見方を示した。
野党側からも疑問視する声が上がっており、立憲民主党の塩村あやか議員は20日の参院内閣委で質疑に立ち、坂本哲志・内閣府特命担当大臣に対し、「日本の子育て支援は、理念がふらふらしていて信用できない」と述べ、政策の一貫性のなさがかえって少子化を招く結果になると批判していた。
年収1200万円以上の世帯の特例給付廃止に賛否

中学生以下の子どもがいる世帯に配る児童手当は、子ども1人につき年齢に応じて月額1万円~1万5千円が支給されている。現行制度では所得制限が設けられており、例えば子ども2人の専業主婦世帯の場合、世帯主の年収が960万円程度を超えると、「特例給付」の対象となり子ども1人に対する支給額は月額5000円となる。
この「特例給付」に関して、世帯主の年収が1200万円以上である高所得世帯への支給を廃止する児童手当法改正案が今国会で審議されていた。
法改正による支給額縮小で年間約370億円の財源確保が見込まれ、懸案となっている待機児童対策に充てられることになっている。
「高所得層の児童手当は削っていい、という発想は危険」

改正案をめぐっては、「高所得世帯には児童手当は必要ない」と好意的に受け止める声がある一方で、少子化対策に逆行するなどとして疑問視する見方も広がっている。
18日の参院内閣委の参考人質疑では専門家らが意見を述べた上で、各委員の質問に答えた。
塩村議員は参考人に対し、OECD諸国と比較すると日本の「家族関係支出」が大きくはない点を指摘し、少子化が国難となる中で今回の改正案が少子化対策になるのかと問いかけた。
教育行政や子どもの貧困を専門にする日本大学文理学部の末冨芳教授は、「親が金持ちであっても、子どもが十分なケアを受けられていない場合もある」、「高所得層への児童手当を削っていいという発想自体が、グローバル化の中ではかなり危険」と発言。高所得、高学歴の子育てカップルを積極的に移民として受け入れる国がアジア内で現れている例をあげ、「日本にこれ以上住んでいる理由はないという人が出始めている」「日本から貴重な納税者が流出する恐れがある」と述べた。
末冨教授は続けて、全ての子どもが支援を受けられる「普遍主義」から、支援される子どもが限定される「選別主義」の制度に移行する点を指摘。子育て世帯や子どもを持ちたいと考える世帯に対し、「いつ所得制限のラインが下げられるか」という恐怖心をあおることになると懸念を示した。
一方で、株式会社大和総研の金融調査部主任研究員・是枝俊悟氏は「少子化だけでなく財政も国難だ」とし、「新たな増税策をとることができない以上、(所得の)再分配をおこなうことも致し方ない」と述べて改正案を擁護する意見を述べた。
是枝氏は「高所得世帯でも子どもに十分なケアがなされるとは限らないという指摘はごもっとも」とし、日本学生機構の有利子貸与奨学金を高所得世帯でも受けられるように所得制限を撤廃するという末冨氏の案に賛同する形で、政策全体でバランスをとる考えを示した。
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