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  • WEDGE Infinity
  • 2021年05月21日 15:53 (配信日時 05月21日 11:57)

ワクチン接種のために米国訪問者が増えている? - 土方細秩子 (ジャーナリスト)

新型コロナワクチンの第一回目の接種を終えてきた。筆者のいるロサンゼルス郡では郡のウェブページからワクチン予約が出来るのだが、持っている保険などの種類によって受け方が異なる。

コストコの摂取会場

まずカイザーなどの保険を持つ人はカイザー病院で接種、集団接種会場も9箇所設けられている。その他UCLAでの接種などもあるが、便利なのはCVSファーマシーなど家の近所の薬局での接種だ。

筆者は薬局での接種を選び、CVS、ウォルグリーン、ラルフス、ボンズ、コストコなどの薬局を持つスーパーマーケットを含む店舗を片端から調べてみた。これらは店舗独自の予約用ウェブサイトを持っており、ロス郡のページからリンクで飛ぶようになっている。

しかし各店舗のウェブサイトには結構差があり、電話でしか予約の取れないところ、家の近所の指定ができないところ、などもあった。結局コストコのサイトが最も使いやすかったためそこで予約。ウェブ上で問診票に記入するようになっていた。

実際の接種日には、身分証明書と保険証を持参、とあったので現時点で米国の医療保険に加入していない筆者は対象外かもしれない、と思いつつも郡のウェブサイトでは「国籍、移民であるか、保険の有無を問わず無料」とあったので取り敢えず行ってみた。

結果、ウェブで記入した問診票がすでにプリントアウトされており、それに署名するだけであとは身分証の提示だけで無事にワクチンを接種することができた。また接種時にワクチンカードを渡され、そこにはすでに二度目の接種日の予約が記されていた。

ワクチンカード

大混乱している日本とは対照的

筆者が接種したのはファイザーだが、米国では現在ファイザー製ワクチンは12歳以上であれば誰でも接種できる。そのためか、待合には子供の姿も目立った。接種後は15分間ベンチに座って待機を求められたが、何事もなかったので帰宅した。

このように、ワクチンの予約で大混乱している日本から見ると羨ましいくらいに、あっという間に予約も接種も、さらには二度目の予約も完了した。しかも外国人である筆者に対しても全くの無料、保険についての質問もなかった。

この簡便さから、恐らく今世界中から米国にワクチン接種が目的で入国する人が増えている、と思われる。

ガラガラだった飛行機が一変

筆者が日本から米国に戻ったのは5月14日だが、飛行機は台湾経由だった。日本からの直行便があまりにも高額で、台湾経由だと価格がおよそ3分の1だったためだが、コロナ禍以降は国際便の飛行機は常にガラガラで、エコノミークラスでも一列に一人、という状態が続いていた。

ところが今回、台湾からロサンゼルス行きの飛行機は驚くくらい人が乗っていた。さすがに隣の席は空けるようにしてあったものの、1人置きでほぼ一杯の人が機乗していた。台湾乗り継ぎで東南アジア各国からの人が目立つ印象だった。

さらに驚いたのは飛行機を降りた時だ。空港の建物と飛行機をつなぐ通路にずらりと車椅子が待機していた。今まであれほど多くの車椅子が並んでいるところを見たことはない。飛行機を降りたところからほぼ建物に入るところまで、車椅子の行列ができていたのだ。

機内で筆者の1人置いて隣にいたのはマレーシア人女性だったが、彼女は米国永住権を持つものの、あまりにコロナ感染者が増えていたため一旦帰国していた、という。今回米国に戻ったのはコロナが落ち着いて、ワクチンも接種できるからだ、と言っていた。

恐らく同じようにワクチン接種が目的で訪米する人が急増しているのではないだろうか。あの車椅子の数から考えても飛行機には大勢の高齢者あるいは基礎疾患を抱える人が乗っていたはずだ。自国で中々ワクチン接種が進まない場合、多少のリスクを犯しても米国で受けるほうが早い、と考える人がいても不思議ではない。もしかしたらそういうワクチン接種を目的としたツアーが組まれている可能性もある。

米国の入国審査も実に簡単だ。飛行機に搭乗前にPCR検査を受け、陰性である証明と米国CDCに対し行動規約を守る内容の誓約書を提出する必要はあるが、入国時には特に何も求められず、あっけないほど簡単に入国できた。空港のある州により、カリフォルニアの場合はロサンゼルス空港独自の誓約書も必要だが、これはオンラインでの提出のみ。内容も入国後10日間は自宅待機する、というものだ。

こんなに簡単に入国できて、しかも旅行者である、などの身分を問わず誰でも無料でワクチン接種できるのだから、訪米者が増えないほうがおかしいとも言える。日本の場合は帰国した時の制限が大きいのでワクチン接種を目的としたツアーなどは組みにくいだろうが、こうした人々を(筆者も含めて)受け入れてしまえる米国の恵まれたワクチン事情は羨ましい、としか言いようがない。悪評高かったトランプ政権ではあるが、製薬会社に多額の援助を行いワクチン開発を後押しした、という点だけは高く評価できるのではないだろうか。

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