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「コロナ交付金で巨大イカ建立」世界中からネタにされた能登町の公金感覚を問う

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イギリスのBBCが世界中に「巨大イカ」を発信

金沢市から北に車で2時間ほどの距離にある、石川県能登半島の先端部に近い能登町。この小さな漁師町の観光施設に、全長13メートル、高さ4メートルの巨大なイカのモニュメントが現れ、国内だけでなく世界で物議を醸している。

町が設置費3000万円のうち約2500万円を、国が新型コロナウイルス感染症対策で自治体に配る臨時交付金から充て、活用法が問題視されたからだ。税金の無駄遣いや感染症対策への「便乗」とも思えるこの巨大なイカは、地方自治体による不適切な予算計上を防ぐべき、地方議会のチェック機能不全の実態を浮き彫りにした。

「新型ウイルスのパンデミックが収束していない中で巨大イカに多額の資金を投じた行政には、一部から批判の声が上がっている」。イギリスのBBC放送は「能登町、新型ウイルス対策の交付金で『巨大イカ』設置」と題した英語と日本語のネット記事を、5月5日付で掲載。過疎化が進む人口1万6000人ほどの自治体が海外で注目を集める、過去に例を見ない事態となった。

新型コロナウイルス感染症対策の臨時交付金約2500万円が充てられた全長13メートルのイカのモニュメント。2021年5月14日撮影。
新型コロナウイルス感染症対策の臨時交付金約2500万円が充てられた全長13メートルのイカのモニュメント。2021年5月14日撮影。 - 撮影=加藤豊大

設置費3000万円のうち2500万円を、コロナ交付金から捻出

話題の舞台は、能登町越坂の「イカの駅つくモール」。日本百景の一つであり、釣り客らが多く訪れる波音静かなリアス式海岸・九十九湾を目の前に望む。北海道函館港、青森県八戸港と並び、スルメイカの日本三大漁港に数えられる同町小木港をPRしようと、町が昨年6月にオープンさせた。地元産のイカ料理が味わえるレストランやマリンレジャーの体験施設、小木港のイカ漁の歴史展示スペースを備える。

モニュメントは、この風光明媚な景勝地に今年3月末に出現した。「イカを食うか、イカに喰われるか」とのコンセプトで町が制作。家族連れやカップルらに写真を撮ってもらいSNSで発信してもらうよう、「写真映えするようなインパクトを重視した」(町ふるさと振興課担当者)という。

幅9メートルほどに触腕を大きく広げたピンクと白色の体色の巨大なイカについて、SNS上でさまざまな感想が飛び交う。ツイッターでは、触腕部に子どもが乗ったり、下から潜り込んで開口部から顔を出したりと、実際に訪れたユーザーらがそれぞれ撮影した写真を投稿。一方で「とめる人は、たぶんいたんじゃないの?」「2700万もかける意味が分からない。こんなトンデモな事がなぜまかり通るのか」といった懐疑的なツイートも目を引く。

賛否が分かれた主な要因は、町が設置費3000万円のうち2500万円もの巨額を、国が自治体に配る新型コロナウイルス感染症対策の地方創生臨時交付金から捻出したためだ。町は、昨年7月の町議会で設置費を盛った予算案を提出し、定数14の町議からの反対意見はなく可決された。

町は「国の活用例メニューに合う」との説明に終始

直後は大きな話題にならなかったが、同12月の町議会で完成イメージ図を公表すると、新聞各紙や全国放送のワイドショー番組などで、各地のコロナとの関係が不透明な臨時交付金の使い道の一つとして取り上げられた。この時点で町民からは「コロナとイカのモニュメントにどんな関係があるのか」「医療従事者や介護施設など、コロナ禍で差し迫った支援が必要なところに手厚く使う道もあったのでは」といった設置に反対する意見が上がっていた。

「コロナ対策の臨時交付金でなぜイカの像に3000万円もの大金をかけるのか」。町の担当記者として、こうした率直な疑問がぬぐえなかった。町ふるさと振興課担当者は、完成前の取材に「新型コロナウイルス感染症収束後の観光誘致に効果が期待できる」と説明。国が示した臨時交付金の幅広い活用例のうち「地域の魅力の磨き上げ事業」に合致すると判断したという。

巨大イカのモニュメントが出迎える石川県能登町の観光施設「イカの駅つくモール」。2021年5月14日撮影。
巨大イカのモニュメントが出迎える石川県能登町の観光施設「イカの駅つくモール」。2021年5月14日撮影。 - 撮影=加藤豊大

加えて、近年スルメイカ水揚げ量が急速に減少する小木港を守りたいとの思いもあったと強調した。長年主な漁場としてきた能登半島沖の日本海の好漁場「大和堆(やまとたい)」周辺では近年、中国や北朝鮮による違法操業が急増。資源量自体の減少もあり「コロナ禍で魚価も落ち込む中、消費の面から漁師を支える意義もある」と話した。

町側は「国の活用例メニューに合う」との説明に終始。必要性の低い事業に予算をつぎ込む無駄遣いや、コロナ禍への便乗ではないかとの疑念は晴れなかった。

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