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「実はたくさん存在しているんだよ、ということをわかっていただけたら」社会に認識され出したヤングケアラー、これから行政・社会に求められる支援は



 家族の介護などサポートを担う“若者ケアラー”、特に18歳未満の“ヤングケアラー”の存在が注目を集めている。政府が4月に発表した調査結果では、中学2年生で実に18人に1人、高校2年生では25人に1人、つまりクラスに1人以上が学業の傍ら、「世話をしている家族がいる」ことが分かっている。

・【映像】脱「家族神話」どう進める?ヤングケアラー支援を考える

 政府のプロジェクトチームは17日、匿名で相談できるオンライン窓口の整備するほか、自分から言い出せない場合を考慮し、教員や地域ボランティアに研修を行うことなどを盛り込んだヤングケアラーへの支援策を初めてとりまとめた。そこで18日の『ABEMA Prime』ではヤングケアラーたちの日常、そして必要な支援について当事者たちに話を聞いた。

■「そういうものなのかな」と思っていた



 佐藤さん(仮名、29)は、高校生の時に母親が病気を発症するも、母子家庭で、兄は母親と折り合いが悪かったため、家事全般を1人で担うことになった。経済的にも厳しく、アルバイトをする必要もあったため、成績が落ちてしまった時期もあったという。それでも「そういうものなのかな、できる範囲でやるしかないのかな」という思いから、周囲の大人に相談することはほとんどなかった。



 「ヤングケアラー」という言葉を知ったのも、1年前のことだ。「気持ちが弱っている母に気を遣って過ごすのは当たり前のことだったと今でも思っている。ただ、ヤングケアラーという言葉を知ったことで、なんとなく感じていた、“なんでこんなに大変なんだろう?”“辛いな”という気持ちが、決しておかしなことではなかったんだと、救われたような気がした」。

 今後、行政や社会に望むこととして、「金銭的にも家事的にも支援してくれるようなものがあったらと思うし、例えば義務教育のうちに、“あなたは助けてもらっていいんだよ”ということを知るきっかけがあれば違うと思う。やはり人の想像力には限界があるので、普通に健康なご両親がいる人が気づくのは難しいことだと思う。私自身、自分以上に大変な状況の方がいることを最近になって知った。でも、ヤングケアラーのいる家庭が実はたくさん存在しているんだよ、ということをわかっていただけたら」と話した。

■「友達にさえ“バイトがある”などと嘘をついてしまった」



 介護・福祉領域の人材支援に詳しい株式会社Blanketの秋本可愛代表は「実態調査では、ヤングケアラーの中には1日に7時間以上、家族のお世話に費やすという人が1割以上もいるという実態も見えてきた。それでも“家族の面倒を見るのが当たり前“という環境で生まれ育った場合、それが課題だということや、自分も当事者であるという認識を持ちづらい。私が聞いた話では、“空気を壊したくない”という理由から、友達にさえ“バイトがある”などと嘘をついてしまった、というケースもあった」と話す。



 番組が昨年7月に取材した高橋唯さんも、高校時代に事故に遭い半身まひに加えて記憶力や注意力が徐々に低下する脳の障害が残る母・純子さんのサポートを幼い頃から続けてきた。

 「中学の頃は、他の人が勉強している時間になんでお母さんの面倒を見なきゃいけないんだろうって思っていた」。そう話す高橋さんが学生時代を描いた絵には、教室にいる、どこか孤独を感じさせる少女の姿が。「外から見たら教室の中の1人にだけど、実際はそこにいないような気がするというか。自分にとっては当たり前だけど、人に相談したところでどうにかなるものでもなかったし、そもそも同級生の中に同じ理解度でケアの話しができる人を探すのはすごく難しかった」。



 また、同じく元ヤングケアラーで、現在は若者の介護支援を行う宮崎成悟さんも「高校生の頃は担任や部活の先生に言いづらかったというのがあったし、そもそも“介護をしてる”って認識すらなかった」と振り返っていた。

■「誰であろうが声を上げていい、という社会を作ることが必要だ」



 慶應義塾大学特任准教授でプロデューサーの若新雄純氏は「僕の場合、離れて暮らすようになってからも福井に暮らす親と旅行に行ったりしているが、それは責任感が強いからではなく、僕が親のことを気にかけたり、感謝できる余裕があるからであって、それ自体が恵まれているんだと思う。そこで思い返して見ると、小学生くらいのうちから、“親を大事に、親に感謝して”という刷り込みみたいなものが学校教育でも行われていると思う。それが、自分に余裕がなくても親について責任を追わなければならないと感じてしまう原因になっているのではないだろうか」と問題提起。



 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「“総中流社会”と呼ばれた戦後の日本では、安定した中間層の外側にいるマイノリティをケアしていこうというのがリベラリズムの方向性だった。しかし不況が長引く中で中間層が崩壊し、非正規雇用が4割を超えるなど、様々な問題が噴出してきた。ヤングケアラーはもちろん、引きこもりや、“キモくて金のないおっさん”とネットで揶揄されてしまう中高年層の存在も含め、見えないマイノリティーをいかに救いあげられるか、という認識が必要だと思う。



 そこで気になるのは、震災時に“津波の被災地に比べるとうちは大したことないから”“被災者と呼ばれるのはおこがましい”といった発言が出てきたこと。社会やマイノリティーにもグラデーションがあるのに、なんとなく”自分は相談するほど大変じゃない、もっと大変な思いをしている人がいっぱいいるよね”と思ってしまい、苦労を背負い込んでしまう人が多いということ。現実に弱者であるということ、あるいは誰もが弱者になりうるということを認識して、どんな状況であろうが誰であろうが声を上げていい、という社会を作ることが必要だ」と指摘した。



 議論を受け秋本氏は「今回、ヤングケアラーという存在が明るみになってきたことで、自覚できなかった人が自覚できたり、声を上げていい、誰かに頼っていい、という認識が浸透し始めてきていると思う。次はそういう人たちに対し、どう支援につなげていくのかを考えなければならない。例えば現時点においては学校と福祉の連携が難しいといった問題もあるし、18歳になったからといって区切ってもいいわけではないという問題もある。新卒社員の中にも、頑張って働きながら家族の介護をしている人はたくさんいる。これからますます学業・仕事と介護の両立を図らなければならない人が増える社会なので、あらゆる機関で柔軟な対応が求められる」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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